手には銃があり、目の前には父親がいる。自分のなすべきことは理解している。
自分の父親がなにをしたのか、それを知っている。
村を崩壊させた原因であり、地獄を作り出した張本人なのだ。
無論、自分があのとき、シャーレイを殺していればこんな地獄は生まれなかった。その後悔はもちろんある。
ならば、自分のすべきことは理解している。
そうして、銃声が何発か発砲された。
造作もないことだった。
時間は戻って、イリヤとブレイクの会話あたり。
切嗣はブレイクにつけていた使い魔で盗み見していた。
また、サンが家の屋根上に潜んでいることを把握していた。
「これは一体どうなっているんだ?」
切嗣は困惑していた。
ブレイクはホワイト・ファングに敵対している?ということはブレイクはもうホワイト・ファングの一員ではない?
この結論にたどり着いたとき、切嗣は安堵していた。
殺すのはアダムただ一人だけでいいのではないかと考えたからである。
となれば、やるべきことは一つ。
襲撃に備えることである。
切嗣はあらかじめ準備していた装備を持ち、いつでも部屋から出られるようにしていた。
そしてすぐにそのときがやってきた。
下のほうから大きな物音が聞こえた。
「来たか」
切嗣はそうして銃を持ち、部屋の外に出た。
敵はどこまで入っているかわからず、丁寧にクリアリングをおこなった。
そうしているうちに家具の裏に隠れているブレイクの母親であるカーリー・ベラドンナを見つけた。
「大丈夫かい?」
切嗣は応戦したなら聞いた。
「ええ、大丈夫ですよ」
カーリーは増援が来たからか、落ち着きを取り戻していた。
今、切嗣とカーリー、警備兵が敵と戦っているのは、丸い床のある部屋である。
そこには二階を支えている柱があり、遮蔽物となっている。
また、二階部分にはガラスがあり、いまだそこには敵の侵入はない。
切嗣は持ってきた銃であるキャリコM950を構え、敵に撃った。
敵も遮蔽物に隠れ、やり過ごそうとしている。
敵からも反撃で銃を撃ってきたが、切嗣は違和感を感じた。
敵の銃弾が光っているのだ。
切嗣からしてみれば、なぜすべての弾が光っているのか、まったくわからなかった。
しかし、考えている暇はない。やるべきことは目の前の敵を撃破することだ。
切嗣は敵の弾切れのタイミングで前に出て、交戦していた敵2名を撃破した。
しかし、その瞬間、ブレイクを襲い、襲撃に援護しに来た敵がカーリーの後ろから襲ってきた。
その結果、カーリーの近くにいた警備兵が倒された。
それを見た彼女は近くにあった木材の切れ端で敵に攻撃し、気絶させた。
「私のことはいいから、夫のほうにいって!」
切嗣は迷ったが、即座に行動した。
一方、ブレイクの父親であるギラ・ベラドンナは敵の地方の幹部であるコサック・アルべインとフェネック・アルべイン、その他協力者と戦っていた。
少人数戦を強いられているギラは少しずつ下がりながら戦っていた。
場所も複数人が戦うには狭い玄関であったため、なんとかなっていた。
戦闘が進むにつれて、ギラは少しずつ敵を減らし、敵の幹部である2人にまで減らしていた。
「遅くなった!」
そうしてサンが戻ってきた。しかし、ブレイクの姿が見えない。
戻ってきたサンを敵と認識したのか、コサックとフェネックは手に持った三角錐のような武器をあわせ、炎と風のコンビネーションを放った。
それを受けたサンは自身の武器を回しながら受け止め、ブレイクに合図した。
「今だ!」
ブレイクが2階部分から降りてきて、幹部の間に着地した。それを見逃すはずがない。
敵は着地した隙を狙って、ブレイクに攻撃を仕掛けてきた。
しかし、ブレイクはセンブランスを使用して、敵の手を氷となった分身に固めた。
「母さんは?」
そうブレイクが自分の父親に聞くと、
「わからん。突然襲われてな」
ブレイクの目が見開いた。今すぐにでも助けなければ
「前の二人を倒したら、探そう」
「いいや、探してこい」
「でも!」
このタイミングで切嗣が合流した。
「切嗣、母さんは?」
「丸いところで一緒に戦ってたんだけど、あらかた片付いたからこっちに来たんだ」
母親の居場所が確認できたが、まだ安心できない。
「ブレイク、切嗣と一緒に母さんのところへ行きなさい」
「でも前の二人は、」
言葉を遮るように、強めに話した。
「このお友達は無駄でも何でもないといったのはお前だ。それを信じる。」
この言葉に決心したのか、即座に行動に移した。
そうして向かっているうちに、会議室でイリヤを見つけた。
会議室といっても2階部分がある吹き抜けの構造になっており、装飾として植物があった。
彼女は2階部分にいた。
「そこで隠れているつもり?」
そうブレイクは2階にいる幼馴染に聞いた。
「言ったはず。戦いは望んでいなかった」
