東方鏡華録   作:Crimson Wizard

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東方Project×呪術廻戦が見たくて書きました。
主人公の術式の名前を募集してます。感想欄にお願いします!


第一話

 

禪院 鏡華 (きょうか)

 

それが俺の名前だ。女みたいで子供の頃はあまり好きでは無かったが、長く過ごしていると慣れてくるものだ。

俺は元々二十一世紀を生きる平凡な人間だった。

 

インドア趣味で、休みの日はよくゲームをやっていた。

なんでそんな俺が生まれ変わってここに居るのかは分からないが、死ぬ瞬間の事は鮮明に憶えている。

 

あの日は退屈な日常に嫌気がさして気分転換に渓流キャンプでもしようと道具を買い揃えて出掛けたんだ。

俺の予定ではいい気分転換になる筈だったんだが、熊に襲われてしまって遭難してしまった。

だが俺が死んだのは熊が原因じゃ無い。

 

ああ、よく憶えているとも。おぞましい姿だった。

俺は元々オカルトはあまり信じていなかった。怖い話や都市伝説はサブカルとして楽しんでいたが、まさか本当にいるなんてな。

 

熊より大きな体格に火傷を負ったような皮膚。身体のあちこちから覗く目玉に口。

死ぬ時は悲鳴すら出なかった。

 

なんたって気付いたら喰われてたからな。

んで気が付いたら禪院だとよ。呪術廻戦は知ってるさ。オタクだったからな。だから絶望したさ、ハズレにも程がある。

禪院家には禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ずという言葉がある程、呪術師としての才能で全てが決まる。

それに時代錯誤な男尊女卑の考えが染み付いており、とてもじゃないが現代人の俺からしたら関わりたくない家だった。

 

話を聞くに今は平安らしい。

それと俺には術式があるようだ。……それもかなり希少な。

 

名前はまだ無いし、相伝では無い術式だが有り得ないほど強力な力である事は理解している。

術式効果は、術式対象の術式の奪取。

 

それも奪うだけじゃない。コピーという訳でも無い。

奪うと決めた術式対象から術式を抽出し、自身の生得領域に上書きする。奪った術式は元の術師と同じ使い方が出来、極ノ番も使用する事が出来る。

流石に元の術師の領域展開は使用出来ないが。

 

あれは術師の心象風景を結界として体外に具現化する結界術なので少し違う。

 

それでその術式だが、術式を奪うまでは俺には何の能力も無い。呪術は使えないという事だ。

俺の術式は奪って初めて俺の物になる。

 

要は相手の術式を自身の術式にするという術式だ。少し違うが羂索と少しだけ似ている気がする。

だが俺の術式が強力なのは他にも理由がある。

 

三つまで術式を奪えるのだ。

 

俺の背中には生まれた時からよく分からない紋様があり、術式を奪うと紋様の形が変わるのだ。

だが当然、奪った術式は取り替える事は出来ない。

 

一度奪った術式は俺の術式となる為だ。なのでハズレだったから取り替えるなんて都合のいい事は出来ない。

それと奪う事が出来るのは格下の術式だけだ。例えば俺が五条悟と出会ってその場で術式を使用しても何も起こらないだろう。

だって格上なんだから。

 

術式を奪うのには明確に条件がある。

一度相手を負かす事だ。どれだけ素の実力が格上の相手だったとしても、一度負かせば俺の術式対象になる。

負かすというのが曖昧だが、少なくともノックダウンすれば術式対象なのは確定している。

それと術式を抽出する時は対象に触れていなくてはならない。

 

話は変わるが、俺は今21歳だ。

今までに奪った術式は二つ。

 

まずは十種影法術。

これは俺の兄から奪った能力だ。根っから禪院家の人間だった為、術式を奪うのに抵抗はなかった。

才能至上主義者から才能を奪ってやった時はむしろスカッとした。

 

原作では平安に十種影法術があったという描写は無かった気がするんだが……まあ気にするだけ無駄か。

 

もう一つは赤血操術。

これは奪いたかった訳では無いんだが、状況的に奪わなければ俺が死んでいた為に仕方なく奪った。

 

それから俺は十種影法術における全ての式神を調伏した。

 

ちなみに本当に魔虚羅の調伏だけは苦労した。赤血操術による身体強化と黒閃が出なければ死んでいた。

適応が早すぎて手持ちの式神は何の役にも立たなかったし。

それと特級相当の呪具を自由に使えたのもデカい。あれで魔虚羅の適応をかなり遅らせる事が出来たからな。

 

まあ俺が勝手に家から持ち出したんだが。

 

それに、俺には術式の他にも他の術師には無い強みがあった。……それは呪力量。

 

呪力量は過去に存在したどの術師よりも多いらしい。

まあそれでも六眼のある五条悟にパフォーマンスでは劣ると思うが。

 

ちなみに禪院となっているが、俺は実家には絶縁宣言をされている。

まず、禪院家は俺の術式を知らない。生まれた時は呪力量の多さに喜ばれたが、12歳を過ぎても術式を使わなかった事から扱いは最悪だった。

 

まあそんな事はもうどうでもいい。俺は今こうして記憶を振り返っているのは、俺が二度目の死を迎えようとしているからだ。

正直、まだ色々とやりたい事はあったが、そこまで未練は無い。

生まれた時から俺は孤独だった。

 

術式を奪うというのは相手の術師としての人生を奪うという事。忌み嫌われるのは当然だった。

だが理解者は居た。弟だ。呪術師としての才能はあったが、天与呪縛によって非常に病弱な肉体を持って生まれた。

 

