始まる物語、不思議な出逢い。ー純白の冥王、降臨ー
マサトは、夢を見ていた。
マサト「⋯⋯⋯?」
見慣れない風景の場所。夜の様に暗く、周りには生い茂っている木々⋯林だろうか。真ん中に人が通れる一本道がある。すると、誰かがその道を駆け抜けてゆく。マサト達と同じ位の歳の、見慣れない服を来た金髪の男子だ。
その子は、ただ走っているだけでは無い。何かを追いかけている様に見えた。
何を追いかけてるのか気になり、男子の先の方へ視線を向けてみる。
マサト「あれは⋯、何だろう⋯?」
その子が追いかけているのは、黒いスライムの様な何かだった。それは自分の意志で動いている。何かの生き物だろうか。よく見ると、額には宝石のようなものが付いていた。
「お前は、こんな所にいちゃいけない⋯⋯」
男子は黒い生物に右手を翳した。手のひらから魔法陣のようなものが展開される。マサトにとって、見覚えがあった。
マサト「これは⋯術式魔法?」
そう、彼が使ったのは術式魔法。マサトはゼオライマーから魔法の知識を学習した際に知ったのですぐ分かった。その男子は言葉を紡ぎ、最後にこう言い放つ。
「ジュエルシード、封印!!!」
マサト「ジュエル、シード⋯?」
初めて聞いた単語にマサトは首を傾げる。どうやらあの魔法は封印魔法らしい。それを受けた黒い生物は苦しみだす。だが、すぐに魔法から逃げ出し、破裂したかと思うと、彼に向けて、飛び散った無数の黒い肉片が襲いかかる。
男子は走って避けると、地面は土煙を上げ、木々は崩れ、そこにあった木製の橋が壊れる。
やがて攻撃が当たってしまい、金髪の男子は倒れてしまう。黒い生き物は元の形に戻って逃げてしまった。
金髪の男子は体中がボロボロになっていた。
マサト「だ、大丈⋯!?」
マサトは慌てて駆け寄ろうとするが、突如として男子は光りだした。あまりにも眩しくて、マサトは目を閉じてしまう。光が収まった後、男子がいた場所には一匹の動物が横たわっていた。その側には小さな赤い玉が転がっている。
マサト「⋯⋯あれ?」
再び目を開けると、先程見た林ではなく、自分の部屋の天井であった。
マサト「あれは、夢だったのかな⋯?一体何だったんだろう⋯。」
先程まで見ていた不思議な夢。
それは、これから始まる物語のきっかけに過ぎなかったのである。だが、マサトが知る由はない。
体を起こし、制服へ着替えて、机に置かれてるゼオライマーを手に取り、台所へ下りる。
朝食をテーブルに置き食べ始める。その最中、マサトは夢のことを考えていた。あの金髪の男の子や、謎の黒い生物。そしてジュエルシードというもの。
魔法の知識などを教えてくれたデバイスのゼオライマーなら何か知ってるかと思い、これらのことを聞いてみることにした。
マサト「ねえ、ゼオライマー。聞きたいことがあるんだけどさ」
ゼオライマー「どうしたマスター」
マサト「ジュエルシードって言うのを聞いたことはある?」
ゼオライマー「ジュエルシード⋯?聞き慣れない単語だな。すまないマスター、流石に俺は分からない。」
マサト「そっか⋯」
ゼオライマーが分からないのなら仕方がない。そう思ったマサトはこれ以上、夢のことを考えるのはやめにした。
すると今度はゼオライマーから別の話題を振られる。
ゼオライマー「マスター、学校の件なんだが少し早く家を出てみるのはどうだ?」
マサト「どうして?」
ゼオライマー「マスターはこれから一人で登校するつもりだろう?せっかくなのは達という友達が出来たんだから、一緒に行ってみたらどうだ?」
マサト「なのはちゃんと?」
翠屋へ行った時判明した事なのだが、マサトの家となのはの家は意外にも近かったのだ。一緒に登校するのは簡単だろうが、一つ問題点があった。
マサト「でも、成志君が居るんだよな⋯」
そう、話を聞くには、成志が懲りずに無理矢理なのはと登校しようとしてるらしいのだ。なのは自身、かなり迷惑している様子だった。
ゼオライマー「なら、その時はなのはを助ければいいだけの話だろう?」
そう話しながらも朝食を食べ終えた後、支度を済ませる。バッグを持ち、なのはの家へと向かうのであった。
なのはの家に到着したマサトは、インターホンを鳴らして少し待つ。すると「はーい」という声と共に扉が開かれる。出てきたのは桃子だった。
マサト「おはようございます、桃子さん」
桃子「あら!?マサト君じゃない!?怪我は大丈夫なの?」
マサトを見るなり心配の声を掛ける桃子。昨日、木刀でやられた傷のことを心配してる様だ。
マサト「軽い傷だったので大丈夫です」
桃子「そう⋯良かったわ。あの後、恭弥にはOSHIOKI☆しておいたから、安心してね?」ゴゴゴゴゴ⋯
ひっ!?い、今のは⋯!?
