今回はプロローグで言っていた薬草学しか出来ないと言っていた魔術師の視点です。
さあ誰でしょうか?
召喚と再会
秋原町の秋原小学校、ここに魔術師遠坂凛は用事があった。
入り口で母校訪問と記入して、目的の先生の名前を言うと3階の多目的室で待つようにと通された。
(来客なのにどうして、多目的室に通されなきゃならないのよ...)
通常ならば、来賓室に通されるのが常だ。
何を考えてるのか分からないとつい思ってしまった。
多目的室について、30分後に授業が終わったか大急ぎで部屋に駆け込んできたものがいた。
「はぁっ....はぁっ...おまたせ......!授業終わってから急いで来た。」
先生と思われてスーツを着こなしてはいるが、ピンクの髪があっておらず、なんとなくアンバランスという印象であった。
「お忙しいところ、お呼び立てして申し訳ありません。しかしどうして来賓室ではなく多目的室だったのですか?」
息を整えながら、先生の方はようやく口を開いた。
「これから話すことを考えたら、来賓室で誰かに聞かれるより誰もいない多目的室の方が話しやすいと思って判断したのよ」
「.....まあお気遣い感謝します、では話し合いを始めましょうか?アーチェ先生」
アーチェ・クライン、秋原小学校の先生をやっているがその実態は教師の傍らで魔術の研究をしている魔術使いなのだ。
遠坂凛も表向きは学生だが、この町に先祖代々住んでいる魔術師の家系にして聖杯戦争を始めた御三家の1つ、遠坂家の当主でもあるのだ。
「そうしようか、ところで今回の聖杯戦争についてわざわざあたしを雇うって来たのはどうしてなの?管理者ならば、真っ先に参加資格はあるはずでしょ」
凛は今回は、何故か参加資格であるはずの令呪の兆候が見られなかった。本来ならば御三家には参加券ともいえる令呪の兆候が出るはずにもかかわらずだ。
悔しい話ではあるが外様の魔術師を雇うことを決めたのだ。
「令呪の兆候が出なかったです、それに魔術協会の魔術師より信頼できる人と判断したの.....」
「魔術協会の魔術師は誰が来るって?」
「あのチロルを寄越してきたらしいんですよ...バゼット・フラガ・マクレミッツとか人材いるはずなのに」
凛は不機嫌そうな顔をしてアーチェからの質問に答えた。
魔術の法を司り、高名な魔術師が所属している魔術協会内でもかなり問題児と噂された人物だったからだ。
チロルについては、キャプテンクロヒゲと共にコンビを組んであちこちで悪事を働いていると悪い意味での有名人だったのだ。
しかし、数年前にクロヒゲが捕まった後は1人でやっているとも聞いている。
「その子については、噂はそこそこ聞いてるわ。たしか面白ければなんでもありで結構悪どいこともやってるって話しじゃない?」
「だから貴女の方がまだ信頼できると思いました.....引き受けてくれますか?」
幸いアーチェにも令呪の兆候はあったため、少し考えた結果引き受けることにした。
近頃、家に押し入り一家を皆殺しにした上魔方陣を書いて逃げるという儀式殺人事件もあり、教え子も何人か巻き込まれて帰らぬ人となっている。
この犯人を突きとめたいとも思っていたのだ。
「そういう話なら引き受けるわ、任しといてよ、あたしがいるからには、このデンサンシティで勝手なことはさせない!」
「ありがとうございます、では今日の夜にまたお会いしましょう」
2人は話し合いを切り上げると、多目的室を出ると、少年が1人入り口でアーチェを待っているようだった。
「あら、彩斗くん?どうしたの?」
光彩斗、秋原小学校6年生のA組の生徒の男子にして、科学省に勤める科学者の光博士の子供のうち双子の兄だ。
「あぁ先生!そろそろホームルームの時間でいつまでたっても来ないから呼ぼうと思いました」
アーチェはそれを聞いてやってしまったという顔をした。
「いけないいけない!今日あたしがやる日だったっけ、後からいくから先いっててね!」
「分かりました、じゃあ後で!」
彩斗は、先に教室の方へ歩いていった。
「まさか今の子に話を聞かれてたんじゃありません...?」
凛は怪訝な顔をして彩斗が去っていった方を見る。
「まさか、多分今来たばかりでしょそれはないって」
「だといいんですけどね...」
凛と別れ、アーチェはポケットを調べて青い顔をしていた。
「なっ!?メモがない!どっかで落としたか!」
メモをなくしたと青い顔をしながらホームルームと仕事を済ませた夜。
シャワーを浴びて、スーツから魔術師としての服に着替えて鏡を見る。
自分の顔なんだけど、自分でない感覚...これで何度目だろうか。
でも今は前に進むしかない。
