短編なのに…!
皆が寝静まった頃。
月が雲に隠れ、灯りなしでは過ごせないと思えるほど、暗い部屋の中。
私とメアリーは、同じ部屋、同じ布団で寝ている。
彼女の甘い香り、柔らかな感触…。お嬢様であった彼女にここまで触れていいものなのか、そう思ってしまう。
けれど、目の前の人が可愛くて…愛おしくて。
「…メアリー。」
ぎしり。ベッドに音を立てて彼女の知らない時間に
そっと唇を奪う。逃避行をしてから2回目の…接吻だ。
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まだ皆が知らないお話。
とある国のお嬢様が、従者と恋に落ちて国を抜け出したらしいの。その従者がどんな見た目かも知られていない、ただの従者。お嬢様の方は、目立つ髪色だけど…貴族となればそれぐらいウヨウヨいる。
彼女達がどんな旅へして、どんな最期へ辿り着くのか。
彼女達も、知らない。幸せに2人で過ごせるのか、それとも…。
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朝。
眩しい太陽が朝から見えて、澄んだ空気が鼻を突く。
唇に違和感を感じながら、私は布団から起き上がる。
私のメイド…いえ、恋人のイアはまだ寝てるみたい、可愛らしく寝息を立てて。
「さて、と…。」
支度をする。
寝巻きから昨日新調した新しいお洋服へと。
この街には商人で来たが、流石にそれではやっていけない。冒険者として活動する事にした。
「めあ、り…?」
寝ぼけた声が後ろから聞こえてくる。
ボサボサの髪、眠そうな目を擦る貴女。
ふらふらとする足取りをする貴女を抱き留めて、背中を優しく撫でる。
「ほら、もういい時間よ、準備して…?」
「うん…。」
メイドの頃のような早起きの彼女ではない。私達は何者でもない、メアリーとイアなのだから。
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街の中央にある冒険者ギルド。
支度を終えた私達はそこへ向かった。
私の髪の毛は目立つため、染料を使い紫色にしている。
イアはそこまで珍しくない髪色では無いためそのままだ。
ギルドに入ると、周りから視線が集まる。
それはそうだ。身長も小さい。女二人。
こんな場所には似合わない。
「あ?此処はガキの遊び場じゃねぇんだぞ。」
1人の大男が睨み、声を荒らげる。
周りもそれに賛同し、野次を飛ばしてくる。
……どうしたものか。そう考えると、風と共に、私の横をイアが走り抜けた。
気づくと彼女は、大男の肩に乗り、首に短剣をつき当てている。後少し……押し込めば、大動脈に突き刺さりそうなほど。
「なんの騒ぎですか!」
女性の声が響く。
ギルド内は静かになり、声の主の方へ。
カウンターの奥から1人の女性が歩いてきた。
身なり的には受付の人だろうか。
私とイア…。大男を一瞥した後、状況を理解したよう。
「だいたい分かりました。
次、騒ぎをギルド内で起こしたら冒険者証を剥奪いたします。」
彼女は大男を指さした後、私たちに向けて…。
「冒険者の登録ですね。ではコチラへ。」
彼女の案内に従い、私は着いていく。
イアは大男の肩から飛び降りて、睨んだ後に私の元へ。
「では、こちらに名前と同意書を。」
差し出された書類に、私とイアは家名を除いて、ただのメアリーと、ただのイアとして提出。
同意書には、血判をして。
「こちらが冒険者証です。無くさないようにしてくださいね。」
カードを受け取れば、彼女は次の業務へと向かっていった。
「怒涛でしたね…。」
「……そうね。」
入った途端のイザコザ。
瞬時に理解した受付嬢。
そして、イアのあの俊敏性…。
私は、彼女を知れていない。
心の中が翳りができたような気がして…。
私は、彼女の隣に立ってていいのかしら……。
3作品目。
どうやって終わらせようかと思案中。
とりあえずもうメアリー曇らせちまえ。となりこのラストです。次もまた気分投稿で。