おそらく本心であろうことは切嗣とブレイクは気づいていた。
「なら、どうして?」
困惑しながら聞くと、
「こうするしかなかった!」
叫ぶように答えた。
「他に道はあった」
同じように答えた。
イリヤは顔をそむけた。
「切嗣、母さんを探して」
しかし、切嗣は動かなかった。
彼自身が友人を殺すことの理解が深いからである。
「いや、僕が相手をしよう」
この発言に、ブレイクは何かを感じた。しかし、譲るわけにはいかない。
「イリヤ、邪魔だけはしないでね」
そういって警戒しながら離れようとするブレイクに、イリヤは襲ってきた。
近距離戦闘のために降りてきたイリヤの硬直を狙って、切嗣はM950で攻撃をした。
しかし、切嗣はまた驚きの光景を見た。
切嗣が放った銃弾はすべて彼女の武器にはじかれてしまった。
彼女の武器はレイピアのような細さのもので、らせん状に切り込みがあった。
その細い武器で剣の長さを変えながら銃弾をはじいたのだ。
切嗣からしてみれば初めての経験であった。
撃ち終わると切嗣に向かって高速で突進してきた。
「速い」
そう感じた瞬間、彼は魔術を発動させた。
「タイムアルター・ダブルアクセル」
これは固有時結界を体内に限定し、自分の体内の時間だけを変化させる能力である。
しかし、解除したら、世界からの修正力が発生するため、体に負担がかかる。
そうしてイリヤの攻撃を避け、続けざまにブレイクが攻撃した。
それを防がれたブレイクは即座に距離をとった。
そして切嗣のリロード時間を稼ぐために再度攻撃し、つばぜり合いになった。
「誰かを犠牲にしてまで、叶える必要ある?」
「必要ならばな」
ここまで聞いた切嗣はイリヤと同じことをした過去を思い出した。
彼女もまた、多数のために少数を犠牲にすることを信条としており、彼女の発言に共感を覚えた。
「そんなことで正当化できない」
ブレイクのこの発言に切嗣はなにを考えたのだろうか。
次の瞬間、イリヤの武器になにか光ったのが見えた。
その瞬間、ブレイクの武器が手元とから離れていった。
それを見た切嗣は攻撃をしようとしたが、反応が遅れた。
ブレイクは即座に隠れた。
「黙れ!説教なんて聞きたくない!」
切嗣はイリヤに攻撃を仕掛けようとしたが、どこにもいなかった。
イリヤのセンブランスで体の色を変化し、周りと同化したのだ。
そして突然、部屋の明かりが消えた。
切嗣とブレイクは警戒しながら歩き、ブレイクが二階の植物めがけて銃の照準をあわせた。
「父さん、ごめんなさい」
そう申し訳なさそうに彼女は植物に銃を撃ち、その植物が燃えた。
もはや切嗣はこういったことでは驚かなくなった。
姿をあらわしたイリヤがブレイクに問いかけた。
「どうして出ていかないの?」
「もう二度と逃げないためよ」
その発言は決意にみなぎっていた。
これが彼女の本意である。
この意思の確認が合図となった。
ブレイクとイリヤ、両方が同時に攻撃を仕掛けていった。
ブレイクが上からまっすぐ振り下ろし、イリヤは後ろに下がって避けた。
そのタイミングで切嗣はナイフでイリヤの背後から切りつけようとし、防がれた。
それを見たブレイクが横に薙ぎ払いながら攻撃し、イリヤは大きく距離をとって回避した。
「人間がファウナスを虐げるのを誰もやめないのなら、止める手段は一つだけ」
そう決意をにじませながらブレイクに投げかけた。
ブレイクは遠距離で攻撃を開始し、それを防いでいた。切嗣はチャンスを待った。
しかし、彼女の武器に異変が生じた。ブレイクの攻撃によって、伸びたまま凍ってきたのだ。
切嗣はナイフを投げたが、避けられてしまった。
そのタイミングでブレイクは武器を床に投げ捨て、イリヤを押し倒した。
「あなたは心の正しい人なのに」
ブレイクはそう信じている。信じているのだ。
「黙れ!」
イリヤは怒鳴り声をあげた。
「ご両親だって、こんなことは望んでいない」
ここでイリヤの抵抗が弱まったのを感じた。
「私はこの方法しか知らない!」
イリヤが涙ながらに語り、ついには泣き出した。
「これしかできない…」
ブレイクはそうしているイリヤを見つめていると後ろから壁が壊れる音がした。
敵の幹部の一人であるフェネックが壁ごと吹き飛んできた。
「父さん!」
「ブレイク!」
ここでまた再開となった。
あとがきです。ここで今更ですけど、前書き何書けばいいんだろうか。とりあえず過去を書いてみたけどこれでいいんだろうか。あと最近小説書くのが楽しくなってきました。まぁ、自己満足ですけど。本当は今回ですべて書こうとしましたけで、あれですね。体力がなかった。それだけです。やらかしたわー。
ということでですね、次回予告です。
襲撃されたが、状況はよくなってきているベラドンナ家。さぁ、どうなるのか?
これじゃないかんが凄い。こう、語彙力ってあっぱ必要ですねこれ。