東方鏡華録   作:Crimson Wizard

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戦闘描写……?に近い何かがあります。くそ短いですが。


第十三話

 

あれから二ヶ月ほどになるか。俺にはレミリアの従者という肩書きが出来た訳だが、

やってる事はたまに料理や掃除を手伝う位で生活自体は殆ど変わっていない。

たまにフランに誘われてカードゲームに付き合ったり、咲夜の愚痴に付き合ったりその程度だ。

 

今日は少し咲夜が忙しいらしく、俺に買い出しを頼んで来たので今から出掛けるところだ。

懐中時計さえ持っていれば屋敷の外にも出られるが、俺を狙う術者が何処にいるのか分からないので普段は外出は控えている。

 

俺は玄関を出ると、晴れているのを確認して門を開ける。

 

「ふぁー。おはようございます鏡華さん。」

 

「おはよう。」

 

こいつ、朝から居眠りしてやがる。俺は最近少し不眠気味だし眠気を分けれるもんなら分けて欲しいぜ。

 

「買い出しですか?」

 

「ああ、食材が少なくなってきたらしい。んじゃ、行ってくる。」

 

「お気を付けてー。」

 

最初は店の場所すら分からなかったが、咲夜の買い物に付き合っている内に覚えていった。

英語も日常会話程度なら普通に話せる様になったし。

 

というか、レミリア達が日常会話で日本語を使ってる方がおかしい。

あいつらにしてみれば第二言語だろ?と思って一度質問してみたが、どうやら何れ幻想郷に行く時の為に勉強しているらしいのと、

実は咲夜には日本の血が混じっているらしく、咲夜にしてみれば英語は第二言語らしい。確かに顔立ちはイギリス人じゃ無かったな。

それにしてもレミリアは既に日本人と遜色ないレベルだし、多分地頭がいいんだろうな。俺は未だに片言英語しか喋れないってのに。

 

「おっちゃん。ここからここまで全部くれ。」

 

「おお……いつも贔屓にしてくれて助かるよ。」

 

屋敷に近いからここで買ってるだけなんだがな。

 

「よいしょっと。」

 

人目に付く場所では流石に影に収納出来ないので、少し人通りの少ない道に入った所で買った野菜を影に仕舞う。

 

「後は……肉だな。」

 

その後、俺は一通り買い物を済ませて屋敷まで帰って来た。

 

「あ、おかえりなさい。」

 

……珍しく寝てないな。

 

「私だってたまには昼寝しない日もありますよ?」

 

「顔に出てたか?」

 

「それはもう分かり易く。……ところで、久し振りに組手をしませんか?そろそろ身体が鈍っちゃいそうで。」

 

まあ、こいつに至ってはほとんど毎日寝てるだけだもんな。俺も多少鈍ってはいるだろうが。

そもそも俺は元々勤勉なタイプじゃないし、昔から訓練しない日も多かったんで数日程度で動けなくなる事は無い。

 

「先に食材を冷やしてくる。」

 

「はーい。じゃあ起きて待ってますね。」

 

「当たり前だろ。」

 

食材を冷やしてくるだけなんだから寝るなよ。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「さて、じゃあいきますよ?」

 

「おう。」

 

俺は呪術師だが、元々俺の術式には誰かの術式を奪うまでは使用出来ないという制限があった。

その間はどうやって戦っていたのか。簡単な話だ。

 

美鈴は腰を低く落とすと一気に俺に突っ込んでくる。

 

「はっ!」

 

俺は美鈴のタックルを肩を抑えつける事で回避するが、そのまま腰を掴まれかける。咄嗟に頭に肘を落として引き剥がす。

 

「やっぱり、呪力強化無しだと厳しいな。」

 

生きた年数の違いが経験値としてそのまま反映されているのか、俺は純粋な技術では美鈴に一歩劣る。

 

「それでも、大分マシな動きにはなってきてます……よ!」

 

今度は上段蹴りを放ってくるが、俺はそれを屈んで躱すと足の付け根と胴体を掴んで投げ飛ばす。

 

「っ!おっと。」

 

「いって……」

 

投げる際に軽く顎に一発貰った。やっぱり技術では明らかに俺が劣ってるな。

 

「なんで攻めてこないんです?」

 

「カウンター主体じゃなきゃ攻撃が当たらないからだよ。」

 

まず呪力強化無しだとそもそもの肉体性能に差があり過ぎる。下手な一撃を貰うと俺は即死する危険すらあるのだ。

 

「じゃあ、もう少し手数を増やしますよ?」

 

