それではどうぞ
G01 ボクを取り巻く事情
「スタンド&ドロー」
これは……
「ライドフェイズをスキップ」
あの頃の……記憶。
「メインフェイズもスキップします」
あぁ。
「アタックフェイズ」
逃げられないのか。
「ガスト・ブラスター・ドラゴンで相手のヴァンガードにアタック。そしてLBスキル発動」
1度、犯した罪からは。
「CB1枚と、リアガードを3体退却。ヴァンガードのソウルにあるブラスターと名の付くカードの枚数分、パワーを5000、
1度、目を背けた過去からは。
「ブラスターの枚数は6枚。よって30000と、
なら……壊してしまえばいいのか。
「怨念の邪竜よ。同胞の魂と血肉を喰らい、我が前に立ちはだかる敵を撃滅せよ……『
そうすればもうーーーーーーーーーーーー
『お前はさ、強いよ。そう、すっげー強い』
あ……
『オレ達なんかじゃ届かないくらいにだ』
やめてくれ……
『でも、さ。オレはお前のことーーーーーー』
やめてくれぇぇぇぇ!!
『最低な奴だと思うぜ』
「ア……起……て……」
【
まるで泥の中に沈んでいくような感覚をともないながら。
「アキ……起き………ば」
いっそ、このまま沈みきってしまいたいと思った。
どうせ、ここで目を覚ましたところでーーーーーーーーーーー
「起きろって言ってんでしょーが!!」
突如、スパーン!!と軽快な音が彼の脳内と、部屋中に鳴り響いた。
「うぎゃっ!!」
あまりの痛さに頭部を押さえ、燿覇は自分のことを殴った当人である少女を睨む。
「うぅ……痛いよ火穂……」
「うっさい。さっさと起きない方が悪いの」
彼女は【陽世
燿覇の姉で、セミロングの青髪に碧眼。つり目で(多少身内びいきもあるが)美少女だが、男勝りな性格の上、面倒事に他人を巻き込む癖のある困った存在だ。
「ほら、今日は入学式なんだからちゃんとしないと」
「分かってるよ」
そう、今日は燿覇が高校に入学する日なのだ。
ちなみに、火穂は燿覇が入学する高校に通っていて、1つ上の先輩でもある。
「じゃあ、着替えるから出てってよ」
「はいはい。朝ご飯出来てるから早くしてね~」
火穂はそう言うと、そそくさと部屋を出ていく。
(さて、制服に着替えないとか……)
部屋の隅に掛けられた高校の制服。燿覇が通うことにした【
そして制服を手に取り、着ていた服を脱いでから制服に袖を通して着替えを終える。
(少しだけ大きい……まぁ高校生活を送るうちに背が伸びてちょうど良くなるよね……なったらいいなぁ……)
「アキハ~。まだー?」
「今行く!!」
1階から火穂の声がしたので、返事をしてから通学用カバンを手に取り、階段を下へと降りた。
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「アキハ~早く!」
1階に降りてリビングへ行くと、テーブルには料理が並べられていて、あとは食べるだけの状態になっていた。
「ほら、座って座って!」
「はいはい、わかってるってば」
火穂にせかされながらイスに座る。位置的には彼女の対面に座っているといった感じだ。
「それじゃあ、せーの」
「「いただきます」」
こうやって一緒に、いただきますの挨拶をするのは陽世家の決まりの様なもので、今は家を空けている両親から、このルールだけは必ず守るようにと言われている。
「ところでさ」
「ん?なに?」
突然、火穂が話し出す。
「アキハは何か部活に入る予定はあるの?」
「部活……かぁ」
部活……いわゆる青春の象徴。ただ、燿覇に部活に入る気はさらさらないのだが、ここでそう言うと面倒くさいことになりそうな気がした。なのでーーーーーー
「まだ決まってないかな。どんな部活があるか見てないし」
当たり障りのない答えを返す。これなら、部活に対して意欲的に聞こえなくもないから大丈夫な……ハズと信じて。
すると彼女は、にやにやしながら彼の目を覗き込もうとする。
「ほーう、ふーん、へー」
完全に疑っているかのような返事。だが、すぐに火穂は食事に戻る。
「ま、アキハのしたいよーにすればいいよ」
「う、うん、そうするよ」
背筋に冷や汗をかきながら、燿覇は「ごちそうさまでした」と言って食器をシンクまで運び、洗い、拭いて片付ける。
「じゃあ、僕は先にいくね?」
「えー、アタシと一緒に行かないの?おねーちゃんは寂しいぞー」
「寂しいなんて言う歳でもないでしょ……とにかく、先に出るからね」
「はーい、また後でね~」
「うん、後でね」
そう言ってカバンを手に取り玄関へと向かい、靴を履いてドアノブを握る。
「じゃ、行って来ます」
小さくそう呟いて、玄関の扉を開いた。
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火穂side
(いや~遂にあのアキハが高校生か~)
アキハが家を出た後、アタシは食器の片付けをやっていた。
両親は2人そろって出張に出ていて、本来ならアタシとアキハもついて行くべきだったんだけど、アキハが高校に入学する少し前な上、アタシが今の学校が良いと言ったら両親は「家事をしっかりとし、2人で協力して生活する」ということを条件に残っても良いと言ってくれた。
そして、今に至るといった感じである。
(ちゃんと……やって行けるかな……あの子)
火穂の不安。それはアキハがしっかりと周りに溶け込むことが出来るかだ。
だがそれ以上にーーーーーー
(もう、あの子も吹っ切れてるよね……あれから半年は経ってるし)
アキハの心に、深く傷を刻んだ出来事。あれから時間は過ぎたわけだし、傷も癒えているはず。
「ま、アタシがやることは1つだけだよね」
片付けを終えて、アタシは玄関へ歩き出す。その時だった。
「あ、そういえば」
カバンを開いて中身を確認。そして、目的の物を見つける。
「一応……一応だけど……持って行っておいて、損は無いよね」
それは『赤いデッキケース』と『黒いデッキケース』の2つ。本来の持ち主を失い、さまよう存在。
「さ、行こっかな」
アタシは扉を開いて駆け出した。
≪≪≪≪≪≪≪続く