魔法冥王リリカル☆ゼオライマー   作:Gセイバー

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それではどうぞ~!!


第4話

 

公園を出た後、家の帰路を歩きながら、先程の事をゼオライマーとマサトは話していた。

 

 

「マスターは優しいんだな。」

 

 

ゼオライマーにそう言われると、マサトは照れ気味にこう言った。

 

 

「いやそんな、当たり前の事をしたまでだよ。」

 

 

でも、あれで良かったのかな‥‥?内心そう思いながら家へ向かう。

 

 

なのはちゃんか‥‥。また、会えるかな?

 

 

しばらく歩いていたマサトだが突然歩みを止め、周りに目を向けた。突然の行動にゼオライマーは声をかける。

 

 

「どうした?マスター?」

 

 

「いや、なんか声が聞こえた気がして‥‥」

 

 

すると突然大きい声が響びいた。

 

 

 

「いや!!!!離してよ!!!!」

 

 

 

「離してください!!痛いです!!!」

 

 

 

「黙ってろ!!お前らを誘拐すれば金になるってリーダーに言われたんだよ!!」

 

 

 

響いた声は二人の少女、そして一人の男性の物であった。どうやら男が二人の少女を誘拐しているように思える。

 

 

「今のって!?」

 

 

「誘拐の可能性が高い、マスターは周辺を探せ!」

 

マサトは走りながら周りを確認し始めた。人通りの多い所では誘拐はしないと思い、あえて人通りの少ないくらい裏道を確認していた。

 

 

車のドアが閉まる音が聞こえた後、前から猛スピードの車がマサトの前を横切った。普通だったらあの様な猛スピードを出す必要は無いはずだ。

 

 

「今の‥‥もしかしたら!!ゼオライマー!!今の車をサーチして!!」

 

 

「了解!」

 

 

ゼオライマーから聞いた話では、機能の一つのでサーチと言うものがある。どうやら車や建物の中にいる人間や動物を索敵できる機能みたいだ。

 

 

「サーチの結果あの車の中にいたのは5人、3人は中年の男性、2人はマスターと同い年の女子。間違えなくさっき聞こえた声の誘拐された女子だ。どうする?マスター」

 

マサトはここで考え込む。普通ならばここで警察を呼ぶべきだ。誘拐なら身代金などを要求される可能性が極めて高い。

 

 

「すぐに警察に連絡をして!僕はあの車を追いかけるから!!」

 

 

「まさか1人で追うつもりか?無謀だぞ!」

 

 

「誘拐といっても犯人が人質に手を出すかもしれない!!なにしろ急ぐにこしたことはないよ!!」

 

 

「分かった…くれぐれも無茶はするなよ!あの車が向かった場所は、海鳴港だ」

 

 

「よし!!行こう!!」

 

 

 

ゼオライマーが車の向かった場所を伝えると、すぐさまマサトはそこへ向かって走っていった。

 

 

 

海鳴港に到着し、マサトはすぐさま車に駆け寄って中を確認した。

 

 

「あれ!?‥‥誰も居ない」

 

 

「倉庫の中に生体反応アリ、か。数は分からないがどうやらあいつらの仲間のようだ。」

 

 

「グループでの犯行ってこと?‥‥ゼオライマー、警察には連絡できたの?」

 

 

「ああ。少し遅れるが、必ず到着する」

 

 

 

ゼオライマーがそう言うと、マサトはこれからどうするかを考える。

 

警察の到着を待つべきかな‥‥?いや、それまでにあの人達が動かないとも限らないし‥‥ならどうすればいいんだろう‥‥?

