家の中で死体があった以上、ここにはいたくなかった。
しかし、今外に出れば先ほどの死体と同じようになる未来は見えていた。
家に食料が残っているのは不幸中の幸いといえよう。
「この吹雪いつやむかな?」
ブレイクからの問いに誰も答えられない。
先ほどのオズピンの過去から雰囲気は最悪になってきた。
残っていた食料で夕飯を作り、食べ終わったころには疲れが見え始めた。
「ちょっといいですか、みなさん」
「なんだよ、ワイス。改まって、」
ワイスは楽になれる提案をし始めた。
「レリックをアトラスに運ぶ必要はありまして?」
「これがあるからグリムがよってくるんですわよね?」
「なら、これをどこかに隠すのはいかが?」
この提案は楽になれる方法であった。
しかし、それを簡単に賛成することはできなかった。
「ダメだよワイス。ちゃんと届けて管理しなきゃ」
ルビーの意見には賛成の態度を示すものが多く、場の雰囲気は一体感を醸し出した。
「そうですわよね。どうかしてましたわ。」
そう言ってワイスはその場を離れた。
そうして時が過ぎていき、いつの間にか全員が寝落ちしていた。
朝になった。吹雪はやんでいた。
「朝だよ、起きてー」
ルビーが起こしにいったが、その前より起きていた切嗣以外は起きなかった。
またいつ吹雪が来るのかわからない。
早く出たかった。
「切嗣、クロウおじさん起こしてきて。私は他のみんなを起こす。」
切嗣はうなずき、起こしに行った。
結局、全員起きたが、全員眠そうだった。
そうして出発の準備を整えていた。
誰かが言った。
「やっぱアトラスに行くの辞めない?」
「ダメだよ、アトラスに行って、管理ができるところに持って行かなくちゃ」
賛成と反対が昨日と入れ替わった。
井戸に捨てるという手段やそこらへんに埋めるという手段が候補に挙がった。
その中でもルビーは説得しようとしている。
「それを捨てれば楽になれるよ」
「ここで隠せば、長く見つからないかもよ」
「そんないらないもの捨てな」
周りに影響されたのか、ルビーは説得を諦め、井戸の上にレリックをぶら下げた。
捨てるかどうかを迷っていた。
が、井戸の下に何かあるのを見つけた。
赤い目が一つ、二つ、いやそれ以上ある。
すべてグリムのものだと気づくのに時間はかからなかった。
「ーーーーー!!!!!」
声にならない悲鳴をあげ、レリックを落とした。
即座に来る、後悔。
「落とす気なかったのに!!!!!」
「拾ってくる!!!!!」
そう言ってルビーは単独で降りようとしたとき、切嗣も近づいていた。
そのため、切嗣も巻き添えになった。
その後、他の3人も降りていった。
中は暗かった。
空間はかなり広く、どこまであるのかがわからない。
また、水が流れていた。
ルビーと切嗣、その他はこの空間の中で落としたものを探していた。
少し歩くと、なにやら光っているものがあった。
ルビーは近づいてみると、そこにはレリックがあった。
「あった―――!!」
その報告と同時に、目の前にグリムがいることに気付いた。
即座にその場から離れ、ヤンやブレイク、ワイス、切嗣に情報を共有した。
来た道を戻っていると、前におばあさんがいた。
「こっちだ!」
おばあさんに呼ばれ、言われた通りに行こうとした。
しかし、グリムが何かしたのか、体が重くなった。
なんとか持ちこたえた切嗣が銃で交戦し、時間を稼いだ。
交戦の音で正気を取り戻したため、即座に移動を開始した。
そうしているうちに、周りを囲まれていったが、運よく出口を発見した。
そこは酒蔵のようで、右には階段と出入口、左には酒樽とグリムがいた。
グリムがまたなにかをし、全員が動けなくなった。
切嗣だけがまだ対抗することができ、時間稼ぎをした。
そして正気に戻り、ヤンが出入り口を破壊しようとした。
しかし、また能力を使われ、全員がダウンした。
「ブレイク、起きて、早く」
ルビーのすぐ後ろで倒れ、グリムに襲われるのをただ待つだけのブレイクの姿がそこにあった。