着替え終わると、ドアフォンが鳴ったため玄関に行くと凛が待っていた。
「しかし、相変わらずその服......ド派手だと思いませんか?」
「これは、お母さんから引き継いだちゃんとした礼装よ?失礼しちゃうわね!」
昼間と全く異なり、髪をポニーテールに結いグローブにスカーフをつけた白の服とピンクのズボンを身につけている。
「サーヴァントを召喚するにあたって魔力、神秘を秘めたものが必要なのよね?降霊術は疎くてさ......」
手順などについてはメモしていたため、なんとか覚えてはいた。
儀式の手順から詠唱の呪文まで全部書いていた。
ただし、学校で落としたようでこれは凛が呆れながらもう一度書いた2枚目である。
「今回は私から宝石を支給します、これで魔方陣を作って詠唱すればサーヴァントを呼び出すことができるのですが、呼び出すにあたり触媒は用意してありますか?」
凛の質問に対して、アーチェは目を反らした。
新学期の準備がギリギリになってしまいろくに仕入れもできなかったのだ。
「無いんですね?」
「......ま、まぁ!アーチェさんにまっかせなさい、すごいの呼び出すかもよ?」
「はいはい、じゃあお願いしますね?」
凛は白い目をしながらも、アーチェと2人で宝石で魔方陣を描く。
ではいよいよか。
興奮する気持ちを抑えながら、アーチェは詠唱を始める。
──
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。──
──
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。──
──告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。──
──誓いを此処ここに。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷しく者。──
しかし、アーチェはここでとんでもないことをした。
「契約はここに完了せり。我が身に
「アーチェさん!関係無い術の一節入れてどうすんのよ!?」
本来、相棒だったクラースの得意とした召喚術の締めであった一節を間違えて詠んでしまい凛は焦った。
しかし、正常に召喚が出来たのか魔方陣から光が溢れ、エーテルに満ちた強い風が吹く。
これは最強のカードを引き当てたと確信したアーチェ。
対照的に、凛はまだ油断できずに警戒する。
縁で召喚するということは、自分に近い性質の英霊が呼ばれることが多いため反英霊でもおかしくないのだ。
現れたのは....橙の忍びの装束に身を包み、忍刀を背負った少女だった。
「召喚に応じ、推参
アサシンは、アーチェの方を見ると驚いていた。
「すずちゃん......すずちゃんよね?」
アーチェの方もアサシンの姿を見て驚く。
「やはりアーチェさんでしたか!はい、ご無沙汰でした。」
「アーチェさん、まさかアサシンと知り合いでしたか?」
「えっ、まあそういうこと」
凛はすっかり置いてけぼりをくらっていた。
なにせアーチェとアサシンが親しげに話していたのだから、無理はない。
「でもどうしてすずちゃんが喚ばれたの?」
「今の私は、藤林すずであって藤林すずでない存在、伊賀の藤林長門守の擬似サーヴァントとして呼び出されたのです。」
薬草学しか出来ない魔術師はテイルズオブファンタジアのアーチェ、アサシンは藤林長門守の擬似サーヴァントで藤林すずでした。
藤林長門守は、百地三太夫と並ぶ伊賀の忍びの上忍三家の一つ、藤林家の当主です。
長門守本人は、今川義元や南近江の六角義賢に仕えたこともあり、後に武田信玄の軍師になる山本勘助に兵法を伝授したとも言われています。
次回はどうしてこうなったかの経緯の説明に入ります!
※ 今回魔術師の名前として入った、キャプテンクロヒゲとチロルについては、本来ならロックマンエグゼのキャラなのですが、当作品では魔術師とさせていただいております。
また光彩斗については、ゲーム版ロックマンエグゼでネットナビのロックマンの元となった人間であり、主人公だった光熱斗の幼くして亡くなった双子の兄です。彼がもしも、小さい頃に亡くなっていなかったらというifの世界の話しとしてお考えください。
用語紹介
秋原町、秋原小学校(ロックマンエグゼシリーズ)
ロックマンエグゼシリーズの主人公の光熱斗とその同級生たちが住んでいる町と小学校、名前の由来は秋葉原と思われる。
黒板や机からネットワーク(電脳世界)に入ることが出来るなどハイテク。
当作品では、あくまでも年代こそ2004年だが2020年代くらいまでのテクノロジーがある。