 

 

 

「マスター?」

 

 

ゼオライマーが声をかける。するとマサトは突然こう言い出したのだ。

 

 

「‥‥僕が助けなきゃ!」

 

 

 

「!?正気かマスター!!」

 

はっきり言ってマサトが言い出したことは自殺行為に近い。普通の人なら警察が来るまで安全に待機している事を選ぶだろう。

 

でも、お人好しな彼は放っておけないのだ。

 

 

「ここには僕以外誰も居ない!なら僕がやるしかないでしょ!?」

 

 

「‥‥分かった。まったく、無理は絶対するなよ」

 

 

「うん!」

 

 

マサトはそう返事をすると、倉庫へと入っていった。倉庫は一階のみで、2つの部屋があるくらいだった。しかし、犯人達は刀や銃を武装している人も居たのだ。

 

足音を立てずにゆっくりと一つの部屋へ進む。途中、通路に何本かの長い鉄パイプが落ちていた。

 

 

‥‥取り敢えず、これがあれば‥‥多少なんとかなる筈‥‥。

 

 

マサトは落ちている長いパイプの一本を護身用として拾い、部屋のドアへと着く。ドアは少し開いていて、そこから覗ける程の隙間だった。

 

隙間を覗きこむと、そこには縛られて身動きが取れない女の子が2人、男性が3人居た。

 

 

「ぜ、ゼオライマー‥‥どう思う‥?」

 

「一人ぐらいならマスターでもギリギリなんとかなりそうだが、三人となると、とても厳しい‥‥‥」

 

 

すると部屋の中から声が聞こえ始めた。

 

 

「へへへへ、ガキを二人連れてくるだけでこんなに金が入るのですかい?」

 

 

「そりゃそうだろう、ここら辺じゃ有名な、バニングス家の令嬢と月村家の令嬢だぞ?これくらい普通だろう?」

 

 

「そうだな。だが何故月村家の令嬢もなんだ?バニングス家だけでも大金だが」

 

 

 

三人の男はそう言った。どうやら人質の女の子二人は、この町では有名な貴族の様なものらしい。その二人を誘拐し、身代金を要求、受け取ったらこの町から去るつもりなのかもしれない。

 

 

「あ‥‥あんたたち‥‥なんのつもりよ!?」

 

 

 

その人質の一人が声を荒げながらそう言った。金髪でロング、水色の目をした少女だ。強い言い方だが、声が震えていた。たったの五歳で誘拐されたのに、怖くない筈が無い。

 

 

 

「‥‥‥‥」

 

 

 

もう一人は何も言わずにただ男を見てる紫色の髪に黒目の少女だ。

目には涙が溜まっている、怖くて声すら出ないのだろう。

 

 

「ああ?どうするって、お前ら使って金を要求するんだよ。」

 

 

 

「なら私だけでいいじゃない!!なんですずかも一緒なのよ!!」

 

 

 

と金髪の少女は叫ぶ。どうやら人質の二人は友人みたいだ。紫色の髪の少女は金髪の少女を心配そうに見つめている。

 

 

「それは‥‥」

 

 

 

そこまで言ったリーダー格の男の言葉を遮り、下っ端らしき男が話し出した。

 

 

 

「それより兄貴、少しいいですか?」

 

 

 

「‥‥‥なんだ」

 

 

 

リーダー格の男は少し怒気を含みながら下っ端に聞いた。

 

 

 

「その‥‥‥ですね?金を貰った、こいつらどうするんですか?」

 

 

「‥‥‥ここに置いて、倉庫を爆破するがそれがどうした?」

 

 

 

「「「!!??」」」

 

 

 

人質の二人とマサトはその言葉を聞いて驚愕する。別に金を受け取とって人質は殺す。ドラマの誘拐ではよくあるかもしれない。しかし方法が普通では全くありえないような方法だから驚いたのだ。

 

 

 

しかし、下っ端の言葉に二人は更に驚愕する。いや、それが人質二人にとっては恐怖になった。

 

 

「その前に、こいつらの身体、楽しませてもらえませんか?」

 

 

 

「「!!??」」

 

 

 

今の発言に二人は驚愕していた。マサトはその言葉の意味は分からなかったが、人質の二人が危ない目に合わせられる、と言うことだけは何とか伝わった。

 

 

 