桃子の顔こそ笑っているが、内側から発せられる威圧感に一瞬怯えてしまうマサト。だが、桃子はすぐに普段のもの柔らかな雰囲気に戻る。
桃子「それでマサト君、今日はどうしたの?」
マサト「なのはちゃんと一緒に登校しようと思って来ました。なのはちゃんはいますか?」
桃子「あら♪そうなの?ごめんね、なのははまだ寝てるのよ⋯⋯⋯そうだわ♪マサト君、ちょっといいましら?」
マサト「?」
最初は申し訳なさそうに答えたのだが、何かを思いついた桃子。マサトに手招きをして家へ上げると、微笑みながら耳打ちをした。
なのは「⋯⋯⋯⋯うーん⋯⋯⋯ふあぁぁぁ⋯⋯」
陽の光が眩しくて、目が覚める。身体を起こしてあくびをした。窓から陽の光が部屋を照らしていた。
なのは「⋯なんだか⋯⋯変な夢⋯⋯」
私は今朝、夢を見た。男の子が変な生き物を追いかける夢。なんだったんだろう?そう思いながら、ベッドから下りてリビングへ向かう。
なのは「おはよう⋯」
桃子「おはよう、なのは。」
なのは「おはよう、お母さん⋯⋯⋯あれ?」
何時ものようにお母さんに挨拶する。だけど、おかしい。いつもならお母さんは朝ごはんの準備をしているはずなのに!でも、キッチンからは料理を作っている音がする。誰かいるのかな?
キッチンの方を覗くと、お姉ちゃんがいた。
なのは「お母さん、まさかお姉ちゃんに朝ごはん作ってもらってるの?」
桃子「ふふふっ♪今日はね、とある子が作ってくれてるの」
なのは「とある子?」
とある子って、誰だろう?すると、キッチンから話声が聞こえた。
美由紀「美味しい!!どうしてこんなに美味しく作れるの!?」
「いつも家事とか自分でやってるので、それなりに料理もできるんです。」
美由紀「料理だけじゃなく家事もやってるの!?なんて家庭的な子!!」
「はい、できましたよ」
お姉ちゃんが誰かと話している。すると料理を運んできた。
卵焼き、お味噌汁にウインナーとサラダ。ごく普通の朝食だった。でも、お姉ちゃんが作ってないのなら一体誰が作ったんだろう?
「あ、桃子さん、料理ができました」
すると、キッチンから男の子が出てきた。でも私はその子を見て驚いてしまった。
なのは「ま、マサト君!?」
そう、料理を作っていたのはマサト君だったの!!