アイツは俺が17の頃に死んだ。その時点で俺は生きる事がどうでも良くなった。

だが弟は死に際に呪いを残していった。

 

少しでも多くの人を救えと。人との繋がりを大事にしろと。

呪術師とは思えないほど優しい奴だった。死ぬまで我儘を言わなかったアイツが最後に俺にだけ言ったんだ。……その縛りを守った結果が今だ。

 

「その力は認めよう。だがなぜ有象無象を庇う?お前程の強者が、そいつらに守るだけの価値があるとは思えんな。」

 

「縛りだよ。俺だって理解出来ないさ、やりたくてやってる訳じゃないんだから。」

 

「ふっ。迂闊に縛りを結ぶとそうなるのだ。まあ良い、続きをしよう。」

 

こいつは両面宿儺。呪いの王と呼ばれる化け物だ。確かに強い。そして力押しの馬鹿じゃない。

呪力量も俺と同等以上。呪力操作は俺より上。術式の使い方も上手い。

 

「ほらほら、避けねば死ぬぞ?」

 

てか何だよ、腕が多いから格闘戦では手数で押し負けるし、術式を使う隙もない。オマケに通常攻撃が即死級だ。なんで俺は生きてるんだよ。

 

「───布瑠部由良由良。」

 

俺は距離を取りながら祓詞を詠唱する。

 

『八握剣異戒神将魔虚羅』それは最強の式神。

あらゆる事象への適応という能力を持ち、魔虚羅と相対した相手は攻撃に適応される前に仕留めなければ次々と手札が消えていく。

 

つまり短期決戦で仕留めるしか無い訳だが、それだけの火力となると通常は切り札として温存しておくものなのでかなりの初見殺しでもある。

そもそもその切り札すら無効化するが故に最強の式神と呼ばれているのだが。

 

魔虚羅が現れるが、宿儺は興味深そうに眺めるだけだった。

 

「ふむ?それが切り札か……仏教の守護神に因んでいるのか?」

 

魔虚羅が目にも止まらぬ速度で宿儺を攻撃する。宿儺は驚く間もなく百メートル以上吹き飛ばされる。

 

「……ふむ、ならばこれはどうだ?」

 

宿儺は自身の術式を使用して不可視の斬撃を繰り出すが、魔虚羅はすぐに再生し、その度に宿儺に追撃を与える。

魔虚羅は攻撃を受ける度に背部の方陣が1/8回転し、次第に宿儺の斬撃に対応出来るようになっていった。

 

だが次第に魔虚羅の攻撃も宿儺に見切られ始める。

俺はそのタイミングで魔虚羅に出来た隙を埋めるように宿儺に拳を叩き込む。

 

「なるほどな……それがその式神の能力か。」

 

こいつ……もう魔虚羅の詳細を把握したのか?

俺が思うに、こいつの一番厄介な能力は学習能力だ。それと術式の解釈が広い。時間を与えば与えるだけこちらが不利になっていく。

 

「なっ!」

 

クソ……場所を変えるべきだった。

 

「……くだらんな、本当にくだらん。お前程の男との決着がこの様な形で着くとはな。不愉快だ。」

 

俺を庇いに来たのか、子供が戦いに割って入ってきてしまった。

俺は隙をつかれて致命傷を受けてしまった。……判断を誤った。俺が殺されればどの道この子供は宿儺に殺されただろうに。

 

俺を庇いに来た子供は宿儺の斬撃により一瞬で首を落とされた。

俺も腕を落とされた。腹には風穴が空いてるし、宿儺の呪力で反転術式も回せない。……詰みだ。

まさかこの場で円鹿の召喚を見過ごす程宿儺は優しくないだろう。

それに、魔虚羅単体では宿儺の相手にならない。

 

……宿儺に十種影法術を知られてしまった。未来の伏黒達の切り札を奪ってしまったかもしれない。

 

「……まあいいさ。俺の負けだ。先の事なんか知ったことか。」

 

俺は弟の縛りで動いていただけだ。生きる意味もなかったし、死因が病なんかじゃなくて良かったのかもな。

 

「まあいい。決着は着いた……最後に名前を聞いておこう。」

 

「…… 禪院鏡華だ。」

 

「貴様の事は覚えておこう。天晴れだ、禪院鏡華。」

 

そう言って俺は宿儺の斬撃を食らって二度目の生を終えた……筈だった。

 

 

 

 

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「……」

 

……気付いたら現代に居るんだが。ちなみに容姿はそのままだ。

 

「って訳。だからさ、着いてきてくれる?」

 

この男は五条悟。明らかに不審者だが、俺は前世の知識で知っている。

現代の何処か分からない都会へと飛ばされ、少し歩いているとこいつに話し掛けられた。

不自然に呪力を隠し過ぎたかもしれない……いや、六眼があるからどの道隠すのは無理か。

 

「いいよ、俺も何が何だか分からないし。」

 

「そう?とりあえず自己紹介しとこうか。僕は五条悟。君はなんて言うの?」

 

「…… 禪院鏡華だ。」

 

俺がそう言うと、五条悟はあからさまに顔を歪めた。

 

「っ、禪院ね……まあいいさ。とりあえず僕に着いてきて。」

 

やっぱり嫌われてるな。禪院。俺も嫌いだから何とも思わないけど。

俺は現状を何も理解しないまま五条悟に着いていくのだった。

 

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