ガールズ&パンツァー ~ 大洗は大砲鳥の夢を見るか ~   作:松ノ木ほまれ

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"重たい"願掛け

 

 

  ~ 第三帝国学園・空軍陣地 ~

 

 

 飛行訓練中と思しき、中学生ほどの年齢の男子達が、【Bu131 ユングマン】をUの字を描くように囲み、教官役の生徒に指導を受けている。

 ビュッカー航空機製造会社が手がけた、軽い操縦性をほこる複葉スポーツ機であり、パイロット養成用の初歩/基本練習機だ。ここに居並ぶ坊主達は、パイロット科の新米達。空へと飛び立つその時を夢見て芽吹いた新芽。みずみずしくてケツの蒼い小僧ッコ達だ。

 各々が煌めいた眼でBu131を見ている。訓練機だし、頑張っても183km/hしか出ない。だがこれは飛行機だ。

 翼を持たない人間が大空へ羽ばたく事を許してくれる人工の翼なのだ。

 

「コンラート、機体をロールさせる時にまだ若干の躊躇があったぞ」

「は、はい!」

「それにイーヴォ。乗りたてのひよっこが"捻り込み"はまだ早い」

「……だって、カッコイイじゃないスか」

「死ぬ気か馬鹿たれ!!」

 

 まぁ、意気揚々として怒られるのは男女ともに共通らしい。

 カッコイイ機体に乗るからにはカッコイイ事がしたい新米と、手痛いやけどを負ったからこそ轍を踏んで欲しく無い先輩の構図。

 

「今日はアイツ等が教導役か」

「彼等が、貴方の副官ですか?」

「副官とは少し違うますね。実質的な【戦闘航空団】の指揮は彼等に任せています。もう片方の長、と言った方が良い」

 

 そんな光景を遠目に見て、"ルーデル"と西住まほは言葉を交わす。【Sd.kfz.254装甲車】から見える景色に、まほはさほど男女の違いを感じることが無かった。戦車と飛行機が入れ替わっていると思えば、さして違和感を感じない。

 一つ違う所と言えば、中高大の年齢層が一体になっているという点だろうか。十二才から二十二才までの十年間を共に過ごすとルーデルは言う。

 

「実質、皆兄弟で副官のようなものです」

 

 そう口にする大佐の横顔はとても穏やかだった。しかしどこか寂しげだとも思う。それが何故なのかはまほには解らなかった。

 基地にいた面々が、ルーデルを視認した。すると、皆が一旦手を止めてこちらに向け姿勢を正し敬礼する。圧巻だった。皆、眼に爛々とした光が宿っている。

 

「手を止めるな、持ち場に戻れ」

 

 大佐の一声でさっと先ほどまでの位置に散る一同。まぁ、チラチラとまほ達女子へ目を向けてしまう男子は数多かった。

 

「皆、女子への免疫が無い思春期男子共なので。何かあれば黙らせます」

「お手柔らかにお願いします、大佐。私達も、男性への対応はずぶの素人同然ですので」

 

 車両はゆっくりと航空団の司令部へ向かう。執務室のある建物は簡素で、基本的な機能以外をそぎ落とした造りになっていた。学園艦内の他の建物、具体的には首脳部や他の委員会などが入っているであろう庁舎とは趣が違う。

 例に、学園保安本部はプリンツ・アルブレヒト宮殿を模した豪奢な造りであったが、そういう方向性が一切無い。ここだけ常に、最前線で拝借している長屋のようである。

 

「余計な奢侈は、不要です。贅沢を禁じている訳ではありませんが」

「飾りを許せば、次が欲しくなり気が散る。わかります。

 人間必ずどこかに緩みが出るものですから」

 

「「 緩みは人を弱くする 」」

 

 執務室までの廊下で、声が揃う。軽く眼を会わせてしまった。歩調が合うのは何とも心地が良い。『鉄の掟、鋼の心』を是として戦車道を歩んできたまほにとっては、ここもまた居心地の良い場所であると認識出来る。

