同人エロゲにTS転生したので処女を守ってたら楽しくなってきた 作:ぴゅせー
この世界は『金髪エルフの淫蕩救世日誌』と呼ばれる同人エロゲの世界だ。
名前の通り、金髪のエルフ娘が、エロエロになりながら世界を救う物語である。
美麗なCG、目を引く主人公のキャラデザ、基本はサクサクだがやりこむと骨太なゲームシステム。
どれを取っても、同人エロゲかくあるべしといった具合の非常に素晴らしいエロゲである。
だが、何と言っても素晴らしいのはその狂ったまでのエロ差分。
進行上すべての処女を失うことのできるエロイベに処女差分を搭載し、豊富な段階イベントや淫乱度によるイベント差分などなど。
ここまでやれば誰でもエロ部分は満足できるだろうというくらいの、贅沢なごちそうとしか言いようがない差分の山だ。
無論、エロイベの数もとんでもない。
基本CG枚数200枚以上ってなんなんすかね……
それ全部に豊富な差分が用意されているわけだから、エロイベの総数は更にやばい。
紹介されたエロイベの数に圧倒された経験は、この作品以外だと数えるほどだ。
……数えるくらいはあるんだよな、同人エロゲは怖い。
ともあれ、そんな世界に女として転生してしまったものだから、当初私はすごい辛かった。
犬も歩けばエロイベに当たる世界とか冗談じゃない!
男にヤられるとか冗談じゃない!
あ、女の人にエッチなことされるのはばっちこいだよ!
っていうかちょっと男とのえっちも興味が……ごほんごほん!
という具合で、それはもう絶望した。
しかも生まれがエルフである。
そう、主人公と同じ種族だ。
どころか、同郷である。
私が生まれた頃にはまだ主人公ちゃんは誕生していなかったけれど、エルフである以上いずれ知り合うことになるだろう。
というか、この世界はタイトルに「救世」とある通り、世界の危機に瀕している。
普通に暮らす分にはそれを自覚することはないが、主人公ちゃんの側にいれば自然と巻き込まれることになるだろう。
冗談じゃない! そんなところにいられるか、私は旅に出るぞ!
そうして旅に出て、色々しているうちに私はそこそこ強くなった。
なにせこの世界はゲームの世界、ゲーム時代に使えた稼ぎはこの世界でも有効だ。
エロイベを切り抜ける必要性もあって、自然とチート転生者みたくなっていく私。
だが、どれだけ強くともこの世界の本質とは何ら関係はない。
なにせこの世界は同人エロゲ世界。
少しの油断が貞操の命取り、どれだけ強くなろうとも催眠とか媚薬で簡単に処女を失ってしまう。
レベルがカンストし、敗北エロイベとはとんと縁がなくなった今でも、世界は私をエロへと導いてしまうのだ。
そうこうしているうちに、私の癖が歪んで、処女を守ることそのものが目的となり。
気がつけば――数百年が経過していた。
なお、原作開始まではもう少し猶予があるのであった。
♡
――強くなりすぎてしまう弊害は、思わぬところで発生する。
「……仕事がない」
真っ昼間の冒険者組合で、私はお酒を飲みながらうだうだしていた。
冒険者組合ってのは、言うまでもなく冒険者ギルドの亜種。
転生モノだとギルドはギルドであることが多いけど、同人エロゲだと結構表記ゆれする気がするのは私だけだろうか。
「そうはいってもね、フィリちゃん。君、蓄えなんて山程あるだろ?」
「百年も使えば尽きちゃうから全然だよぉ。おじさん、なんかいい仕事ないのぉ? 触手とかスライムとかオークとかさぁ」
うだうだしている私に答えてくれるのは、組合のおじさんだけ。
がらんとしている冒険者組合は、人が集まってくるにはまだしばらく時間がかかるだろう。
今は午後を過ぎて少し立った頃。
昼食にするにも随分と遅く、朝早く出ていった冒険者が帰るには早い、そんな時間だ。
「フィリちゃんは強いんだから、そういう簡単な仕事ばっかり受けちゃダメだよ」
「解ってるから、こうして仕事がないって言ってるんじゃん……」
そう、ここ最近の私の悩み。
仕事がない。
正確に言うと、エロイベにつながるような仕事がない。
そういう仕事は基本的に冒険者の仕事としては難易度が低い。
だから実力の低い冒険者が受けるための仕事であり、私のような強者が受けると彼らの仕事を奪ってしまう。
なので、よっぽどのことがないと受けれないのだ。
「高難度の仕事を受ければいいじゃないか。フィリちゃんならいくらでも稼げるだろう?」
「ええやだ、面倒くさい……」
高難度の仕事。
厄介な大型モンスターの討伐、希少な素材の採取等々。
難易度は高いが実入りのいい仕事も存在する。
「だってアレには、
そう、そこが問題なのだ。
エロイベがないということは、単なるお金稼ぎにしかならないのである。
前世の労働と同じだ。
今の私はチートTS転生者、そんな依頼をどうして好き好んで受ける必要がある?
