今回は複数人が登場するため1人称視点ではないです。
※小学校などを考慮して、秋原町の立地や光家の間取りについてはエグゼ3までをベースにしてます。
遠坂凛は、悩んでいた。
図書館にて、どの英霊を呼び出すべきかと.....。
「鮮血夫人のエリザベート・バートリー.....だめよ、絶対召喚したらブラッドバスを要求される....。ケルトのディルムッドは、ミスターケイネスが召喚してコミュニケーションで失敗して敗れてる。アルゴノーツのアタランテ....ダメだ、逸話的にあの子が呼び出したら真っ先に私に矛先が向くわ!」
今夜、サーヴァント召喚の儀式をしなければならないのだが、サーヴァントを呼び出すといっても善を成して英霊となったサーヴァントと悪を成して反英雄に区分されたサーヴァントの二つに分類される。
ましてや、コミュニケーションをしくじったりすれば間違いなく殺される。
かといって、相性が合わなければ脱落は免れない。
「どうしたものかしらね.....触媒無しでの召喚に限れば、ある程度誰が呼び出されるかに余裕は出来るはずだけどどんな英霊が喚ばれるか分からないし」
「失礼.....お主、図書館で騒いでるとは感心せんな?」
声をかけてきたのはニット帽を被ってモノクルをつけた老人。
「....失礼しました、少し悩みごとがありまして」
「まあ、悩みがあるからといって公共の場で大声を出すのはいかがなものか思うがの」
「至極最もです....」
凛は肩を竦めながら老人の言葉を聞くと、本の山に再び目を向ける。
そして偶々自分が手に取っていた本を見てみたが、内容はベタニアのマルタについての本だった。
(怪物タラスクを鎮めたドラゴンライダーマルタか....あの子ならば、多分行けるはず。賭けてみるか!)
その本を手に取ると借りるために一目散に走っていった。。
「やれやれ、忙しいやつじゃな....しかしどこかで見たことがあると思ったが気のせいか?」
そして、凛は図書館から出ると電話をする。
「もしもし、桐坂です。光はる香さんですね?今彩斗くんはどうですか...?ふむふむ、まだ帰ってきていないですか。なるほどではこれから向かいますので、帰ってきたら教科書の用意とか忘れないように伝えてください。」
そのまま図書館を出て電車とバスを乗り継いで大体一時間ほどで、秋原町についた。
目的地は光彩斗の家、駅を出て走ってたどり着くとインターフォンを押した。
『どちら様ですか?』
インターフォンから返ってきたのは、女性の声だった。
凛はそれを聞いてすこし心を落ち着かせて答える。
「先程電話した桐坂です。本日も家庭教師の約束で参りました」
すこし立つとトタトタという足音が聞こえてきて、ガチャンという音とともにドアの鍵が開いたので、ドアを開けて家のなかに入る。
玄関にいたのは女性──光彩斗の母である、光はる香──だった
「桐坂さん、この暑さが残るなかお疲れ様です....どうぞ上がって下さい」
「ありがとうございます。」
そう言うと凛は靴を脱いで、家のなかに上がった。
「彩斗はもう帰ってきてますので、2階の部屋で待つように伝えてあります」
「分かりました。では帰る時になったらお母様にも声を掛けますね」
彼の部屋は階段を登ってすぐ前の部屋であるためリビングの横を抜けて階段を登り、前のドアを開けた。
2段ベッドの子供部屋で、茶髪で青い服の少年がテーブルに座っている。
光彩斗だ。
「彩斗くん、こんにちわ....ごめんなさいね、新学期早々に家庭教師からも授業で」
凛は彩斗に声をかけると、申し訳なさそうな顔をした。
表向きは桐坂凛という偽名を使って家庭教師として、光彩斗に近づいて魔術を教えているのだ。
「いえいえ大丈夫ですよ、2学期から勉強が難しくなるっていうのは少し教科書も見たから分かります。熱斗も桐坂さんみたいな家庭教師なら勉強分かりやすいと思うのになぁ....」
彩斗の方は気付くと少し笑顔を浮かべながら答える。
「ありがとうね。さてと....家庭教師の仕事の前に、もうひとつの連絡事項があってね。今夜の10時にまたこの家に来ます。サーヴァント召喚の儀式の為にね」
それを聞いた彩斗は驚くと、気まずそうな顔をしていた。
「....どうしてもその時間じゃなきゃダメですか桐坂さん?」
「君の場合、魔力が高まるのがその時間になってしまうからしょうがないのよ....それに魔術は秘匿されなければならないものだからね。」
凛から説明された手順はこうだ。2階のベランダに上がって、彩斗に声をかけて中庭に降りてそこで魔法陣をかいて召喚の儀式をするという。