「なんだ?お前、小さいのが好きなのか?‥‥‥手短にな」

 

 

 

「へい!ありがとうございます!!」

 

 

下っ端は目の色を変え、人質二人に視線を向ける。二人は「ビクッ!!」と肩を揺らし、後ずさる。

 

マサトは少し焦り、辺りになにか役に立つ物が無いか見回した。すると手榴弾が一つ転がっていたのが目に留まる。

 

 

『これは‥‥しゅ、手榴弾‥‥?』

 

 

マサトが小さな声で呟くと、ゼオライマーが気づかれない程度の声でこう言った。

 

 

『解析して見た所、これは閃光手榴弾だ。恐らく誘拐犯の誰かが落とした物なんだろう』

 

 

マサトはその言葉を聞き、ある事を思いついた。

 

 

これなら使えるかもしれない‥‥!!

 

 

 

 

「さあ、楽しませてもらうとするか!」

 

 

 

「「いや‥‥‥!!こないで‥‥‥!!」」

 

 

 

二人の人質と男性の声が聞こえた。今まさに襲う瞬間だ。その声を聞いて、マサトは覚悟を決めた。あの少女たちを助けると。危険な目に合わせないと。

 

 

 

 

マサトは扉を開け、中に閃光手榴弾を投げ込んだ。爆発音と共に眩い光が広がり、男達は目を押さえて苦しむ。

 

その隙に部屋に入り、鉄パイプを男達の頭に一人ずつ思い切り叩きつける。

 

 

 

 

「ふんっ!!」

 

 

 

「がぁっ!?」

 

 

 

 

叩くと同時に鈍い音が鳴り響く。男達はその場に倒れ込み、気絶した。

 

 

「よ、よし!‥‥うまくいった‥‥」

 

 

そう呟き、周りを確認した。どうやら部屋の中に男達は三人のみ。外から他の仲間達が来る気配はなかった。

 

 

マサトは直ぐ様二人の元へと向かう。二人は目をやられてはいないらしく、彼を真っ直ぐ見つめていた。

 

 

「大丈夫?」

 

 

マサトは二人に向けてそう言うと、二人は無言で首を縦に振った。どうやら怪我もなさそうだ。マサトは胸をなでおろす。

 

 

「よし、とにかくここから出よう。立てる?」

 

 

 

マサトは二人に問いかける、二人は互いを見つめ合い、そして首を縦に振った。その時

 

 

 

「なんだ!?今の光はなんだ!?」

 

 

 

「ガキのいる部屋からだぞ!?まさか助けが来たのか!?」

 

 

 

部屋の外から複数の男性の声が聞こえてきた。どうやら先程の閃光弾手榴弾の光に気づき、確認に来たらしい。急がなきゃ‥‥!!

 

マサトは小さな声で二人に呼びかける

 

 

「行くよ!」

 

 

2人はうなずき、マサト達は急いで部屋から出て近くの物陰に隠れた。その直後、部屋に再び2人の男が入ってきた。マサトは2人にここで待っている様に呼びかけ、部屋に入った1人の男に気付かれない様に背後に回った。

 

パイプをもう一度思い切り振って一人の男を気絶させる。しかしそれに気付いた他の男がマサトに向かって襲いかかって来る。

 

 

 

マサトが咄嗟の判断で鉄パイプを男の腹部に振り、怯るませる。その隙に、頭に鉄パイプで殴ってまた気絶させた。そして部屋から出て出口へと向かうが‥‥。

 

 

 

 

 

「おいガキ!!人質を返してもらおうか!!」

 

 

 

出口に着く直前、1人の男に見つかってしまった。マサトは2人を守るように前に立ち、鉄パイプを構える。

 

 

 

「まさか、こんなちびっ子が人質を助けにくるとはな!」

 

 

 

 

「誘拐を目撃しておいて、見て見ぬふりなんて僕には出来ません!!」

 

 

そういうと、男はマサトを見下すかのようにニタリと笑った。するとこんな事を言い出した。

 

 

「へっ、随分肝が座ってるようじゃねえかぁ...おいチビ。バニングス家の令嬢はいいが、月村家の令嬢は助けなくてもいいんじゃないか?」

 

 

男性はそんな事を言い出した。マサトは怪訝な顔を男性に向けていた。人質の片方を助け、もう片方は助けなくてもいいとそういっているからだ。

 

 

この人はなにを言ってるんだ‥‥?そんな事できるわけがない!