マサトの姿を見てなのはは目を見開いていた。だがマサトは気にせず挨拶をする。
マサト「あっ、おはよう。なのはちゃん」
なのは「あ、うん⋯おはよう⋯じゃなくて!!な、なんでマサト君が家にいるの!?///」
頬を赤らめながらそう聞くなのは。その質問に桃子が返答する。
桃子「マサト君がなのはと一緒に学校に行こうって思って、来てくれたのよ?」
なのは「え⋯?本当?」
マサト「うん、その時に桃子さんになのはちゃんを驚かせようって言われて。それがあれだよ。他にも僕が料理してることを話したら食べてみたいって言われてさ、作ってたところなんだ。」
なのは「そ、そうなんだ⋯ありがとう、マサト君///」
マサト「礼には及ばないよ。」
また顔を赤らめ、お礼をいうなのは。それに対し、マサトは気にしないでと言った様子。だが、桃子のちょっとした指摘により雰囲気が変わる。
桃子「ところでなのは、学校があるんでしょう?着替えてきたらどう?」
なのは「⋯え?」
そう言われ、自分の格好を確認するなのは。桃色のパジャマのままで、寝癖も少々立っている。目の前にはマサトが居る。数秒の静寂が部屋を包んだ。
なのは「にゃあああああああ!?!?」
なのはは、また顔を真っ赤にして部屋を出ていってしまう。ビューン!という擬音がピッタリなくらいの早さだった。
数分後、なのはが自分の部屋から戻ってくる。制服に着替えており、髪を整えようとしているが、慌てているせいか上手く纏まらない。
なのは「うぅ、髪が纏まらないよぅ⋯どうしようぅ⋯」
なのはは涙目で桃子に聞く。すると、マサトは何か思いついた表情をして、桃子に質問する。
マサト「桃子さん、くしってありますか?」
桃子「え?あるけど⋯あ、そういうことね♪」
質問され、何をするのか察した桃子。笑顔になりながらもくしをマサトに手渡す。
マサト「なのはちゃん、こっちに来て座って。」
なのは「え?⋯う、うん」
なのはに手招きし、前の椅子に座らせるとマサトは耳打ちする。
マサト「髪、こっちに向けて。ちょっと我慢してね」
なのは「ふぇ?ひゃぁ!?///」
なのはの髪をくしで整え始めたマサト。
桃子「あらあら♪上手ねぇマサト君、やったことあるの?」
美由紀「そうだね、初めてとは思えない手付きよ?」
桃子と美由紀はマサトにそう聞いてくる。周りからみてもそれなりに出来ているみたいだ。
マサト「前にちょっとだけやった事があって。⋯桃子さん、なのはちゃんの髪、リボンで結んでくれますか?」
桃子「いいわよ、任せておいて⋯はい、できたわ。」
マサト「ありがとうございます。ほら、できたよ」
なのはの髪を整え終えたマサト。いつものサイドテールだ。
マサト「ご、ごめんね、急に髪触っちゃって」
なのは「う、ううん!?別にいいよ!?⋯むしろ、触って欲しいというか⋯」
マサト「?何か言ったかい?」
なのは「な、なんでもないよ!?」
その後、朝食を食べ終えたなのははマサトと一緒に学校へ登校していた。
だが、なのはの様子がおかしい。顔を赤くしチラチラとマサトの方へ視線を向けるが、いざマサトがなのはの方を見ると顔を背けてしまうのだ。
マサト「⋯なのはちゃん?」
なのは「にゃ!?ど、どうしたの?マサト君」
マサト「さっきから顔が赤いからさ⋯風邪だったりしないよね、大丈夫?」
なのは「う、ううん!?大丈夫だよ!?」
マサト「そ、そう⋯?」
本人がそう言うのなら大丈夫なのだろう。そして、スクールバスに乗った二人は中でアリサ、すずかと合流し、学校へ到着した。
授業も問題なく受け、学校を終えた放課後。
マサト達4人は公園へ向かっていた。すると、湖に掛かっている橋とボートが壊れていたのだ。そこには数人の人達と警察が集まっている。
「ああ、危ないから入っちゃいけないよ」
アリサ「あ、はい。あの、何かあったんですか?」
「ああ、橋とボートが誰かに壊されてしまってね。今片付けているんだよ。私達警察もこれから色々と調べるところなんだ。」
アリサは警官の一人と話している。一方、マサトはこの場所に見覚えがあった。
マサト(あれ⋯、ここって夢で見た場所と同じ⋯?)
そう、今朝見た夢の場所とまったく同じだったのだ。
その時、
『助けて⋯』
マサト「ん?」
誰かの声が聞こえた。マサトは周辺を見渡す。すると突然、なのはが走り出したのだ。マサト達は後を追うように走り出す。走っている最中、マサトはなのはの急な行動を不思議に思っていた。
マサト(もしかして、なのはちゃんにもあの声が聞こえたのかな⋯?でもアリサちゃんやすずかちゃんは聞こえてない様だけど⋯。一体どうなってるんだ?)