「でも魔法陣は、血や宝石といった魔力がこもったものでないとダメなんですよね?血でやったら間違いなく母さんにバレるんじゃ....」
彩斗の疑問に答えるように、凛はバッグに手をいれて宝石を出した。
「その点は抜かり無いわ、魔法陣にはこの宝石を使うの。こいつは一回魔力を放出したら壊れるタイプだから大丈夫よ」
「それならば心配ないか。あと....学校でこんな紙を拾ったんですが、分かりますか?」
彩斗がズボンのポケットから、折りたたんだ紙を出すと広げて凛の前に出した。
書かれていたのは、ドイツ語での詠唱の文章....しかもサーヴァントを召喚する詠唱だった。
「これはサーヴァント召喚の詠唱をメモしたものね....学校内にも魔術師がいるってことか....」
凛は顔をしかめて思案に耽った。
「実はそのメモを拾う前に、学校で桐坂さんを見かけたんですが...学校には行ってないですよね?」
「ええわたしは行ってないわよ、彩斗くん夢でも見たんじゃないの?」
「なるほど、でも言われてみると本人だったかは怪しいか」
「とにかく、多分学校内にも魔術師がいるから油断しないようにね。さて魔術の時間は終わり。ここからは家庭教師の時間よ。」
その後はしばらく算数と国語の勉強の時間となった。
そしてその夜の10時のこと、周りが寝静まる時間に凛は彩斗の家に訪れた。
周りを見渡して誰も見ていないのを確認して、ベランダへと跳び上がる。
そして窓をノックして、彩斗を呼ぶ。
「こんばんは、彩斗くん」
「こんばんは、桐坂さん....」
彩斗は窓を開けて、凛を招き入れると着替えて一階からリビングに降りて、中庭に出る。
「魔法陣はわたしが組むから、詠唱のメモの方を確認お願いね」
「わかりました。」
凛は魔法陣を組むために宝石を取り出して、並べていく。
彩斗の方は、詠唱のメモを確認して10分後、魔法陣の形に並べ終わったため、詠唱の用意を済ませる。
そして最後に触媒として、マルタの本を置いた。
「さて、ではこれから魔法陣の前に立ってメモの通りに詠唱してもらうわね。準備はいいかしら?」
「もちろんです」
「よろしい、ならいくわよ!」
彩斗は魔法陣の前に立って右手を身体の前に出す。
──
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。──
──
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。──
「うっ!?」
「ちょっ、ちょっと!!.....仕方ないわね一緒に唱えるわよ!」
しかし次の節を唱えようとした途中で彩斗が倒れかけてしまったため、凛が支えて右手を共につけて詠唱を続けた。
──告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。──
──誓いを
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷しく者。──
──汝 三大の言霊を纏まとう七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!
バキン!と魔法陣を象っていた宝石が順番に砕けていき、真昼と錯覚するほどの眩い光が溢れ、エーテルに満ちた強い風が吹きぬける。
その風が徐々に人の形を成していく、現れたのはすみれ色の長い髪に白と赤の装束を身に付け聖杖を持った女性だった。
「サーヴァントライダー.....救いの声に応じて参上しました。聖杯戦争でこのクラスとして呼ばれるとは思いませんでしたが、共に戦いましょう。マスター。」
ライダーのサーヴァント、聖杯戦争で戦っていく相棒だった。
「ありがとう。君の力を僕に貸してくれ!ライダー」
彩斗は、手を差し出し握手しようとするが限界だったのだろう。
倒れかけたところを、凛に抱き抱えられると首に手を当てられる、気絶しただけであった。
「ご苦労様ね....彩斗くん、ライダーもマスターがこんな子供で驚いてるがしれないけど力を貸してちょうだいね」
「協力者、ですね。ではよろしくお願いいたします」
凛に抱えられ、口のなかに魔力補給用の宝石を入れられてベッドに戻される。
1日目はこうして過ぎていった。
かなり構成が無理やりと思いますが、ひとまず召喚されたのは最初の通りライダーでマルタです。
読者は分かりますが、作中で真名は追々明かす予定です。
次回からは2日目に行きます。