 

 

 

「何言ってるんですか!!おじさんは人質を見捨てろと僕に言ってるんですか!?」

 

 

「へっ、お前も知っているんだろう?月村家の秘密を」

 

 

 

そう言うと紫色の髪の女の子は肩をビクッと揺らした。どうやら月村家の令嬢っていうのはこの子みたいだ。そうすると、もう一人の金髪の子がバニングス家の令嬢なのだろう。

 

 

「つ、月村家の‥‥‥秘密?」

 

 

 

「なんだガキ?知らないのかぁ?ならおしえてやるよ。そのガキの秘密を」

 

 

 

「いや‥‥‥やめて‥‥‥‥言わないでっ!!!」

 

 

紫の髪の子が必死な声で辞めるように言うがそれも虚しく‥‥

 

 

 

 

「月村家はなぁ、‥‥‥‥吸血鬼の一族なんだぜぇ?

 

 

 

 

‥‥‥‥つまりなぁ‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月村家はなぁ、「バケモノ」の一族なんだよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

男が大きい声でそう叫ぶと、少女は膝から崩れ落ちてしまった。

 

 

 

 

〜マサトside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???side〜

 

 

 

言われてしまった‥‥‥私の‥‥‥私たちの秘密を‥‥‥‥

 

 

 

これでもう・・・・私はアリサちゃんに嫌われる・・・・

 

 

 

化物って言われた‥‥‥私はアリサちゃんと一緒にいたいだけなのに‥‥

 

 

 

私は家族と「普通」に暮らしたいだけなのに‥‥‥

 

 

 

私は秘密を誘拐犯に明かされ、膝から崩れ落ちる。そして目から涙を流して嗚咽をこぼしていた。

 

 

これでもう私の居場所が無くなる。今までの楽しい時間は戻ってこない。目の前の男の子も、もう助けてくれないだろう。私はこの男に殺されるとそう思っていた。

 

 

 

「‥‥それが、どうしたっていうんですか…?」

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

その男の子の言葉を聞くまでは……

 

 

 

 

〜???side out〜

 

 

 

 

 

 

〜マサトside〜

 

 

 

「………な、なに?」

 

 

 

「それがどうしたっていうんですか?」

 

 

 

男性に向けてマサトはそう言うと、男性は驚きながらもこう言い続ける

 

 

 

「どうしただと!?‥‥そいつは‥‥そいつは吸血鬼なんだぞ!?化物なんだぞ!?助ける必要なんてねぇだろうが!?」

 

 

 

 

 

男性は声を荒げながらそう言った。マサトはその男に腹が立っていた。

 

 

「なんでそうなるんですか?おじさんが言ってる事に信憑性がないです。この子が吸血鬼になる理由が分からないです」

 

 

 

 

「だから‥‥だから助けるってのかぁっ!?」

 

 

 

 

「‥‥‥確かにおじさんがいう通り、もしかしたらこの子は吸血鬼なのかもしれない‥‥」

 

 

 

マサトがそう言うと彼女は表情が暗くなる。

 

 

「けれど‥‥」

 

 

そこで言葉を切ると、全員の視線がマサトに向く。そして男性に向かって大きなこう言い出した。

 

 

 

「この子のことはよく分かんないです。だけど、それでも一つだけわかることがあります‥‥

 

 

 

 

この子はおじさん達を怖がり、それでも友達を心配できる優しさ‥‥‥

 

 

 

 

心を持ってるんです!!

