ミストラルのヘイブン・アカデミーでの決戦のため、現在切嗣たちはいろいろ教えているところ。
結局、首謀者の一人であるフェネックは死亡が確認され、コサックは警察に拘束された。
しかし、事件に関わって捕まったのは幹部であり、イリヤを含むそのほかは許され、釈放されている。
一応、聞き取りなどをおこないはしたが。
それでアダム・トーラスがホワイト・ファングの代表になったという最悪なことを認識できたけど。
ブレイクが事件後のことを思い浮かべながら、木の下で休憩している切嗣を見つけた。
「やぁ、切嗣。調子はどう?」
「まぁまぁかな。人に教えるのは難しいな」
「まぁ、そうだろうね」
実際、切嗣の戦闘技術はかなり上手い。経験の差だろうけど、どんな経験すればあれくらい強くなれるのか。
興味が湧いてきた。
「ねぇ、切嗣。ここに来る前は何してたの?」
「この世から争いをなくそうとしてた。」
「あともう少しだったんだけどなぁ」
一体ふざけているのか。そう思っていたが、どうやら違うように思う。
「正義の味方になりたかったの?」
「昔はね。でも、正義の味方を名乗れるほどもう若くはない」
「僕はね、少しでも多くの人を救いたかったんだ」
この言葉は本心であるように感じた。おそらくかなり苦労してきたんじゃないかと思う。
どんな方法をしていたのか。それを知りたい。
「どうやったの?」
「まぁ、いろいろだよ」
はぐらかされてしまった。これ以上聞いてみたいけど、休憩時間が終わってしまった。
「教えてくるから。じゃあ、また」
「ええ、またね」
そういって小さくなっていく切嗣の背中を見つめていた。
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もう暗くなってしまった。
ブレイクはサンと一緒に切嗣の部屋に訪れていた。
切嗣がどうやって人々を救おうとしたのかを知るためだ。
「切嗣、どうやって人々を救おうとしたんだ」
部屋に入った瞬間、サンが即座に聞いてきた。
さすがの僕も苦笑いするしかなかった。
ブレイクがサンにいい感じの一撃を入れていた。
正直あまり気にはしていない。
ブレイクがかしこまっていた。
「切嗣。あなたはどうやって人々を救おうとしたの?」
死ぬ必要のある人を殺していたとか、聖杯にお願いしようとしたといってみようかと思った。
しかし、僕がそんなことをしているのは地球の話だ。
前者はともかく、後者は信じられないだろう。
「悪い人を懲らしめていた」
嘘ではない。たぶん。
ブレイクが口を開いた。とても悔しそうに。
「正直に答えて、切嗣」
「私はビーコンで大勢の人を救えると信じていた」
「自分はもう変わったと思っていた」
「だけど、現実は非常だった」
「誰かを助けるどころか友達を傷つけた」
「逃げてしまった」
「ホワイト・ファングから抜けて自分は変わったと思っていたのに」
「ブレイク…」
サンがなにかいいたげだったが、結局黙り込んでしまった。
しかし、切嗣からして見れば、再度確認が取れた。
ブレイクはもうホワイト・ファングの一員ではない。
アダム・トーラスだけを殺せばいい。
「私はね、もともとホワイト・ファングの一員だったの」
「ファウナスの差別がなくなると思ってね」
「だけど組織は変わってしまった」
「平和な抗議運動から暴力によって訴えるようになった」
「私はそれが許せず、抜けたの」
「でも、諦めていないの」
「なにもかも」
「だから、あなたに教えてほしいの。切嗣」
目の前の少女は、人だろうとファウナスだろうと平等に愛している。
この少女はまだ自分と同じ道を辿っていない。
おそらく隣のサンも同じだろう。
だからこそ、迷うのだ。
自分の辿ってきた道は地獄につながるから。
間違えないように話した。
「僕はね、少しでも多くの人を救おうとした」
「たとえ犠牲を払ったとしてもね」
「だけど争いを止めることはできなかった」
「僕の願いは世界の恒久的平和」
「それさえあればたとえ自分が悪になってもよかった」
「だけどね、正義の味方は自己中心的なんだよ」
「自分の理想のために必要ならば少数を見捨てる」
「それがどんな人であっても」
「いいかい。誰かを助けることは誰かを助けないということなんだよ」
「こんなもので世界は救えない」
「これに気付くのに時間がかかってしまった」
聖杯とかは隠しながら話した。話せば長くなるだろうし。
さて、どうだろうか?
ブレイクとサンは静かに聞き、理解するために静かになっていた。
最初に声を出したのはサンだった。
「なんていうかその、家族とかも犠牲にしたのか」
「そうだ。必要ならばどんなこともする」
「そうか」
静かなサンなんて初めて見た。
「あなたはなにに絶望したの」
「私はあなたがどんなことに直面したのかは知らない」
「だけど、正義の味方に憧れていたのでしょう?」
似たようなことを昔聞かれたような気がする。
「正義の味方なんてものは機械に任せればいい」
そうして沈黙が流れた。
サンもブレイクも切嗣の過去に触れてはいけないような気持ちになっていた。
そこで今日はお開きになった。
切嗣もブレイクもお互いに収穫があった。
切嗣はブレイクとホワイト・ファングとの関係性の確認を
ブレイクは切嗣が信用できるかどうかを
さて、決戦の日は近い。願わくば全員生き残ってほしいものだ。
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ヘイブン・アカデミーへ出発する日。ブレイクとギラによってチャーターされた船で移動することになった。
切嗣もサンもブレイクも自分の武器をもって、各自船に乗り込んでいった。
「なぁ、ブレイク。切嗣は信用できるのか」
「もしかすると俺らのことを殺すかもよ」
「大丈夫よ、サン」
「なにも心配いらない」
そう答えるブレイクはどこか根拠はないが確信めいた態度を見せた。
切嗣は考えていた。
もし、アダムを殺せば終わりなのか。それともまだここにいるのか。
もしここに残ることになったら、どうしようか。
住民票の発行や仕事とかの現実的な話ではない。
自分は正義の味方にもしかするとなれるのか。
だが、あれほど憎んだ正義の味方だ。
なれるはずがない。
ここは異世界のため、自分の価値観が通用しないところだ。
なら、他の人からなにか自分のやらかしを判明させることができるのではないか。
もしそうなら、どんな感じなのだろうか
第5話ですよ。ここまで続くなんて考えもしなかったですよ。
あとお気に入りしてくれたかた、読んでいるかわかりませんがありがとうございます。
最終局面に近づいてきましたこの作品をどうかよろしくお願いします。