モチベ湧くまで他作品を優先的に書くことにします。まあ書かないとは言ってないので……
「ふーん。魔法ねぇ……大陸の方に妖術とは別の術を使う奴らが居るってのは聞いたことあるね。」
一気に瓢箪を空にした伊吹萃香はそう語る。
「俺の知る限りでも魔法、妖術、祈祷、奇跡、呪術と分類ですらこの量だからな。あいつが何を使うのかすらハッキリ分からん。」
魔神と呼ばれているくらいだし、多分魔法なんだろうが。本人も魔法だと言っていたし。
「でもその神とやらも不死って訳じゃないんだろう?本体さえ見つければ殺せる……違うかい?」
随分簡単に言ってくれるな。見た目から魔力量まで偽装されちゃあ見付けるだけで一苦労だぞ。
「ま、とりあえず今は情報を集めるしかない。お前に働いてもらうのは見付けた時だからな。」
逆にその場面意外で鬼が役に立つとは思ってない。建築なんかは出来るらしいが頭脳労働は駄目らしいな。まあ俺もだが。
「それにしても、アンタは呑まないのかい?アタシが言うのもなんだけど、いい酒だよ。」
「いや、別に呑みたくない訳じゃないんだがな……」
昨日から食事を取っていないから、酒より飯が欲しいんだよな。流石に空きっ腹に酒は堪える。
「なんだい、腹が減ってるのかい?その辺に酒の肴に取っておいた肉があると思うんだが……」
その辺……衛生面はどうなってるんだ。ここ洞窟だぞ。ちなみにだが、焚き火の跡があるくらいで生活感なんてまるで無い。
「あっれぇ?ここに置いてた筈なんだけどなぁ。誰か食っちまったのかな?」
「一応食い物はあるんだが。」
「なんだい。じゃあそれを食いなよ。」
ま、ほかに何も無いしこの状況で取っておくのは流石に無理そうだな……
俺は影の中から乾物にした食糧を取り出す。
「とりあえず火を起こしたいんだが……薪は無いか?」
「薪?その辺に沢山落ちてるじゃんか。え、面倒くさい?仕方ないなぁ。」
焚き火の跡があるから纏めて置いているのかと思ったが、鬼には取っておくなんて考え方は無いらしい。
が、伊吹萃香が何かをすると洞窟の外から薪が幾つか転がってきた。
「これ、何かの妖術か?」
「私の術だよ。ほら薪だ、わざわざ集めてやったんだ。私に感謝する事さね。」
「そうだな、助かる。」
集めに行くの、面倒くさかったからな。本当に助かる。
俺は鉈で薪を小さく切ると火が着きやすい様に削っていく。所謂フェザースティック作りだ。
「さて、これで……」
火打ち石はあるんだが、流石に直には火がつかないしな……松ぼっくりか何か無いものか。
くそ、ライターがあればそのまま着くのに。文明の利器が恋しいぜ。
俺は仕方なく普段使いの縄を取り出すと紐を解いてバラけさせる。そして火打ち石で何度も試行錯誤していると漸く火がついた。
「20分くらい掛かったぞ……」
「何だ、火をつけたかったのかい?それなら先に言ってくれればアタシが着けてあげたのに。」
……こいつ、俺が何をしてると思って見てたんだ。そもそも薪集めてたんだから察しろよ。
さて、気を取り直して、と。
俺は米を取り出すと水と一緒に鍋に入れて蓋を閉める。そしてもう一つ鍋を出すとそこに水を入れて沸騰させる。
お湯が沸騰してきたら、そこに味噌玉を投入する。保存食のイメージが湧かなかったからシンプルな物しかないが……
まあ腹の足しになれば問題ない。というか保存食に味を求めてない。
「……こんなもんか。」
正直普段食ってた物とは比較にすらならないレベルの食事だが……丸一日何も食べて無い事も相まって凄くいい匂いに感じる。
「よし……頂きます。」
……ま、思ってたよりはマシだな。ただの米と味噌だから味気はないが。あ、確か干物も入れてたような……
よし、おかずゲット。そうだ、干し梅もあったんだ。
梅干しと干物が追加された事で米の減るスピードが加速してしまった。
「はぁ……美味い。」
ただ、圧倒的に量が足りねえ。鍋も普通のよりは小さめのやつだし。
「随分美味そうに食べるじゃないか。アタシも食いたくなってきたよ。」
「……これだけはやらんぞ。」
一食分でこれだけしかないんだ。取られてたまるか。
「冗談だよ。流石にその量を見て取ろうとは思わんさ。」
「ふぅ……もう無くなった。」
あー、あと一食分しかねぇ。やばいな。ていうか、ここ集落じゃねえじゃんか。人っ子一人見てないぞ。
「そういえば、ここまで誰一人見てないんだがここって本当に妖怪いるのか?」
少なくとも気配は感じなかったな。まあ呪力で探知はしてないが。八雲紫の気配だけは常に近くにあったし……
呪力の無駄遣いは避けたかったし。
「ああ。お前らももう出て来ていいんじゃないか?」
伊吹萃香がそういうと、周囲の空間が溶ける様にして多数の人影へと変わった。
「うぉ!何だよ、ここに居たのかよ。」
この距離にこれだけの数が居て気配を感じないって事は……また能力持ちか。
その後、俺は顔も知らない鬼共に揉みくちゃにされながら歓迎されるのだった。ちなみに馬鹿みたいな量の酒を呑まされた。