心の中でそう考えていると、なのはに追いついたマサト達。なのはの手には、何かが抱かれていた。どうやら動物みたいだ。
マサト「この動物は⋯?」
アリサ「傷だらけじゃない!!どうしたのよ!?」
すずか「なのはちゃん、その子どうしたの!?」
なのは「この子、ボロボロなの!!お医者さんに診てもらおう!!」
マサト「確か近くに動物病院があったっけ⋯急ごう!」
急いで病院の元へと向かったマサト達。獣医さんに診てもらったが、命に別状はないみたいだ。
すずか「よかったね、あの子が無事で」
アリサ「そうね。でも何で、あのフェレットはあんなにボロボロだったのかしら?」
マサト「フェレット?」
なのは「うん、あの子はフェレットっていう動物なの。でもそうだね、珍しい動物だし、何かに襲われたのかな?」
どうやらここら辺ではあまり生息していない動物らしい。しばらく話をした後、なのは達と別れて帰宅するマサト。すると、ゼオライマーが話しかけてくる。
ゼオライマー「マスター、あのフェレットには何かあるぞ。」
マサト「え?どういう事?」
ゼオライマー「あのフェレットから、微弱ではあるが魔力反応があった。魔法で変身しているのではないかと思われる。」
マサト「成る程⋯。」
会話を終え夕食を作っていただいた後、マサトは部屋に戻り、机にゼオライマーを置く。ベッドへ寝そべり、のんびり過ごしていた。
⋯その時だ。
『助けて⋯』
また夕べのあの声だ。頭に直接響いてくるこの声は一体何なのだろう?頭を抑えながらマサトはそう考える。するとまたゼオライマーが声を掛けてきた。
ゼオライマー「マスター、この声は動物病院の方からしている。」
マサト「動物病院?何でそんなところから⋯?」
ゼオライマー「十中八九、恐らくはあのフェレットだろう。それに、近くに魔力反応と生体反応アリ⋯だ。」
マサト「わ、分かった。今すぐ行く!」
ゼオライマーを手に取り、家を出て動物病院へ走って向かうマサト。街灯の明かりが夜道を照らしている。その最中にも、助けを求めるあの声は頭に響き続けていた。
やがて、目的の病院へ到着すると目に入った光景に驚愕してしまう。なんと道路は砕かれ、病院の建物は影も形もなくなっていたのだ。直後、大きな音が響き渡る。
音のした方へ向かうとそこには、なんとなのはがフェレットを抱え、黒い何かから逃げていたのだ。あの黒い生物、夢で見たのと全く同じだった。
それを見たマサトは迷いなくゼオライマーを取り出す。
マサト「⋯ゼオライマー、初めての戦いだ。いけるかい?」
ゼオライマー「勿論だ。」
ゼオライマーを持った手を上に掲げ、マサトはデバイスを展開する掛け声を叫んだ。
マサト「ゼオライマー!!セットアップ!!!」
ゼオライマー『Stand by Ready. SET UP』
デバイスが黄色に光り輝くと、マサトはその光りに包まれ、身体中に各部装甲が装着されて行く。やがて顔も装甲で覆われる。
純白の装甲に、肩からから縦へ伸びるブレード状のパーツ、両太ももから外側へ突き出ているスタビライザー。
頭から四本の角が生え、光球が顔にはめ込まれており単眼を思わせる。特徴的な容姿をしたロボット、ゼオライマーへとなったのだ。
マサト「行け!ゼオライマー!!」
背面のスラスタを吹かしながら、純白の冥王は、黒い生物の元へと駆けてゆく。
なのは「え?えええぇぇぇ!?」
夕べ聞いたあの声が聞こえた私は、家を飛び出して病院へ行った。すると、変な黒い生き物があのフェレットを襲っていたの。急いで私はフェレットを抱え、その黒い生き物から逃げていた。
「お願い⋯僕に少しだけ、力を貸して!お礼は必ずしますから!」
なのは「ふぇ、フェレットが喋った!?」
すると、抱えていたフェレットが腕から離れて、首にかけている赤い玉を外した。
「今の僕の魔力じゃ⋯アレを止められない。だけど、あなたなら!」
なのは「魔力⋯?」
そうしている間にも後ろから迫ってくる黒い生物。急に出てきた単語に私は首を傾げながらも、どうすれば良いかフェレットに聞く。
なのは「どうすれば良いの?」
「これを!」
