彩斗視点は1人称での話しです
「では、授業はここまで!暑さも続くし体壊さないようにね!」
「はーい」
今日も1日が過ぎようとしていたが、特別な日でもある。
(いよいよ今日か....この1週間の鍛練の成果なんとか出さないと)
─遡ること1週間前、僕の家に家庭教師が来た。
「彩斗、突然ですまないけどちょっと家庭教師さんを雇ったの」
「はじめまして、私は桐坂凛と言います。光彩斗君で大丈夫よね?」
「そうだけど、どうして?」
成績的に問題はないのに、どうして母さんが雇ったのか疑問だった。
熱斗ならまだわかるが。
母さんも笑顔で言う。
「えぇ、今回試用期間で3週間頼むつもりよ。よろしくお願いしますね。桐坂さん。」
母さんは握手するために、右手を差し出した。
「家庭教師としては未熟だけどよろしくお願いいたします。」
凛さんは、それに応じて左手を差し出す。
しかし、僕としては急に家庭教師を頼んだ事について疑問の方が強かった。
そして、母さんがいなくなった後に桐坂さんは勉強を教える前に真実を教えた。
「実を言うとね、あたしは家庭教師じゃありません。魔術師です」
「ま.....魔術師?」
急に魔法使いと言われて困惑しないわけがない、こんな科学が発達した現代で魔法なんて。
「まあ魔術は、秘匿されてしかるべきものだから無理もないわね。実を言うと近々行われる儀式に貴方を推薦する意見があってね、それに参加する前に貴方に授業をつけるつもりよ。」
「もしかして、母さんが急に家庭教師を雇うって言い出したのも......」
「ええ、暗示をかけて私が家庭教師だって偽の記憶を植え付けた。でも安心して?精神には支障のないくらい軽いものよ。」
それを聞いてすこし胸を撫で下ろしたのだが、問題はここからだ。
今まで魔術なんか聞き齧ったこともないんだから、どうなるんだと不安も感じていた。
「取り敢えず、貴方には1週間後の儀式に備えて私が授業をつけます。よろしくね光くん。」
その1週間について、その成果を見せる日が今日なのだ。─
「彩斗、おい彩斗!聞いてるのか?」
「えっ?ああごめんごめん、ちょっと考え事してたんだ」
呼び掛けたのは、少し大柄な男の子クラスメイトの牛込くんだった。
「なんだ、お前にしちゃ珍しいな」
「どうしたんだい牛込くん?」
そういうとすこしムッとしていた。
「アーチェ先生が15分たっても来ないから、委員長が呼び行ってもまだ戻ってこないんだ。」
「そうかぁ...なら僕がみてくる、牛込くんは皆に待ってもらうように声をかけといてほしい。」
僕は教室を出ると、1階にある職員室へと向かう。入り口の前に金髪でドリルのような髪をした女の子がおかっぱヘアの女性と話していた。
「アーチェ先生は今どちらにいらっしゃるんですか?少し時間が遅いみたいですけど」
「ごめんね白金さん、アーチェ先生は今ちょっとお客さんと会ってるみたいなの.....ものの数分で終わるからって言ってはいたんだけど、もしダメそうなら別の先生に代理でやってもらうつもりでいるの」
女の子のほうはクラスメイトの白金さん、6年生の学級委員長だ。話していた先生は大園まり子先生、弟の熱斗の担任だった。
白金さんは、誰にも動じずに言う人だからアーチェ先生に言ったら喧嘩になりそうだと思い僕も先生たちの方に歩きながら声をかけた。
「すいません、大園先生。アーチェ先生はどこで会ってますか?大丈夫なら僕が呼んできます。」
まり子先生も困惑したが
「彩斗くん.....3階の多目的室よ、迷惑にならないようにね」
と教えてくれた。
そして、急いで3階の多目的室へと行ったところで、アーチェ先生がちょうど出てきたのだが、一緒に出てきた女性を見てビックリした。
(まさか、桐坂先生!?)
「あら、彩斗くん?どうしたの?」
アーチェ先生が僕に声をかけてきたため、どうにか取り繕った。
「あぁ先生!そろそろホームルームの時間でいつまでたっても来ないから呼ぼうと思いました」
先生の方は、それを聞いてやってしまったという顔をしている。
「いけないいけない!今日あたしがやる日だったっけ、後からいくから先いっててね!」
「分かりました、じゃあ後で!」
そう言って、僕は先に教室の方へ歩いていった。
バレるとまずいと思って少し遠回りをしていたが、その途中で紙が落ちているのを見つけた。
どうやらテストの紙をプリントミスをして、裏紙として使っていたものらしいがその裏には、外国の語でなにやら書かれている。
「なんだろうこれは.....今度先生に聞いてみるか」
拾ってそのまま教室へと戻り、その後は何事もないままホームルームが終わった。
幕間
ホームルームが終わって戻るとアーチェは、ふとポケットの中に手をいれた。
しかし入っている感覚がなかった...。
「なっ!?嘘、あの紙が見つからない!必ずあるはず...」
そう思って荷物を調べようと、鞄から資料などを出したが見つからない...。
「こうなったら、恥を忍んで遠坂さんに頼むか」
アーチェは、スマホを持って校舎の外へと出ていき、裏に入ると遠坂凛に連絡をした。
「遠坂さん。あたし、アーチェよ。本っ当に申し訳ないんだけど、サーヴァントの召喚用の呪いのことまた教えてもらえない?メモした紙落としちゃって......非常に恥ずかしいこととは思いますけど、そこをなんとか......」
半分顔が青くなりながら、了承を貰えて夜に渡すとのことだった。
1日目の彩斗視点の前半は一先ず終わりです。
まあ後半は主に召喚までがメインになります。