 

 

 

 

 

だからこの子はおじさんが言うような化け物なんかじゃないっ!!少なくともこんな事をするおじさん達なんかより、よっぽど人間らしいです!!」

 

 

 

マサトは怒気を含んだ声で自分が思った事を男性に向かって叫んだ。そう言うと彼女は目を見開き、大粒の涙を流した。

 

そして彼女の友達は、彼の言葉に便乗してこう言い出した。

 

 

「そ‥‥‥そうよ!!!すずかが吸血鬼だろうとなんだろうと、

 

私の大切な親友よ!!あんたの言う様な化物じゃないのよ!!!」

 

 

 

「アリサちゃん‥‥」

 

 

彼女達は互いに顔を向いて、涙を流し笑い合っていた。その光景は至って普通の親友同士で笑い合う光景だった。

 

 

マサトは、再び男に視線を向ける。すると男性はワナワナと体を震わせ、マサトに視線を向けた。顔には怒りの表情が出ている

 

 

「このクソガキがぁ!!!!調子に乗るんじゃねぇぞ!!!」

 

 

男性は刀を構え、マサトの方へ駆け出した。マサトは鉄パイプを構える。そして思い切りパイプを振るうとそれは男の顔に命中した。

 

 

「このっ!!」

 

 

 

 

「がぁ!?」

 

 

駆けていた男は倒れて動けなくなった。

 

そしてマサトは二人を連れて出口から脱出すると、外には警察と彼女達の家族や関係者らしき人達が到着していた。

 

彼女、月村すずかの姉である月村忍と、その友である高町恭弥、月村家のメイドであるノエル達であった。すずかは泣きながら家族に抱きついていた。

 

 

それはマサトにとって、とても微笑ましい光景だった。

 

 

彼女達は話をしていると、マサトに視線を向けた。すると、すずかがマサトの事を家族に話すと、顔を険しくさせた。そして彼の方に向かった。

 

 

「妹を助けてくれてありがとう」

 

 

 

女の人は僕にそう話しかけてきた。すずかと言う子に似た紫色の髪でしっかりしてそうな人。妹と言っていたから姉だとマサトは考えた。

 

 

「あはは・・・見過ごす訳なんて僕には出来ませんから。それよりおねえさんは?」

 

 

マサトがそう聞くと、女の人は名前を言った。

 

 

「ああ、ごめんなさい、私は月村忍。この子の、月村すずかの姉よ。君の名前は?」

 

 

「僕は木原マサトです」

 

 

 

「よろしくねマサト君。それで聞きたいことがあるんだけど、月村家の秘密を知ったって本当?」

 

 

 

忍は顔を険しくさせながらマサトに問う。どうやら男の話した事は本当のことみたいだ。

 

 

「すずかちゃんが‥‥吸血鬼だと言う話ですか?」

 

 

 

「やっぱり、聞いたのね・・・。アリサちゃんも一緒に聞いたらしいから、もしかしたらと思ったけど・・・。」

 

 

 

「聞いたと言うより、誘拐犯が勝手に話したと言ったほうが良いですかね…」

 

 

 

「そうなのね・・・。それでねマサト君、月村家の秘密を知ったからにはあなたをこのまま帰す訳にはいかないのよ。」

 

 

その言葉を聞いてマサトは驚いた。忍の顔は先程の雰囲気とは打って変わり、明確な殺意とも思えるような剣幕になっていた。しかしそこにすずかが割って入って来た。

 

 

 

「お姉ちゃん!!マサト君は私達を助けてくれたんだよ!?」

 

 

 

「確かにそうだけど、それはそれ、これはこれなのよ、私は月村に迫る危険は排除しようと考えてる。」

 

 

 

「マサト君が危険だって言いたいの!?」

 

 

 

「少なからず誘拐犯を無力化できる力を持っているのよ!!充分危険だわ!!!」

 

 

 

忍にそう言われてすずかは黙り込む。それもそのはず、すずかはマサトが誘拐犯を無力化するのを目の前で見ているのだから。

 

