東方鏡華録   作:Crimson Wizard

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二徹して書いたので違和感あったら報告お願いします。私は寝ます。


第十話

 

俺は歓喜していた。もうあの世界に独りで閉じ込められたかの様な感覚を何度も繰り返さなくていいんだ。

……まあ、まだこの屋敷限定だしあくまで対症療法だが。

 

だが間違いなくこれは大きな進歩だ。

そして考えたが、やはりこのループする時の流れでレミリアと出会ったという事実は運命というモノが存在する証左だ。

最初ははあくまで偶然と考えていたが俺とレミリアが出会った事といい、懐中時計の事といい、流石に出来すぎている。

 

俺からすれば屋敷の敷地内限定とはいえ大分気が楽だ。

俺は呪術師だが……あくまで人間だ。感情だってあるし、孤独感だって感じる。感性は割と一般人寄りな気はするんだがな。

まあ一般的な感性を持ったまま呪術師をやれてるって事はそれはそれで何処かイカれてるのかもな。

流石に五条悟や宿儺程、感性はイカれていない筈だが。彼奴らは多分強過ぎて人間を同族と思えないんだろう。

 

話が逸れたな。ちなみに気分はいい、最高だ。昨日は久しぶりに美味い飯も食えたしな。それに長い事食えなかった洋食だ。

だが、まだ根本的な解決にはなっていない。レミリアの言う所の神。術者を見付けなければならない。

最初は殺さなければいけないと思っていたが、良く考えると俺の術式で相手の能力を奪えるのならば殺す必要はない。

 

流石に呪術ではないこの世界の異能を奪えるのか確認してからにはなるだろうが。行き当たりばったりで奪えませんでしたは阿呆過ぎるからな。

ただまあ、恐らく奪えると思う。術式というのも具体的な形がある訳じゃない。

俺は術式の存在を把握出来るが見えているというよりも、もっと感覚的なモノだ。おれの語彙力だと言葉で説明するのは無理そうだが。

 

だが、まずは不可能と思って挑んだ方が良いに決まっている。絶対に奪える確証は無いしな。

まあとりあえずは時間のループを終わらせるのを当面の目標として据える事になる。

この呪いが解けない限り俺は普通の生活を送る事すら儘ならないからな。最優先事項だ。

 

「……で、誰?」

 

「いや、俺も連れてこられただけだしな。」

 

「あなたじゃなくて、レミィに聞いたのよ。」

 

……なんだコイツ、感じ悪いな。まあでも人外なんてそんなもんか。俺らとは価値観からして違う生き物だしな。

こんな所に住んでる奴が人間な訳無いし。

 

「この男は禪院鏡華。かなり興味深い人間よ。……あなたにとってもね。パチェ?」

 

レミリアが意味深にそう言うとパチェと呼ばれた全身紫色のパジャマみたいな服を着た女は目に好奇心を宿して此方を観察する。

 

「珍しい能力持ち?それとも何らかの特異体質?」

 

「残念、ハズレ。あ……でも、前者は一応当て嵌るかもね。」

 

「おいおい、俺は実験動物になりに来た訳じゃないぞ。」

 

流石にモルモットは勘弁だ。

 

「……何?勿体ぶらずに教えてくれない?」

 

「まあ、簡単に言うと神に呪われた男ね。」

 

本当にめちゃくちゃ簡単に言ったな。……もう少し言う事あっただろ。いくらなんでも端的過ぎる。

 

「何の呪い?不死?因果律の呪い?状態異常系?」

 

こいつ、急に早口になるな。自分の守備範囲だけ回答が早いのまんまオタクなんだよな。

 

「その中だと……そうね。因果律の呪いというのが一番近いのかしらね。」

 

「詳細は?」

 

「うーん、なんて言うのかしら。一定の時間から何度もループしちゃって抜け出せないみたいな?」

 

「へぇ……あなた、ちょっとこれに触れてみて。」

 

なんだこれ。……水晶玉?俺は言われるがままに水晶玉に触れる。

 

「確かに強力な術ね。ちなみにだけど、これは時間に纏わる術では無いわ。

全く時間が絡まないとは言わないけど、さっき言った因果律の呪いってのが一番的確な表現でしょうね。」

 

「じゃあ、私寄りの能力って事?」

 

確かレミリアの能力は……運命を操るだったか。確かに因果律操作と言えそうだな。

 

「いや……これはあくまで魔法による効果よ。恐らく、これを掛けたのは成り上がりの魔神って所かしら。術の所々に人間臭さが出てるわ。」

 

パッと見ただけでそこまで分かるものなのか?そもそも人間が神になれるなんて初耳なんだが。

 

「じゃあ、権能だったり固有の能力では無いのね?」

 

「そうね。まあそこは解釈の仕方次第ではあるけれど。ちなみにこの魔法……まず代償として身体の一部を使っている可能性が高いわ。

あと、何処かに魔法陣がある筈よ。幾ら魔神でも普段使い出来るレベルの術では無いわ。」

 

……身体の一部を代償に、か。縛りみたいなものなのかもな。

その場合、相手は少なくとも自身の身体の一部を失ってまで俺に執着する理由があるって事だ。

 

「それと、あなたの能力を教えてくれない?それによる対策が可能かどうか考えてみるから。」

 

……恐らく本音では無いだろうな。未知の能力に興味が有るだけだろう。

だが、何か得る物があるかもしれないので、俺は一応呪術の事や、自身の術式なんかの詳細も説明した。

 

「へぇ。興味深いわね。呪術……生得術式。縛り。一応マイナーな呪術は齧ったことが有るんだけど、それとは別物みたいね。」

 

「マイナーな呪術ってのは?」

 

俺がそう聞くと女は嬉々として返事を寄越す。

 

「東洋……日本の呪術で、丑の刻参りって言うんだけど……」

 

なるほどな。呪術の絡まない世界だとやはりそういう感じになるのか。

 

「ああ。芻霊呪法に似た様な技があるぞ。」

 

「芻霊呪法?」

 

「これはあくまで出回ってる基本情報なんだが……」

 

俺は知る限りの情報を女……パチュリーというらしい。ちなみに種族は魔女だそうだ……に出来るだけ分かりやすく説明した。

 

「へぇ、平安からあるのね。私の知る知識と概ね一致しているわ。」

 

一応別世界の話だという事は言った筈なんだが、こいつからしたら使える使えないは二の次で、自分の知らない知識というのが重要なんだそうだ。

 

「ふぁ……二人とも、とりあえず話すのはその辺にしといて昼食にしない?」

 

「……私は要らないわ。」

 

どうやら魔女という種族は食事を必要としないらしい。実に羨ましい事だ。

そういえば……先程雑学感覚で軽く聞いたんだが、どうやら最近の人間はビタミンを身体の中で生成する事が出来ないらしい。

俺は出来ている様なので、進化の過程で人間が失った能力らしい。平安の人間と現代の人間の違い……見た目はそう変わらないんだが。

 

「そう。じゃあ、一度咲夜の所に戻りましょう。鏡華。」

 

さっきまでフルネームで呼んでた癖に今度はいきなり名前呼びか。距離感の掴めない奴だな。

それはそれとして、俺も昼食は摂りたいので言われるがままレミリアに着いて行くのだった。

 




コウヒョウカヨロシク!←ゆるキャン見た後の俺。
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