同人エロゲにTS転生したので処女を守ってたら楽しくなってきた   作:ぴゅせー

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 同人エロゲいいですよね、こだわりの差分いいですよね。
 偉大なる先人たちに敬意の念を表しながら、エロイベぶっ壊す系TS転生者のお話です。
 勘違い要素もあります。


1 本末転倒TS転生者と、救いの手を差し伸べる聖処女

 主人公の処女をいつ捨てるか、それは同人エロゲにおける最大の問題である。

 

 いきなり何を言っているんだと思うかもしれないが、同人エロゲをプレイしたことのある諸氏なら理解してもらえるだろう。

 同人エロゲ、多くの場合は女の子が主人公で、モンスターやスケベな男どもにエッチなことをされるゲームを指す。

 男主人公の同人エロゲだってもちろんあるけど、ここはあくまで女の子が主人公の同人エロゲの話をする。

 

 そういうゲームにおいて、主人公は多くの場合ゲーム開始時処女である。

 当然だ、エロゲにおいて処女喪失シーンはエロにおける最大の見せ場だ。

 特に同人エロゲでは、処女を喪失するシーンは複数存在することが多い。

 ゲーム開始直後にエロイベントが挟まり、強制的に処女を喪失させられるとがっかりするよね!

 

 これは、そういうプレイヤーが主人公の処女を好きなときに捨てることができるゲームの話だ。

 気合の入ったゲームは、処女を喪失しうるエロイベント全てに処女差分を付けたりする。

 ときには、それがほんの少し文章が付け加えられて、CGに破瓜の差分が追加される程度だとしても。

 大事なのは、処女を捨てたのだというプレイ体験だ。

 

 一人の主人公にスポットを当てることの多い同人エロゲでは、主人公にプレイヤーが感情移入しやすい。

 結果、処女を捨てるということは、そのゲームにおける唯一無二の体験となるわけだ。

 そうなると、なんというか――もったいなくね?

 となってしまう。

 

 こんな奴にこの子の処女を捨てるなんてとんでもない!

 もっといい場面があるはずだ!

 とか言っているうちに、いつの間にかゲームはどんどん進行してしまい、気がつけば処女クリアしていた! なんてこともあったりなかったり。

 

 そう!

 

 もったいないのだ!

 

 とっても!

 

 とてつもなく!!

 

 もったいない!!!!!!!!

 

 失敬。

 でも、わかって欲しい。

 わかって欲しいのだ。

 自分がどれだけ多くのゲームで、特にするつもりもないのに処女クリアをしてきたかということを。

 そんな人間が、仮に同人エロゲの世界に転生してしまったらどうなるか、ということを。

 しかもTS、銀髪エルフの長命種。

 永遠の美少女確定演出。

 

 そりゃあ処女を守りますよねぇ!

 

 しかし、問題はそれだけではなかった。

 生まれ落ちた同人エロゲ世界。

 迫りくるスケベモンスターとセクハラオヤジ。

 ゴブリンスライム触手にオーク。

 娼館、催眠、人さらい。

 数多のエロイベと対決し、ハラハラ・ドキドキのスケベライフ(未遂)を送った結果、

 

 

 ()()()()()()()()()()

 

 

 貞操を守ることが。

 処女でいることが。

 スリルのアリすぎるアドベンチャーと化していたのだ。

 

 いやね、私が転生した世界は、それはもう典型的な同人エロゲの世界だったのだ。

 というか前世で特に好きだった同人エロゲの世界だったのだ。

 その同人エロゲは、道を歩けばエロイベントに当たるという治安の悪さで、下手すると宿に泊まるだけでエロイベントが発生してしまう。

 なんなら自宅を持っていても、突然暴漢が侵入してきてエロイベントが発生するんじゃないかっていう安定の同人エロゲ治安だった。

 

 毎日が貞操守護との戦い。

 主人公はよくこんな世界で処女を守れたな……と思えるくらいゲキヤバ世界で。

 最初のうちはもったいないという感情と、男にヤられるとか冗談じゃないって気持ちで処女を守っていたのだ。

 