 

こんな幼い少年が犯人を無力化出来る事自体が異例なのである。

 

しかし当の本人は勿論、戦闘訓練などしていないただの元中学生だ。犯人を無力化し、二人を助け出せたのは、はっきり言って運が良かっただけなのだ。

 

 

 

 

「見苦しいところを見せたわね、ごめんなさい。」

 

 

 

「き、気にしないでください。忍さんがしている事は、間違いじゃないですから」

 

 

 

「ありがとう。さて木原君、秘密を知ってしまった以上あなたには二つのうち、どちらかを選んでもらいます。一つは月村に関する記憶を消して過ごす事、もう一つは、この秘密を誰にも話さない事を誓って、すずかと一緒に暮らす事。」

 

 

「お‥‥‥お姉ちゃん!?////」

 

 

 

すずかは頬を赤く染めて姉に声をかける。記憶を消すか、秘密を共有して話さない事。簡単な二択だった

 

 

 

「‥‥分かりました。何も喋りません。」

 

 

 

マサトは答えた。その言葉にすずかと忍に呆気にとられていたが我に帰った忍はその即答に疑問を抱いた。

 

 

 

「即答ね‥‥理由を聞いてもいいかしら?」

 

 

そういうとマサトはこう答えた。

 

 

「誰にだって、話したくない事はあります。すずかちゃんのはとても重いものです。それに僕が話してすずかちゃんの未来を無くしてしまうのは嫌ですから」

 

 

 

「‥‥‥分かったわ。なら私も何もしない」

 

 

忍は微笑みながらマサトの頭を撫でた。

 

 

「え、えっと……何を?」

 

 

「なんだか無性にしたくなってね。駄目かな?」

 

 

「い、いえ。大丈夫です...。」

 

 

忍は彼の頭を撫で続けた。マサトはなんだか恥ずかしい気持ちになったが不思議と悪い気はしなかった。

 

 

そして、犯人が捕まり、恐怖から解放され、家族と再開した。これでもう、誘拐事件が終わった様に見えた。

 

 

 

 

あいつの声が聞こえるまでは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この化物がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

「「「「「!!??」」」」」

 

 

 

突然叫びに全員が声の発した人物に目を向ける。それはあの男性だった。警察の拘束から無理矢理逃れ、刀を振り上げてすずかに向かって駆け出していた。その場にいる全員が最悪の結果を予想してしまう。

 

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

「きゃあああああ!!!!!!」

 

 

 

「「すずかぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

 

 

男性の叫びと共に振り下ろされる刀、すずかの悲鳴、忍とアリサの叫び、

 

この場面ですずかを助けることができる人は誰もいない。

 

 

一人を除いては‥‥

 

 

 

 

〜すずかside〜

 

 

男性の声を聞いて、視線を向けたら、刀を振り上げ駆け出す男だった。

 

 

 

その対象は私だった。私だけは‥‥「化物」だから‥‥

 

 

 

逃げようと思ったが、走ってくる男を見て、腰が抜けて立つことすらできなかった。目の前に男が迫り、刀が振り下ろされる。

 

 

 

ああ‥‥‥私は死ぬんだ‥‥‥私が化物だから‥‥‥

 

 

 

その時、今まで、一緒にいてくれた家族、アリサちゃんの事を思ってしまう。走馬灯というものなのだろう。アリサちゃんと楽しく遊んだ事、家族と一緒に過ごした時間が、思い出す。

 

 

私は‥‥‥まだ‥‥‥お姉ちゃん達、アリサちゃんと、一緒にいたかったなぁ‥‥‥

 

 

 

私は目を閉じて、死を覚悟した。

 

 

 

「危ないっ!!!」

 

 

 

すると、誰かの声が聞こえて‥‥

 

 

 

 

ドンッ!!!