フェレットは赤い玉を口に咥えながら渡してきた。私はそれを受け取ると、赤い玉は桃色に光り始めた。
「それを手に、目を閉じて心を澄ませて!」
なのは「わ、分かったの!」
私は言われるがままやろうとした。
けどその直後、あの黒い生物が飛び上がり、上から私たちに向けて落下してくる。
「「っ!?」」
避けようとしても、きっと間に合わない。直感でそう感じた私は、目を閉じた。
けど、いつまでたっても痛みは襲ってこない。
なのは「⋯⋯あれ?」
その事が不思議に思い、恐る恐る目を開ける。すると、私の目の前に人が居た。黒い生物を両手で抑えていたの。
いや、人では無いのかも知れない、正しく言うなら人型。
そこに居たのは⋯⋯純白の装甲を持つ、特徴的な形をした、ロボットだった。
マサト「ええい!!」
両手で抑えている黒い生物を押し返すマサト。後ろへ退き、隙が出来た瞬間体当たりし、力いっぱい殴って距離を離した。
なのは「え⋯⋯ロ、ロボット⋯?」
「こ⋯⋯⋯これもデバイスなのか!?」
なのはとフェレットはその姿形を見て、驚いた声を上げる。彼女たちの方へ振り向き、マサトはゼオライマー越しに声を掛けた。
マサト「大丈夫かい、なのはちゃん!」
なのは「え!?マサト君!?」
マサト「怪我は大丈夫?」
なのは「う、うん!大丈夫なの!!」(また助けてもらった⋯///、⋯かっこいいなぁ⋯マサト君///)
顔を赤らめながらそう答えるなのは。特に目立った傷も無いようでよかった。
マサト「良かった。少し離れてて、僕はアレの相手をするから!!」
「ま、待ってください!!」
そこで、フェレットがマサトに声を掛ける。フェレットが喋ったことに少し驚くマサト。しかも脳内に響いたあの声と同じであったため、このフェレットが話しかけていたのかと理解した。
マサト「フェレットが喋った⋯!?」
「あれは普通に戦っても倒せません!!奴についているジュエルシードを封印しないとダメなんです!!」
マサト「ジュエルシードだって⋯?」
フェレットから視線を変え、住宅の屋根に乗っている例の黒い生物を見る。奴の体には、恐らくそれと思われる宝石が一つ付いていた。
マサト「あれを封印する?でも、僕はその封印のやり方なんて知らないし⋯何か、策があるのかい?」
「はい!少しの間で良いです、時間を稼いで下さい!」
マサト「分かった!」
お願いを承諾したマサトは、黒い化物へと立ち向かってゆく。相手は飛び上がり、こちらを押しつぶそうと攻撃を仕掛けてくる。
マサト「ええい!!」
こちらも飛び上がり、真正面から手の光球で殴りかかった。化物の体が破裂するが、散り散りになった一部が集まり元の姿に戻る。今度は相手から迫まってくるが、距離を取ってエネルギー波を撃つ。奴の胴体へ直撃、風穴を開けるが、先程のようにまた再生している。
そのようにして相手をしていると、なのは達が居る所が突然桃色に輝き始めた。しばらく輝き、やがて光が収まるとそこに居たなのはの姿にマサトは驚いた。
私服から、学校の制服に似た格好に変わっていたのだ。
「よし!成功だ!!」
それを見たフェレットは歓喜の声を上げる。一方、マサトは化物を相手にしながら何故なのはの姿が変わったのか疑問に思っていた。
マサト「なのはちゃんの姿が変わった?それにあの杖⋯」
変わったのは格好だけではなかった。片手には、持ち手の部分が青と白、そして先端に赤い球体が収まった、機械的な杖を持っていた。
ゼオライマー「俺達と同じデバイスじゃないか?」
マサト「なるほど⋯神様が言ってた戦闘っていうのは、こういうことだったのか」
ゼオライマーの言葉に、以前神様が言っていたことを思い出すマサト。ジュエルシードが関連して戦闘が起こるみたいだ。
「あの!ジュエルシードを封印します!!」
マサト「分かった!」
マサトは再び光球で化物を殴る。そして化物から距離を取ると、桃色の閃光が奴を包み込んだ。攻撃が来た方向を見る。なのはが放った攻撃みたいだ。
ゼオライマー「凄いな⋯どれだけの魔力量なんだ、なのはは?」
マサト「そうだね⋯」