 こちらの方が柔軟に富む印象も受けたが、それはやはり武道の流派として色恋黒森峰女学園と比べ、より実際の組織に近いからだろう。

 そしてこの"大佐殿"の気質が、西住流に近い何かであった。

 あの騎馬訓練場からというもの、肩の力を少し抜く事が出来ている。不安が解されているのだと実感している。少なくともまほはそうだった。赤星小梅と、飛騨エマはまだどれ程なのかはわからない。同年代の男子とはほぼ完全な初対面であるし、アウェイと言っても良い今の状況下で緊張するなという方が無茶というもの。

 

 執務室に案内された。必要最低限の調度品と、壁に掛けられている"航空軍団の戦果"。

 

「見せびらかすのは、本意では無いので恥ずかしい限り」

 

 言わんとしている事はまほにもわかる。黒森峰女学園にだって歴代の戦車道チームの残した功績が、賞状や記念タペストリー、新聞記事のスクラップ本といった形で残されている。先達が残したものを後輩が受け継いで、歴史を作ってきたのだから。

 だがこの部屋に飾られているものには、女子達にとって違和感を感じざるを得ない一つの共通点がある。

 

「大佐殿、ここは航空軍団の司令執務室、で良いんですよね?」

 

 飛騨エマが、そう質問した。まほと小梅もきっと同じ事を考えている。

 

「今の所はね。正確には"第2地上攻撃航空団"の司令部だけれども」

「そういう事なら、合点がいくと言いますか。何と言いますか。

 ……ここにあるのは()()()()()()()()()ではないかと」

 

 その質問に、"大佐"は返答に困ったように頬をかく。恥じてはいないが、面と向かって女子に聞かれると言葉に詰まったようだ。

 

「格好が付かないから全部飾れと、皆に脅されまして」

 

 壁の額に納められている数多くの勲章も、『出撃回数二千回突破』と見出しされている校内新聞の記事もそう。そして何より撃破数の大台突破を示す写真や記事。おびただしい数、年数を戦に打ち込んできた、この部屋の主ただ一人で積み上げてきたモノ。

 航空機や上陸用舟艇、装甲列車に火砲、装甲車とトラック……そして戦車。

 

 (あぁ、この人はまさしく『ルーデル』になった人なのか)

 

 ただひたすらに、天を駆けてきたのだ。十年近くもの間。シンパシーに近い何かすら感じる。黒森峰女学園に通って戦車道に邁進する女子にとっては、この空軍司令の下に置かれることになったのはそれこそ豪運だったのかもしれない。

 

「かけてください。多分、『フリドリン』が珈琲を煎れてくれています」

 

 部屋の長机が上には、既に数個の木造模型や地形図が置かれている。模型は急ごしらえで、きっと女子と共同戦線を張る事になった後に慌てて用意したものだろう。こういう方が良い。煌めいた部屋の中、豪奢な大理石のテーブルに広げられる金細工などよりよっぽど美しいできばえだと思う。

 少し経って、柔和な顔立ちの青年が部屋へやって来る。

 『フリードリヒ・ベッカー』。彼が地上攻撃航空団の副官だった。お茶くみは仕事じゃ無いと思うけど、と大佐にひと言嫌みを言いつつ、しっかりバームクーヘンも持ってきている。それと、大佐がその言い方にすら何も言わないあたりからして、相当信を置いているのがわかった。

 

「ではごゆっくり~」

 

 ほんの少しの間、室内を沈黙が支配した。4人の男女、みなが珈琲に口を付けていたからだ。

 

「……美味しい」

「あぁ言いますが、本心はこの珈琲の通りです。苦みはありますが、美味い」

「女子と共闘は苦々しいですか?」

「そういう意味では、無いのですが」

「隊長、そういうからかい方はちょっと……」

 