 

 

 

「痛たっ…」

 

 

 

横から衝撃が来た。誰かに押されたようだった。私は目を開けて見る。

 

 

 

しかし、眼の前に広がる光景を見た時、私はうまく声が出なかった。

 

 

 

「ぁ‥‥あ‥‥‥あぁ‥‥‥あぁっ‥‥‥!!」

 

 

 

私の居たところにはマサト君がいた。でも、私は彼を見て、思わず口元に両手を当ててしまった

 

 

 

だって‥‥‥だってマサト君は‥‥

 

 

 

 

 

お腹の脇を切られて‥‥血が出ていたのだから

 

 

 

 

 

 

〜すずかside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

〜マサトside〜

 

 

 

 

「あっ‥‥!!」

 

 

 

この時のマサトの行動は一瞬の判断だった。すずかの方へ急いで走り出す。

 

 

マサトはすずかを右から押した。そして刀が振り下ろされる。マサトの右脇腹に切り傷ができると共に、

 

 

 

切られた場所から血がどんどん溢れ、激痛が走った。

 

 

「‥‥うぐぁっ‥‥!!」

 

 

痛みのあまり顔を歪めるマサト。だが、あの時の事故の痛みに比べれば大したことはない。そう自分に言い聞かせながら激痛を耐える。犯人の男は直ぐ様、同行していた恭弥達に無力化された。

 

血が大量に溢れ出ている右脇腹を抑え、すずかの方に向く。

 

 

 

「すず‥‥か‥‥ちゃん‥‥だっけ…?…だ、大丈‥‥夫‥‥‥?」

 

 

 

「あ‥‥‥‥マサト君‥‥‥そんな‥‥‥‥」

 

 

 

「‥‥‥‥怪我‥‥‥無い‥‥‥?」

 

 

 

「私より‥‥‥マサト君が‥‥‥」

 

 

 

 

「き‥‥気にしない‥‥‥で‥‥‥」

 

 

 

すずかちゃんには怪我は無いみたいだ‥‥良かった‥‥

 

 

 

心の中でそう安心すると共に、徐々に意識が朦朧としてくる。

 

 

 

「救急車!!急いで!!早く!!」

 

 

「ああ、分かってる!!」

 

 

忍がそう呼びかけるが、既に恭弥は救急車を呼んでいた。周りは焦りを感じるほど慌ただしくなっている。

 

 

 

 

「ちょっと!!あんた!!大丈夫なの!!??」

 

 

「‥‥確か‥‥君‥‥‥は‥‥アリサ‥‥‥ちゃん‥‥‥だっけ‥‥?」

 

 

 

「あんまり喋らないの!!出血が酷いのよ!!??」

 

 

 

アリサは顔を青くしながらマサトを心配する。五歳で同い年のマサトが右脇腹を切られ、そこから鮮血が出ているのだ。そのせいで言葉も途切れ途切れになっている。

 

 

 

「‥‥‥心配‥‥しないで‥‥大丈‥‥夫だか‥‥」

 

 

 

そこで言葉が途切れ地面に倒れるマサト。右脇腹からは血が少しずつ広がっていく。すると、すずかとアリサがマサトに駆け寄り体を揺すりながら、必死に名前を呼ぶ。

 

 

 

「マサト君っ!!目を開けてっ!!マサト君っ!!!」

 

 

 

「まだお礼も言ってないのよ!?さっさと起きなさいよぉ!!」

 

 

 

すずかとアリサは泣きながらマサトにそう呼びかける。その直後、忍が救急隊員を連れ到着し、マサトは搬送された。

 

 

すずか、忍、アリサは事件の重要参考人として、警察で事情聴取を受け、家に帰宅した。

 

 

 

 

 

こうして誘拐事件は木原マサトの重傷、犯人は全員確保で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

場所は海鳴大学付属病院。木原マサトはここに搬送され入院している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、あれから5日後。マサトは未だに目を覚ましていない。

 

 

 

 

 






次回の投稿にも時間が掛かりそうです‥‥。ですが楽しみに待ってくれると嬉しいです!!是非感想など書いて下さい!!それでは〜!!
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