まぁ、金に困ったらしばらくそういう依頼を受けるけど。
貯金は百年分はある、少し心もとないが、豪遊しないのであればそこまで気にする必要はない。
ちなみになんでそんな依頼があるかと言うと、稼ぎ兼高難易度コンテンツである。
このゲーム――『淫蕩救世日誌』は中々骨太なRPGで、エロには結びつかない高難易度コンテンツも多少ながら用意されているのだ。
私も一通り前世ではクリアしたけれど、これが中々楽しかった。
が、まぁ今の人生で無理に挑戦するほどではない。
「そろそろこの街も一旦離れて、別の所に行こうかなあ」
「そうかい? フィリちゃんのお陰で街は随分と平和になって、こっちとしては助かってるんだけど」
「そのせいで自分の仕事がなくなったら、冒険者として本末転倒だよ」
いいながらも、おじさんは私にお酒のおかわりを持ってきてくれた。
にこやかな笑顔で、特にこちらには意識を向けたりはしない。
「……」
「どうしたのかな?」
「ううん? おじさんは信頼できる組合の人だなと思っただけ」
おじさんは、はてなマークを浮かべながら去っていってしまった。
私がいるとはいえ、冒険者組合も今は休憩時だ。
裏に下がって事務仕事をしたり、一息ついたりするのだろう。
そんな善良なおじさんだが、彼もまた問題の一つである。
先程の会話で、おじさんはちっともこちらにスケベな視線を向けなかった。
自分で言うのも何だが、私の乳尻太ももは背丈の割に豊満である。
それでいて、むっちりし過ぎではない高水準のバランス。
理想的なロリ巨乳ボディで、男なら誰だってスケベな視線を向けても仕方のない身体をしている。
あまりにもスケベな視線を向けられすぎて、ちょっと興奮してきてしまうようになった私としては少し物足りない。
エロイベといえば対人。
モンスター相手のエロイベもいいけど、やはり対人のエロイベというのは同人エロゲの華だ。
単純に、モンスター相手のエロイベって竿役が喋らないからちょっと物足りないんだよね。
思いっきり言葉責めしたりしてくれたほうが、私としては嬉しいのである。
後まぁ、単純にモンスターってビジュアルの時点で人を選ぶからね……
モンスターであることを明確にしなくてはいけないから、画面の占有率も上がって対人より女の子が写ってる部分が少なくなるのもよくない。
こっちが見たいのはモンスターのケツじゃなくて女の子のケツなんだよ! 問題は往々にして発生する。
じゃない! そもそも竿役のケツ問題は対人でも発生するだろ!?
コホン。
話がそれたけど、要するにあのおじさんとはエロイベが発生しないのだ。
エロイベなんて誰が相手でも発生しうるものだけど、時には
彼はそういう人だ。
前に、えっちなお姉さんが彼を誘惑してたことがあるけれど、涼しい顔で受け流していたから生粋のプロだよ彼は……
信頼のできる男性であるのは確かなので、こうしてのんきに酒を嗜んでいる間も気にせず話ができるわけだが、それはそれとして物足りないものは物足りない。
「はぁー、いい感じのエロイベはないかなぁ。もういっそ自分からスラムに突っ込むかなぁ」
人がいなくなったのもあって、溢れる独り言は完全に独り言へ変わる。
聞かれたらまずいんじゃと思うかも知れないが、あのおじさんが裏に引っ込んだのはきちんと確認している。
他の人に聞かれるのは、まぁ問題ない。
特にスケベ男が聞いたら、即エロイベのフラグになるので願ったりかなったりだ。
なので、適当に胸元を引っ張って自分の谷間を確認し、多少の露出癖を満たしていると――
「とりあえず装備の露出を増やしてみるかなぁ、流石にスラムに突っ込むのはカロリーがいるから、町中でのセクハラで様子見――――」
「大変だ! 誰か冒険者はいないか!?」
「っひょあああああああああああ!?!?!?!?!」
突然、人が入ってきて私はそれはもうでかい驚きの声をあげた。
酒の酔いが一気に冷める。
なんだなんだと視線を向けると、町人らしい格好の男性が入ってくる。
どうやら本当に大変らしく、こちらに気付くと私の乳尻太ももに目もくれることなく声をかけてくれる。
「フィリ様! いらっしゃったんですね!」
「あ、ああ私のことしってるの? うん、私がフィリだけど」
「でしたらお願いがあります! フィリ様、モンスター退治の依頼を受けていただけないでしょうか」
というか、私のことを知っていた。
……私のことを知っている人間は、私を様付けで呼ぶ事が多い。
なんでだろうね? ちょっと長生きしてるだけの冒険者エルフだぞこっちは。
「にしてもモンスター退治か……急ぎってことは近くで湧いたんだろ? ウェアウルフ? それともキラービー? どっちにしても行くけど……」
街の近くは、流石に平和だ。
だから出てくるモンスターにエロイベがない。
仮に負けたらそのままゲームオーバーになってしまうような。
頭の上にハートマークがついてないようなモンスターしかいないのだ。
だから、急ぎの依頼といっても正直そんなに乗り気はしない。
頼まれたからには断らないし、街の平和のため頑張りもするけどやるならやっぱり、ゴブリンのようなエロモンスターの方が――
「それが――街の外れの洞窟でゴブリンの目撃情報がありまして、朝から薬草を取りに行った娘が、帰ってこないんです」
「え? ゴブリン? 行くゥ!!!」
ひゃっほうゴブリンだ!!
即座に立ち上がった私は、彼から洞窟の場所を聞き出すと着の身着のままで飛び出していくのだった。
うっひょおおおおおゴブリンだあああ! ひさびさのゴブリンだああああ!
架空ゲーム界隈はその夢のゲーム自分もプレイしたい!
がたまにありますが、同人エロゲに関してはこれでもまだCG枚数とか差分を盛ってない方なのが恐ろしいですね。