 小梅が横からまほを見て、途中で遮るのを止めた。顔の険が抜けて、目元が緩やかになっているのがわかったから。

 西住まほは、普段のメディア露出の部分や練習中の顔だけ見ていると、鉄面皮の人が如く思われるかもしれないが、本来は妹・西住みほと同じく"やんちゃな部分"が根っこにある。みほよりもそれを覆い隠すのが上手なだけ。

 西住まほが、相手に気を許している。だからあぁいう言葉が出てきた。

 こういう一面を知ってはいるが、直に見るのは珍しい事だ。故に小梅もエマも少し嬉しかったが、警戒しているのが自分達だけのような気分になってすこし微妙な心持ちにもなる。

 

「いや、構いません。すぐに打ち解けるなぞ無理なのは百も承知。

 いっそのこと、共同試合が嚆矢となればそれも叶いましょう」

 

 そう言って、大佐は模型を地形図の上へ置く。

 この図面は第三帝国学園の地上演習場を描いたモノで、様々なパターンの攻勢を想定した構造をしているのがわかる。黒森峰女学園の戦車演習場と似ているが、大きく違う点があるとすれば、構造物の造りが『歩兵が使用する事を想定』した代物が多い事だ。

 

「歩兵のいろはについては私は存じ上げない。其処は後日、陸軍の助っ人と我が空軍の地上部隊班から教導員を呼び立てます。大ざっぱな所からいきましょう」

 

 

 ※※※

 

 

  ~ その夜・黒森峰女学園・艦上街 ~

 

 

 日も落ちて、満天の星空が頭上に広がっている。

 西住まほはその星々の中で、一箇所、吸い寄せられるように見ている。『シリウス』が光る方向だ。焼き焦がすという意味を持つ、オリオン座のやや下側に光る星。その光を見上げながら、まほは胸に手を当てて考えていた。

 今日はとても、口が軽くなったような、肩から力が抜ける瞬間があった日だ。

 その理由を必死に考えている。あの学園に訪れて、空軍の場所への案内を頼んだ所から、驚く事が多かったと思う。黒森峰女学園の艦上街もドイツを意識した町並みが広がっているのが特徴的だったが、あの艦上街はまさしく『ベルリン』だった。

 

(ブランデンブルク門も完全再現だったな……)

 

 そして案内役となってくれたのが、ルーマニア系の学生だった男子と、ハンガリー系学校出身の男子。共に違う制服を着て、街の中では明らかに"浮いていた"。

 空軍への案内だったから、快く受けたのだと断言していた。身の上話を聞いて、「君らも俺達みたいにされていたかもしれない」と聞いた時は怖気が走ったものだ。

 

 < "大佐"は恩人だよ >

 

 その言葉を、不思議なことにすんなりと受け入れていた自分に驚いている。

 女の嗜み、神聖な武道たる戦車道に土足で踏み入られたと、憤ってはいた。今も承服はしていないし、矜持は護らねばならないとも思っている。それを慮って、"大佐"は可能な限り女子には"戦車道"の範疇で戦えるため調整しようという意思が見られた。

 きっと、親衛隊や陸軍に組み入れられた時、陸上の装甲戦力としてカウントされる事はあっても、随伴歩兵とのセットで戦闘へ繰り出される時に"戦車道"を重んじてくれるかはわからない。

 

「今の第三帝国学園は、強いとは言われていますが内部はこの有様です」

 

 ばつの悪そうな顔でそう言った事をまほは覚えている。今日の事だから当然なのだが。

 第三帝国学園は数年前から、一強状態であるとは言え大きくバランスを欠いている状況なのだとも、彼は付け加えた。女子側で言うBC自由学園のような極端さは無いが、事実上"親衛隊"と"陸軍"の椅子取りゲーム状態。派閥争いに近い様相なのだ、と。

 どっちからも頼りにされる空軍は我関せず状態で、どちらにも肩入れしづらい。

 

「どっちに属したとしても、戦力に組み込まれて"看板娘"扱いは免れなかったかと」

 