そういうと美鈴は何かしらの技術を使ったのか一歩地面を蹴ると既に俺の目の前に居た。

 

「うぉっ!」

 

そのまま顔を狙った打撃を上手く弾くと今度は反対の手で胴体を狙って来た為一歩下がりながら腕を掴んで小手返しの要領で投げ飛ばす。

が、投げられる際の不安定な姿勢のまま蹴りを放ってきた為咄嗟に右腕で頭をガードする。

 

「……何でもありだな。」

 

「まだ気は使ってませんよ?それにしても、合気を知っているのは驚きました。」

 

まだ合気という名前がつく前の技術だけどな。というか、この時代にはもうあったのか。

 

「もう少し速度をあげますよ?」

 

そういうと美鈴はまたあの歩法を使って俺の真横に移動しながら回し蹴りを放ってきた。

俺は一歩下がって半身になり、回し蹴りを避けるとそのまま肩をぶつけるが……

 

「……ミスった。」

 

身体能力に差があり過ぎて体幹を崩す事すら出来なかった。タックルが効かないのは流石に予想外だ。

 

「ちょっと中断していいか?」

 

「……どうしました?」

 

「いや、タックル効かないならパンチも効かないと思ってさ。一回本気で殴ってみていいか?」

 

「いいですよ、多分効かないですけど。」

 

そう言われると意地でもダメージを入れたくなるな。俺は腰を落として集中し、正拳突きを美鈴の腹に入れるが……

 

「いやー。流石に身体強化無しはハンデが大き過ぎましたかねぇ?」

 

「……これは無理だな。そもそも打撃が入っても有効打にならないなら俺に勝ち目がない。」

 

改めて思うが、この世界の呪霊……妖怪ってのはかなり理不尽だな。これでも妖怪としては飛び抜けている訳では無いらしい。

 

「呪力強化は使わないから、俺の術式を使ってみてもいいか?」

 

「……?まああれを身体に纏わないなら全然大丈夫ですけど。」

 

「じゃあ使わせて貰う。お前も気を使っていいぞ。」

 

「え?いいんですか?じゃ、遠慮なく。」

 

────赤血操術──赤鱗躍動。

 

これを使うだけで身体能力も反射神経もかなり上昇する。だがまあ、それは気を使った美鈴も同じこと。

 

「行くぞ?」

 

俺は軽く前蹴りを放つがそれは美鈴が膝を上げる事で軽く受け止められる。

 

「……流石にさっきよりは重たいですね。」

 

足を取られる前に反対の足で前蹴りを放ち、そのまま美鈴の左腕を掴もうとするが逆に足を掴まれてしまい投げ飛ばされる。

俺が受け身を取るよりも早く蹴りが飛んでくるが両腕でガードする事で何とか顔は守れた。

 

そのまま俺は再度受け身を取るがその上から美鈴が覆いかぶさってくる。俺は避ける間もなくマウントポジションを取られてしまった。

 

「……俺の負けだ。」

 

「いやー。やっぱり能力を使うだけでかなり違いますね。」

 

今までは呪力強化した身体能力でゴリ押しする事がほとんどだったしな。いい勉強になった。

……まあ呪力強化した肉体でのゴリ押しはこれからも変わらないだろうが。

 

てか、俺は元々術式を奪う前は呪具使いだったしな。刀も無しなのは普通に新鮮だった。

 

「美鈴は武器は使わないのか?」

 

「私ですか?使えない事は無いんですけど、拳の方が得意なんですよね。」

 

動きはまんま中国武術だし、拳以外にも使える事は分かるが。

 

「何を使えるんだ?」

 

「んー。槍とか刀ですかね。棍とかも使えますよ。鏡華さんは何を使うんですか?」

 

「俺か?俺も特に決まってないが……刀を使う事が多いな。」

 

刀は呪力との相性が良いんだよな。柄と刃の距離が近いのも呪力を纏い易くていい。

 

「へぇ。呪力強化……でしたか?あれを使われるともう私じゃ敵いませんからねー、武器まで使われると話にならないです。」

 

「まあいい勉強になったよ。また今度色々教えてくれ。」

 

「はーい。そうだ!今日は久し振りに動いてお腹が空いたので夕飯は少し多めでお願いします。」

 

……燃費の悪い身体だな。

 

「はいはい。じゃあ俺は夕飯の仕込みだけでも終わらせとくよ。」

 

メニューはもう咲夜が考えてるだろうし、何作るか聞いとくか。俺は屋敷に戻ると夕飯の確認の為に咲夜を探すのだった。

 

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