 それが、いつしかピンチの状況を切り抜けるスリルに変わって。

 最終的には、もう処女を守ることそのものが目的にすらなってしまった。

 何なら自分からエロイベントに突っ込んでいくまでになってしまったのだよ、“私”は。

 

 ただ、そうやってエロイベに首を突っ込んでいると、自然と起きることがある。

 それは、別のエロイベ被害者の救出だ。

 たとえば、今回は触手の苗床にされた女冒険者の救出である。

 

 触手。

 エロゲにおける定番エロモンスター。

 当然この世界でも、女性を捕まえてぐっちょぐっちょのぬっちょぬっちょにしてくれる素敵生物だ。

 ただ、この世界の触手には困った特性がある。

 

 

 ――処女が大好きなのだ。

 

 

 繰り返す、処女が大好きなのだ。

 処女厨なのだ。

 そして、触手は一匹につき一人しか女性を苗床にしない。

 タイマンの純愛主義かよ。

 そのユニコーンの徹底ぶりったるや、処女と非処女を同時に苗床にするチャンスが発生した場合、躊躇うことなく処女を捕まえてしまうほど。

 いや、そもそもどうやって貞操の有無を嗅ぎ分けてるんだよって話はさておいて。

 

 今回、私が救出するのは、そんな元処女の女冒険者。

 触手なんて一人で討伐できると豪語し、フラグを立てまくり。

 私のアドバイスを無視して飛び出していった女性だ。

 少しくらいこっちのアドバイスを聞いてくれてもよかったのに。

 そうすれば彼女は苗床になるまでもなく――

 

 私も、こっちに興味をなくした元エロモンスターなんていう、果てしなく興味のない相手を倒しに行かなくてもすんだというのに。

 

 私の獲物を横取りした不埒な女冒険者を救うべく、私は今日もエロモン退治に赴くのであった。

 

 

 ♡

 

 

 粘りつく肌の感触と、とろけてしまいそうなほどに甘い臭いで目が覚める。

 ああ、何も変わっていない。

 現実を認識するとともに、吐息は悩ましげに荒くなっていく。

 意識を失う前の絶頂が今も肚の奥を支配しているのか、はたまた現実を認識した時点で発情のスイッチが入ってしまうのか。

 “女”にはもう解らなくなってしまっていた。

 

 どれほどの時間を、この肉の壁の中で過ごしただろう。

 心身ともに犯し尽くされた彼女の思考は、もはや現実を正しく認識していない。

 今も“それ”から与えられている快楽に幸福を感じているのか、絶望を感じているのかすら定かではないのだ。

 

 どうして、こうなってしまったのか。

 

 女は冒険者だった。

 組合に所属し、それなりに実績を積んだ冒険者。

 はっきり言って慢心していた。

 相手が女の敵として悪名高いモンスターであったとしても、問題なく一人で討伐することができる、と。

 

 

 触手。

 

 

 一般的にそう分類されるその魔物は、人間の女を苗床として成長する。

 母体とされた女は、人同士の交尾では絶対に与えられない快楽でもって触手の肚としての機能を植え付けられる。

 幸いなのは、女が触手の肚である限りは触手が女を活かすために、栄養を子種とともに与え続けることか。

 問題なのは、その栄養が女の快楽中枢を刺激し、余計に触手の快楽から逃れられなくしてしまうところだ。

 

 捕らえられた女は、短ければ一ヶ月、ながければ数年触手の苗床として“使用”される。

 当然、その間女には莫大な量の快楽を与えられ、しばらくしないうちに女は壊れてしまう。

 平均的な苗床の人間としての寿命は、せいぜいが半月と言われていた。

 

 冒険者がここに囚われてから、すでに一週間が経とうとしていた。

 この年まで大事に守っていた貞操は、初日に何の遠慮もなく貫かれた。

 尊厳と呼べる尊厳は、二日目には快楽に屈して失われていた。

 絶頂に次ぐ絶頂、ついにはみっともなく快感を貪る雌豚としての精神すら焼き尽くされ、今の彼女はただ諦観のままに与えられた嬌声を叫ぶ道具でしかない。

 