 第三帝国学園上層部、と言うより親衛隊首脳と陸軍首脳は最初からそのつもりで女子の取込みにかかったと見て良い。"大佐"はそう断言した。実際、馬術部といった共通点のある部活動の子達にも声がかかっているそうだ。

 各部隊にバラバラに配属された場合、それはチームの解体を意味する。

 

 ―― もしそうなっていたら

 

 考えるまでも無い。"戦車道"が事実上消滅という憂き目に遭っていただろう。

 空軍麾下の陸上戦力。立場としては確かに納得しない子も出てくるのは間違い無いが、"戦車道"というスタンスを護る上では最も良いかもしれない。

 事実、解体併合された男子校の中には悲惨な末路を辿った学校もあったと言っていた。

 

「チェコスロヴァキア系の生徒は殆どが脱落しました。

 部隊はバラバラに組み込まれて、"死兵"として様子見の捨て駒扱い。

 嫌気が差して大半がやめていった。一割も残って無いですよ」

 

 辛そうな顔だった。その時はまだ中坊で発言力も無きに等しかったと言う。

 

「ですが、高等部に入った頃にはもうこの立場でした。

 少ないですが、同じメに合わずに済ませた奴がいただけで良し、です」

 

 ただ、女子となると扱いがわからなくて焦っているとも補足する。

 男子と同じく、体面を保ちつつ陸上戦力として防衛にあたらせるのか。それとも……

 

「座して空港を護るだけというのは"西住流"ではない。そうですね?」

 

 女子の体面も保持しつつ、今までとやり方を少し変えるか、だ。

 

「家を保てず他家の家老が座に納まるより、いかに規模が違えど()()の立場で裁量を振るうかの方が、黒森峰女学園にも良い筈です」

「……『織田信長と徳川家康』のように振る舞いますか?」

 

 テーブルを挟んで、大佐とまほは微笑んでいた。まほの両隣に座る小梅とエマはどうなるのかを頭の中でシミュレーションしている真っ最中。そして大佐とまほはある程度既に終わらせていた。

 

 そう、驚く程似ていた。頭の回転と発想、出てくるものも。

 

 基地の執務室での一連の出来事を思い出し、なんとも言えない感覚をまほは何とか処理しようとする。肌寒くなり始めている季節なのに、ぽかぽかする。こういう時は、自室に帰った後にホットミルクでも飲んで、ベッドに入って寝る。

 これに限る。頭を整理しなければ。

 

「その前に、手土産でも買っておくべきか」

 

 知らないうちに、一部の不幸な男子校と同じ目に遭わないよう図ってくれた事への礼が、言葉でしかできていない。手ぶらで行くわけにもいかないではないか。

 

「ど、どういうものが……喜ぶんだ?」

 

 さて、困った事になった。物を土産とするとして、何が良いのか。

 筋トレ器具? それはもう揃っているかもしれない。戦車系は可笑しなチョイスだろうし、飛行機関連の物は黒森峰女学園の商店には無い。

 手料理……はいきなり重すぎる。どう考えてもおかしい。かといって半端な物ではコチラが何とも気が晴れない。

 

 気持ちを表しつつ、かつ重すぎないものは何か。

 

「験を担いた方が良いのか、この際。あぁ、それが良い」

 

 ふと思いついた。()()なら、今回のお礼には足りないが、変な勘違いも無い良い返礼になるだろう。そう思って、まほは街中の商店街へと足を運んだ。ただ彼女にとって盲点だったのは、実家が太い事による"()()()()()()()"だった。

 

 

 ※※※

 

 

  ~ 第三帝国学園・黒森峰女学園・停泊港にて  ~

 

 

 周囲の空気が、響めきで震えている。

 二校生徒の本格的な顔合わせが始まろうというタイミング。両校の保有車両が出そろって、親衛隊幹部や陸軍参謀達、黒森峰の女子戦車道チームや馬術部の面々。皆が出そろい始めていた時の事だった。