なのは「リリカル、マジカル!ジュエルシード、シリアルXXI封印!」
その掛け声と共に、化物は桃色の閃光に体中を貫かれ、消滅する。化物が居た場所には一つの宝石が落ちていた。ジュエルシードを無事封印したなのは。それを見たマサトはなのはの元へ駆け寄った。
マサト「終わったのかい?」
「は、はい⋯あなた達のお陰で。ありがとう⋯」
これで万事解決⋯と言いたい所だが、一つ問題がある。
マサト「なのはちゃん、ここから離れよう」
なのは「え?どうして?」
マサト「今の騒動、絶対他の人に聞かれてると思うから、ここに居ちゃ⋯」
その時、遠くから音が響き渡る。パトカーのサイレン音だ。先程の騒動を聞いた近所の誰かが通報したのだろう。自分達の居る道路は酷くひび割れている。ここに居たままだと、色々マズイことになるのは目に見えていた。
なのは「にゃ!?ご、ごめんなさい〜〜〜〜!!」
パトカーの音を聞いたなのはは慌てて飛び去ってしまう。
マサト「あっ!?なのはちゃん!? ほら、追いかけるから、乗って」
「あっ、うん。分かったよ」
フェレットを手のひらに乗せ、なのはの後を追ったマサト。
追いついた先は公園だった。なのはの服装は、制服に似た姿から私服へと戻っている。杖を持っていた手には、赤い玉が握ってあった。それを確認したこちらも解除する。
なのは「ご、ごめんねマサト君⋯急に飛んでいったりして」
マサト「あぁ大丈夫だよ、気にしないで。さてと⋯」
すると、マサトは屈んでフェレットへ話題を切り出した。
マサト「君に、色々聞きたいことがあるんだ。ジュエルシードという物や、君自身のことについて」
「は、はい。全てお話しします」
フェレットの話を要約すると、こうだ。
ジュエルシードと呼ばれるあの宝石は、元々発掘された物であり、それを輸送中に落としてしまったのだという。これが事の発端らしい。
マサト「つまり、そのジュエルシードは歪んだ形に願いを叶えてしまう、危険な代物って認識で良いの?」
「うん、それで大丈夫だよ」
マサト「わかった。でも、君はこれからどうするんだい?まさか一人で探しに行くつもりじゃ⋯」
「そのつもりだよ。これは僕の責任でもあるんだ。だから僕自身で何とかしなければいけない」
マサトの問いに対してフェレットはこう返してきた。相当な覚悟を感じられる。とは言うものの、一人で探すのはあまりにも効率が悪く、それでいて危険だ。
マサト「なのはちゃん、今の話を聞いみて、どうしたい?」
なのは「え?」
マサト「なのはちゃんには、ジュエルシードを封印する力があるでしょ?と言うことは、これから探すのを手伝って欲しいんじゃないかな。」
「その通りだよ。でも、さっきみたいに危険な目に遭うかも知れない。それに、僕が勝手に頼んだからね。どうしたいかは、君自身で決めて欲しいな。」
フェレットの言葉を聞いて、なのははどうするか考える。数分経つと、やがて決意した表情になり、返答する。
なのは「私も手伝わせて。一人で探すよりも見つかりやすいだろうし、それにほっとけないもん!」
マサト「そう言う事なら、僕も手伝うよ。」
「え?」
マサト「なのはちゃんだけにやらせる訳には行かないからね。」
なのは「マサト君⋯⋯///」
マサトの言ったことに顔を赤くしながら視線を向けるなのは。そして、フェレットはその返答に感謝したのであった。
「ありがとう⋯二人共。自己紹介がまだだったね。僕はユーノ。ユーノ・スクライア。ユーノでいいよ、よろしく。」
なのは「私は高町なのは、よろしくね!ユーノ君!」
マサト「僕は木原マサト。これからよろしくね、ユーノ君!」
自己紹介を終えた二人と一匹は公園から出て、帰路につく。
マサトはなのはを家まで送った。なのはの家へ到着した際、恭弥に先日の件で謝罪され、少し戸惑ったマサトだったが、あまり気にしないように言った。
やがて、マサトも自分の家に帰宅し、ベッドに倒れ込んでそのまま眠りにつくのであった。
しかし、これはほんの始まりに過ぎない。これから始まるのは、新たなる出逢いの物語でもある。
はたまた遅れてしまいました。本当にごめんなさい。