東方鏡華録   作:Crimson Wizard

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ご都合主義があります。ちなみに今日も寝ていないので頭が回っておりません。
違和感などあったら報告をお願いします。


第十二話

 

「はぁ、面倒臭いわね。」

 

あれから図書館まで来て要件を言うと、パチュリーは嫌な顔をしながらも地下の扉を操作したのか何処かでガチャリと音がした。

俺は音の鳴った方へ進むと現れた鎖の掛けられた鉄の扉を開く。

 

「……暗いな。」

 

開いた扉からは階段が続いており、ある程度降ると狭いが奥行きのある空間に出た。

俺は術式の一つに影に関する能力がある事と、文明が発達していなかったが故に灯りが少なかった平安の出身という事もあって夜目は利く方なのだが、

それでも自身の周囲しか分からない程暗かった。奥には灯りが見えた為、数分程歩くと等間隔で松明が提げてある通路に出た。

多分だが、魔法の松明だな。じゃなきゃ酸素が無くなるだろうし。地下だし窓が無いから換気も出来ないしな。

 

「また扉か。」

 

そこから更にある程度進むと、俺の身長の3倍程はある巨大な鉄の扉が現れた。

鍵は掛かっていないらしく力ずくで押し開けると今度はコンクリートで作った部屋の様なものがあり、一応通路側に窓も着いている。

ドアの前には空になった食器が置いてあり、いつもありがとうと可愛い字で書かれたメモが置いてある。

 

少し緊張しながらも、俺はドアをノックした。徐々に足音が近付いてきて、ドアのすぐ向こう側で止まった。

 

「……咲夜?お姉様?」

 

なんて答えればいいんだ。

 

「あー、この屋敷で半年間世話になる事になった者なんだが……」

 

「……またお姉様の気まぐれね。ちょっと待って。」

 

内側から鍵を開ける音が鳴り、ドアが開く。そこにはレミリアを金髪にしたような少女が立っていた。

姉妹だからか顔立ちはある程度似ているが……雰囲気は全く別物だな。

 

「禪院鏡華だ。半年間だが世話になる。」

 

「フランドール・スカーレットよ。あなたは何でこの屋敷に来たの?」

 

俺は詳細を話そうとするが発言を遮られると手を引かれ、室内に案内される。

俺が椅子に座るとフランドールは話の続きを促してきた為、俺はレミリアに説明した時と同じ様に説明する。

 

「ふーん。人間も大変なんだね。」

 

……大多数の人間はこんな経験をしないと思うんだが。と、少し会話をして思ったが、こいつは数百年生きているにしては純粋過ぎる。

俺の言葉を疑っていなかったり、自身の話になると楽しそうに語る様子などはまるで幼子を相手にしているかの様だ。

 

「……私の事はフランでいいよ。あなたはきょうか?だったっけ。」

 

「ああ。鏡華だ。所で、なんでこんな所に居るんだ?精神的に不安定と聞いたが、会話も成り立っているし普通に生活する分には問題ないんじゃないか?」

 

俺がそう言うとフランはあー。と言い、事情とやらを説明する。

 

「お姉様には言わないでね?実は……」

 

フランによると能力の影響で精神的に不安定だったのは確かだが、それはパチュリーの協力によって既に解決されているらしい。

 

「なんで言わないんだ?」

 

フラン曰く、精神的に不安定だった時の方がレミリアが優しかったから、らしい。

流石にそんな理由だとは思わなかった。これはレミリアに同情するな……要はこいつが少し拗らせたかまってちゃんなだけだったって事だ。

子供が病気の時に親に優しくされると感じるのに似たアレだ。

 

「それにこの部屋にももう慣れたし。特に不便は感じてないんだよね。」

 

……俺はこの閉塞感には慣れる事は出来なさそうだ。通路側にしか窓が無いだけで気が滅入ってくる。

四方がコンクリというのも駄目だな。人間向きじゃない。

 

「まあ、気が向いたらレミリアには事実を話した方がいいぞ。あいつはかなりのシスコンだからな。」

 

何かある度にフランの話を出してくる。

 

「しすこん?」

 

「あー、まあ妹が大好きって事だ。だから話しても態度が変わる事は無いと思うぞ。」

 

まあ流石のレミリアも怒るかもしれないが。そんな理由で騙されていたら俺なら怒る。

 

「私も分かってるんだけどね……あ!そうだ、少し血を吸わせてくれない?最近飲んでないんだよね。」

 

「は?そんな事をしたら俺も吸血鬼になるんじゃないか?」

 

俺がそう言うとフランは馬鹿を見る目をして口を開く。

 

「吸血鬼を何だと思ってるのさ、血を吸うだけで増えるんだったら今頃世界は吸血鬼まみれだよ。」

 

……確かに。だがレミリアによると血を吸う事で眷属を増やす事は出来るらしい。違いがよく分からんな。

 

「まあ、少し血を出すだけならいいぞ。そのカップでいいか?」

 

俺は赤血操術でテーブルの上にあったティーカップに血を注ぐ。

 

「え!なに今の!すごいすごい!どうやったの?」

 

フランは興味津々に俺に詳細を訊ねてくる。……どうやら赤血操術は吸血鬼の琴線に引っ掛かるらしい。

 

「さっき言った俺の術式の効果の一つだ。」

 

「それ、私に教えてくれない?」

 

「あー、術式は技術じゃないんだ。術式による技術を真似る事は出来るかもしれないが術式効果そのものを再現する事は出来ない。」

 

「なーんだ。私に血は操れないって事?……つまんない。」

 

そんな事を言われてもな。術式を譲渡する事は出来るがこの状況で手札を一つ失うだけってのは流石にな。

赤鱗躍動は特に重宝しているし、今失うのは惜しい術式だ。

 

「そうだ!他にも何か召喚出来るって言ってなかった?フランに見せて。」

 

俺は子供受けしそうな玉犬を呼び出す。俺は歴代の十種影法術を持つ術師とは術式の解釈が違ったのか、渾は一時的な運用も出来る。

本来は破壊された式神に能力を継承する儀式だが、一時的に式神同士の能力を掛け合わせる事も出来る。

渾を行った式神は破壊されても元の式神に戻るだけでまた喚び出す事が出来るので、

実質ノーリスクで式神を召喚できる。なので俺の場合そのまま式神を使う事の方が少ない。

 

ただ、一つ例外として円鹿だけは渾を行うと反転術式のアウトプットが出来なくなる為、そのまま召喚する場合が多い。

ここは明確に弱点だな。

 

「わー!かわいい!もふもふしていい?」

 

「好きにしてくれ。」

 

やはり玉犬は子供と女受けがいい。俺も犬は好きだから気持ちは分かる。

 

「あ、そうだ。今日はまだお風呂に入ってなかったんだ。一緒に入る?」

 

「……冗談はよしてくれ。レミリアに殺される。」

 

別に子供に興奮はしないが、間違いなく俺の待遇が悪くなるのは断言出来る。

 

「というか、流水は弱点なんじゃなかったか?」

 

「あー、お風呂に浸かる時に水面を揺らさなければ特に不快感は無いんだ。」

 

都合のいい身体だな。でも頭を洗う時とかはどうするんだろうか?

 

「とりあえず、私はお風呂に入ってくるから一旦お姉様の所に戻れば?」

 

「そうだな。じゃあまたな、フラン。」

 

「うん、またね。」

 

俺は再び暗い通路を通って地下を抜けるのだった。

 

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