「すぐるくん」
自分の声に目を覚ます。懐かしい夢を見た。
「……嫌な夢だな」
一つ息を吐いて、今日も身支度を整えて暗いビルの中、情報収集の仕事を開始する。
すると、浮遊大陸だのドラゴンだの、とんでもないニュースが流れるのと同時、空間に穴がいて、小さなプルプルした丸い生き物が飛び込んできた。
「プチモン!?」
「たくみ、会いたかった!!」
「マジか……マジか。今代の勇者負けたの? というか、まだやってたのか!? 毎年!??」
「当然だろ!!」
俺は頭を抑える。都合のいい夢だと思っていたかった。
むしろ、今までよくハートモン達のことが公にならず、選ばれし子供達が勝ち続けてきたものだ。
「で、俺に何のようだ? もう進化はさせてやれないぞ」
「たくみ……。それは会って分かった。だから、一緒に逃げよう!」
「は?」
「今代の勇者が負けて、先代勇者達を引っ張り出す計画が出てる。特に、伝説の勇者であるたくみとすぐるは期待されてるし、ダークモン達にも追われてる。でも、もうたくみが戦う事なんてない。僕が守るよ」
「逃げろって言われてもなぁ。もう既に逃げてるようなものだし。パートナーのプチモンが黙っていてくれたら、問題ないだろ」
「たくみ……わかった。僕黙ってる」
「頼むよ。でもまあ、一応状況は聞いておこうか」
そうして状況を聞いていく。
どうやら、歴代勇者がパートナーのハートモンスターと共に結界を張り、大儀式を行うらしい。その儀式に、強力なハートパワーが必要で、それを傑と巧に期待していたらしい。
「残念だけどさ。夏油も俺も、もう勇者どころか、犯罪者なの。大体、今代の勇者はどうしたんだよ?」
「敗北して、今、歴代の勇者達の所に助けを求めに行ってる」
「ううん。死人が出ないと良いけど。あいつ、今尖ってるしなぁ」
巧は心配そうに声を上げた。
それから、一週間後。
巧はいきなり襲ってきた黒服の集団に囚われた。
「毎年選ばれし子供達が世界の命運をかけて勝負してるぅ!?」
家族達は驚きの声をあげる。そうだよね。
「すごいです夏油様! 勇者だったんですね!」
「小学生低学年の頃の話だけどね」
「小学生が今年破れたって事ですか?」「そう言うこと」
「子供が未来を信じる心がハートモンを正当に進化させる?」「そう」
「夏油様、進化させてみて!」
「今の私の心にキラキラしいものはないから、進化はさせられないよ」
「すぐる……ううん、感じる。傑の一番奥底に、蒼い宝石が……!」
「本当にやめて」
そうこうしている内に、呪術界から打診が来た。
「勇者様(笑)、事情は聞いた。貴様の過去を公表されたくなければなんとかしろください。後匠は預かった(意訳)」
その言葉に、夏油は渋々召集されるのだった。