 

 西住まほが、艦から降りてきたルーデルに駆け寄っていく。

 

 片手に紙袋を持っていた。それぞれ遠目に仲間達が見ている中、近寄っていった。大佐の顔は、一体この時にどうしたのかと心配する色が見える。それは、黒森峰側の逸見エリカ・赤星小梅・飛騨エマらも同じだった。

 

「一体どうされました、西住さん」

「先日のお礼、まだ足りていませんでした」

「お礼なぞ……自分は」

 

 そう言いかけたが、大佐はまほの目をみて二の句をつげなかった。いたって真剣な目をしていたからだ。面と向かって撥ね付ければそれこそ彼女の体面に泥を塗る事になる。それに、紙袋から見るに"物"によるもの。

 

 変な勘ぐりを受けるような別の何か、という訳では無さそうだ。

 

 だがすぐにその読みは外れた。

 

「では、ありがたく」

「……すみません、大佐。

 片膝をついてもらえませんか。身長差が」

「……こうですか?」

 

 まるで姫君にかしずく騎士のような。端から見ればそんな構図。

 

 ざわめきが大きくなった。誤った、とルーデル側は思ったが、まほには聞こえていない様子だった。緊張しているのか、少し頬が赤くなっている。

 紙袋から取り出したのは、『赤いスカーフ』だった。それをまほは、自分の手で大佐の首元に巻いた。既に取ってあったタグには『ファ○エロ・サル○ィ』とある。確か、イタリアのファッションブランド。

 

「これは……」

「私の願掛けです。赤い布は血の色。

 既に血が流れているので、もう血が出てくる事はありません」

 

 無事に戦場から帰ってこられるように、という願掛けの一種だ。思いついたとまほは言う。黒森峰女学園のまま、戦車道の体面を保てるよう考えてくれた事への礼と言いながら。

 ルーデルは、捲かれたスカーフを握る。暖かかった。元々暖めてあったのか、それとも今の気持ちから来る錯覚なのか。本当にこれは自分の血なのかもしれない、と納得してしまうような昂揚だった。

 

  もしくは、己の奥底に巣くっている"アイツ"が反応しているのか ――

 

 しかしだ、嬉しい。本当に嬉しいのだが、マズい事になったとも思った。

 

 「「「 えええぇええぇええエエェエっ!!!? 」」」

 

   (ル)―― 本当にこの子は()()()にそっくりだ

 

   (ま)―― あれ? 験担ぎもかねて秋季に防寒用品を送るのはおかしいか?

 

 マズい、別の意味でマズい。ルーデルとしてはその意識が嬉しさには劣るが心中を渦巻いてしまう。

 まほとしては、皆が何故そんな反応をするのかわからなかった。女子一同には、主立った面々に既に事情は話してある。返礼の品を渡すだけだと言ってあるのに、何なんだろうかと首をかしげる。

 

 ただ、まほは気づいていない。彼女が買ったスカーフは約77,000円。

 そして願掛けの意味も加味すると、下手な"手作りお菓子"だの、手描きのお手紙だのといった、年頃の少女達が段階を踏むとして経る『()()』をとうに通り越した人間が選ぶ物である事に。

 

 2段どころか3段4段を飛び越えて、5段階飛びを目の前でかまされた。

 

 いわばそんな感じ。

 

 二人各々の副官、逸見エリカとフリドリンは唖然となりながら、ドン引きな感想を隠す事も無く、二人に言い放つ。

 

「……大佐、司令部でナニやったんです?」

「た、隊長。それじゃあ……"戦での安全祈願をする奥方"ですよ」

 

 ルーデルは頭を抱え、かたやまほは己のしでかしに気づいたか顔がトマトのように赤くなってしまう。しかし今更待ったなんて出来はしない。

 

 「「 違う、コレはそういうんじゃない 」」

 

 

 ルーデルは少し苦しげに、まほは消え入るような声音でそう言うほか無かった。

 

 

 

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