東方鏡華録   作:Crimson Wizard

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祖母が心筋梗塞で倒れて、それで痴呆が進んだり色々あって少し遅れました。
ちなみに祖母が急に倒れて決まってた仕事を辞退しちゃったので無職です。イケメンに生まれ変わって異世界に転生出来るように祈っときます。


第十一話

 

「……美味い。」

 

「それは良かったわ。まあ咲夜の料理を不味いなんて言う奴が居たら犬の餌で十分よ。そんな奴に味の違いなんて分からないわ。」

 

これを不味いなんて言う奴はいないだろ。というか、まともな食事は本当に久しぶりだ。しかもこれは現代人でも高い金を支払わないと食べられない味だ。

実際、俺もこのレベルの料理を食べたのなんて両手の指で足りる程だしな。

俺は特に現代の料理で舌が肥えてたから平安時代に環境が変わった時は大変だった。

 

「で、質問なのだけどあなたこれからどうするつもり?」

 

……正直な話、このままでは駄目な事は分かってるんだがこの環境を捨てる事は考えたくない。

 

「何を考えてるか見当がつくし、家で面倒を見る期間は決めておく事にするわ。自分じゃ決められないでしょう?」

 

「ああ……何時までだ?」

 

「そうね。あと半年って所かしら。此処を出たらまた咲夜の時計を使って色々試してみるんでしょ?でも、時間がループすると私達はあなたと関わった記憶が消えてしまう。……正確にはあなたが時計を使って移動した場合、別の時間軸に飛んでるんだと思うわ。だから私達があなたの事を忘れる訳ではなくて、別の時間軸の私達と関わってるだけ。だから、あまり深く考えすぎない事ね。」

 

その辺は色々と考えてみたが、俺には結論を出すだけの頭が無かったので考えない事にしている。

だがレミリアの言う時間軸というのは恐らく並行世界のレミリアという事ではなく、同じ世界線の別の時間軸にそのまま飛ばされるのだろう。

レミリアの言う運命とやらの話を聞く限り、仮説の域は出ないがある程度この世界の仕組みについて予想が出来ている様だった。

 

時間という概念も並行世界論も酷く難解な分野であり、俺の生きていた二十一世紀ですら仮説の域を出ておらず、未だに事実として観測出来ていなかった。

仮に俺がこの世界線の未来に飛ばされたとして、レミリアに今こうして俺と話している記憶が残っているかは分からない。

並行世界について全く事前知識が無ければ記憶が残っていない方がおかしい様に感じるだろうが、そう簡単な話では無いのだ。

 

そうは言っても、やはり自分の事を知っている人間が一人も居ない世界に飛ばされるかもしれないというのはキツイ。

 

「まあ……このまま未来に飛ばされる事を願っておくさ。」

 

そうすれば、またレミリアと会った時一々自分の出自を話さないで済む。……毎回初対面の反応をされる度に割と心に来るのだ。

 

「ただ、半年間何もせずに食事をとって自堕落に過ごすだけってのは都合が良すぎると思わない?」

 

……今になって何か条件を出してくるのかよ。

 

「だから、あなたはこれから半年間。私の従者をやって貰うわ。」

 

「は?いやいや、流石に従者は俺には無理だって。」

 

俺は仕事というものが大嫌いなのだ。流石に働かずに飯を食わせてくれとは言わないが……従者なんてのは柄じゃない。

 

「ちなみに拒否権は無いわ。少なくとも今から半年間の間に何処かに顔を出す予定は無いから、別に無理して敬語とかも使わなくていいし。」

 

「それくらいなら……まあ。ちなみに何をするんだ?家事と料理くらいなら出来るが。」

 

「んー、特に考えていないわ。まあ何かあったら頼み事をするかもね。今の所は普通に生活してくれればそれでいいわよ。」

 

何だ。てっきり毎日何かやらされるものだと思ってた。まあ俺からすれば有難い限りだが。

 

「それと、咲夜も仕事があるから四六時中屋敷にいる事は出来ないし、懐中時計は借してもらったわ。半年後に本人に返しなさい。」

 

……そうか。これが無かったらまた時間のループが始まる訳だ。

 

すると唐突にレミリアが口を開く。

 

「じゃあとりあえず、紅茶を淹れて頂戴。」

 

「いや、俺紅茶なんか淹れた事無いんだが。」

 

「いいからとりあえず淹れてみなさい。」

 

レミリアがしつこくそう言うので、俺は仕方なく常にレミリアの傍に置いてあるワゴンからティーポットを取り出す。

 

……これでいいんだっけ?

 

「ちょっと!お湯を入れたらすぐに蓋を閉めないと!蒸らす時間が短くなっちゃうでしょ!」

 

「だから、紅茶なんて淹れた事無いんだって!」

 

横から色々言われて俺がイライラしながらそう言うとレミリアはわざとらしく溜め息を吐いてみせた。

 

「あなたには無理そうね……紅茶は咲夜に頼みましょう。」

 

俺は最初から無理だって言ってんじゃねえか。素人に紅茶の腕を求めんな。

 

「そうだわ、あなたまだフランに会ってないわよね?」

 

「ああ、お前の妹だろ?」

 

どうやら、能力が強力過ぎる弊害か精神的に不安定らしく自ら地下室に引き篭っているらしい。

 

「ええ。あなたも半年間とはいえ紅魔館の一員になったんだから、挨拶くらいはしておきなさい。」

 

……ありとあらゆるものを破壊する力だったか。精神的に不安定だからといってそんな力を向けられたのでは堪らない。

 

「不安も分かるけど……あなたが思ってる程精神的に不安定って訳でもないわ。普通に話も通じるし、少し感情の振れ幅が大きいだけよ。」

 

ならいいんだが。とりあえず挨拶だけでもしに行くとするか。

 

「何処だ?まず地下室とやらの入口を知らないんだが。」

 

「どの道パチェに封印を解いて貰わなきゃ入れないから、図書館に向かいなさい。フランに会いたいって言えば伝わるわ。」

 

飯も食わせて貰ってるし、流石にこれくらいはしないとな。

精神的に不安定というのが少し気にはなったが、俺は仕方なくレミリアの妹に挨拶をしに向かうのだった。

 

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