 ああ、こんなことならば、あの人の忠告をきちんと聞いておくべきだった。

 美しく長い銀髪エルフの、背丈は百五十あるかないかといった所の少女。

 小柄ながらも乳尻太ももはえー身体しとるのうぐふふ、とセクハラ親父が言っていたあのエルフ。

 とても旅慣れた様子で、すけべな魔物の知識も豊富。

 なんでそんなに詳しいの? もしかしてモンスターにヤられるのが趣味なの? と聞きたくなってしまったことは今でも良く覚えている。

 

 ああでもしかし、あの時彼女はなんと言っていただろう。

 それを覚えていれば、自分はこうはなっていなかっただろうに。

 そう、確か――

 

 

「この辺りは乳首ねぶりスライムがよく出てくるわ」

 

 

 ――――多分、違うと思う。

 快楽にふやけきった頭がひねり出した謎の発言に、女は擦れ切った精神でどこかズレた突っ込みをした。

 そんな時だった。

 

 自分を犯すすべての触手が、一斉に動きを止めたのだ。

 

 ()()()、と震えるようにしてから、動かなくなってしまった。

 困惑が頭を支配する。

 何が起きた? と思う余裕すらない思考は、しかし。

 眼の前のそれを確かに認識した。

 

 自分を覆うほどに蠢いていた触手が、剣によって切り開かれていくのだ。

 

「――お、生きてる?」

 

 同時に、光が差し込んでくる。

 触手の“中”は不思議な力で(くらいとスチルがよく見えないから)光源が確保されているが、それでも陽の光と比べればずっと薄暗い。

 思わず目が眩んでしまった女に、声をかけるものがいた。

 

「ま、捕まってから一週間ってところなら、まだ心が駄目になるほどじゃないだろうし、ましてや肉体的にはむしろ元気が有り余ってる頃だろうけど」

 

 剣で切り開いた隙間を、ぐいぐいと押し広げながら彼女は言葉を紡ぐ。

 

「にしても、処女厨の純愛主義者め。一人苗床にしたらこっちには興味を示さないとか貞操の守りがいのないエロモンだ」

 

 ――知っている。

 この少女を知っている。

 

「ま、おかげでこうして楽に救出ができるわけだから、救出部隊としては楽で助かるけどね」

 

 エルフ。

 一般的には森の奥深くに隠れ住み、人と交流することはない。

 だというのに、彼女はどういうわけか人里で生活し、人と積極的に交流することを好む。

 

「おーい、意識ははっきりしてるかい? 助けに来たよ。ほら、覚えてるかな、一週間前に君に触手のことでアドバイスをした――」

 

 名を――

 

「フィリだよ、フィリ・アーカイブ。よろしくね」

 

 ――フィリ。

 その名前を、どうして女は忘れていたのだろう。

 

 この世界は、女性に厳しい世界だ。

 男たちは女を食い物にすることしか考えていない。

 モンスターは女を苗床にすることしか考えていない。

 一人でスラム街を出歩けば、何をされても文句を言えないこの世界に。

 

 そんな女たちを救うエルフがいた。

 

 女性が食い物にされる場所に現れては、それを助け元の生活に戻してくれる救世主。

 それでいて、本人は()()()()()()()()()()()()()()()()()という噂の彼女を指して、人々はこう呼んでいた。

 

「せい、ょ、よ、さま……」

 

 

 ()()()

 

 

 処女を守りすぎて頭のおかしくなったTS転生者、フィリは周囲からそう呼ばれていた。

 本人はあくまで、処女を守ることに処女を捨てる以上の快感を見出しているだけなのに。

 自然とエロイベントに吸い寄せられた結果、彼女は多くの女性を救出してきた。

 それはいつしか憧れへとかわり、彼女にその二つ名を与えたのである。

 

 かくして、同人エロゲの世界にTS転生し、処女を守ることが楽しくなってしまった頭のおかしいエルフは、その世界では聖処女なんていうそれらしい二つ名を与えられ、崇拝(かんちがい)される存在となっていた――




 いまだに忘れられない乳首ねぶりスライムのパワーワード。
 このためにエルフにしてるところもあります。
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