しかし、異変が起きた。
ルビーの目が銀色であることに気付いた。
おばあさんは即座にルビーのもとに駆け寄った。
「ルビー、お前さんの大切な人を思い浮かべな」
「いなくなったらどう思う?」
「その人たちといて楽しいかい?」
「考えるだけでいいんだ」
ルビーは突然なにを言われているのかを理解することができなかった。
しかし、言われた通りにしてみると驚くほど集中することができた。
目のあたりが熱い。
前にも似た経験があった。
そうしてルビーの目から銀色の光が放たれ、グリムは消滅した。
同時にだるさがなくなり、即座にその場から脱出した。
外で待っていたらしい、オスカーやクロウに声をかけた。
「逃げるよ!」
そういって全員が乗り込んだことを確認したヤンはその場から逃走した。
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ことの顛末をおばあさんことマリーヤから聞いた。
「あのグリムはそこまで強くはない」
「しかし、人の前に進む力を奪ってしまう」
「あのグリムは住民が節約するために誘拐してきた」
「おそらくそれを追って、あんなにもグリムが入ってきただろう」
「それと、もう一つ」
そう言って切嗣のほうを見てきた。
「お前さん、なんであのグリムに抵抗できたんだい?」
「お前さんだけ特別なのかい?」
正直わからなかった。
なぜ自分だけ耐えることができたのか、
心当たりがなかった。
「わからないな」
「そうかい」
話が終わったタイミングを見て、ルビーがマリーヤのほうを見てきた。
「ねぇ、マリーヤ。目の力の使い方教えて?」
「私も知っていることは少ないんだ。」
「それでもいいかい?」
「うん、お願い!」
「目の使い時だけは間違えないでくれよ」
「お前さん、死ぬことになるから」
ここで全員、疑問が生まれた。
しかし、そんなことを聞く気にはなれなかった。
「ルビー、ごめんなさい。」
「私、どうかしてましたわ。」
ワイスが謝罪してきた。
おそらく、レリックを捨てるよう促したことに対してであろう。
「大丈夫。あれはグリムのせいだし」
「私も同じこと考えた。ごめん」
「私も、ルビー。本当にごめん」
ヤンとブレイクも謝罪してきた。
やはり、責任を感じているようだ。
「やはり、レリックはアトラスに持っていく。」
「そして管理して、セイラムの手に渡らないようにする。」
ヤンの話に全員が同意した。
ここでまた、切嗣の目をマリーヤが見てきた。
「それにしてもお前さん、何しているんだい?」
「何してるって、どういうことだ?」
「仕事だよ、仕事。最初はハンターかと思っていたんだけど違う」
「お前さんの目はよくわからん」
「人に対する優しさやなにかを成し遂げようとする目と」
「冷酷ともいえるほど冷めた目の」
「2つが同居しているように思うんだけど。」
全員が静まり返った。
切嗣の過去を知っているからか、その問いには安易に答えられなかった。
「まぁ、隠し事は誰にでもあるしね」
「マリーヤは昔、何していたの?」
オスカーが話題を変えにいった。
「私はね、昔はハンターをしていたんだよ。」
「グリム・リーパーなんて呼ばれもしたねぇ」
クロウだけが反応した。
「グリム・リーパー?あの有名な」
「おや、知っているのかい?」
「知っているの何も、目標だった。」
「武器もあんたに憧れてこれにしたんだ」
「こんな私を目標にするんじゃ、ない」
「それに若い世代がこんなにも成長しているじゃないか」
「それだけで満足だよ。」
話しているうちにスクロールが反応した。
見ると、ジョーンから着信があった。
声が聞こえた?圏外じゃなくなった?
ここで全員の予想が一致した。
ちょうど高台にいた。
目の前には町があった。
それは明らかに目的の場所であった。
「乗客の皆さん、間もなく到着します。」
いやー9話ですよ。早いですね。
いろいろありました。
ここまで読んでいただきありがとうございました!!