RWBY【チームHOPS】   作:Haganed

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Sakura:Trailer

 レムナントの中で2番目に大きな大陸アニマ。サナス大陸の東に位置し、4王国の1つ『ミストラル』が存在している。

 

 ミストラルに住まう上流階級の人間は、あらゆる物に価値を見出し、レムナントの文化的貢献を構築している。そんな煌びやかな世界とは裏腹に、下層階級には世界最大のブラックマーケットが存在しており、犯罪者の隠れ蓑として有名なのは少し調べれば分かるほど周知されている。

 

 金さえ払えば、どのような事でも受領する彼らではあるが、そんな彼らでさえ敵対してはならない相手が居る。今回は特別に、匿名性を保持する条件を呑んでもらい、1記者たる私が関わってはならない相手についても取材した。

 

 取材相手である『A』氏へのインタビューを続けていると、関わってはならない相手について語ってくれた。

 

 

「どんな世界には、間違っても手を出しちゃならん相手が居る。自分らみたいなのが束になっても敵わない奴等さ、中でもヤバいのが2つ」

 

 

 指を2本立て、分かりやすく此方に示した。手を出してはならない相手について、机に置かれている水の入ったコップを持って、コップの半分まで飲んだあと話が再開される。

 

 

「1つ、ここ最近新しく設立されたアトラス軍特殊部隊の『ルミナス部隊』。情報規制があるせいで詳しい事は分かっちゃいないが、全員が手練なのは間違いない。隠密戦、強襲戦、電子戦、情報戦……目を付けられれば間違いなく終わりと思っていい相手だ」

 

 

 では、もう1つは一体? やはり、アトラス軍関係の相手なのでしょうか?

 

 

「いや、アトラス関係では無い。だが敵対したら最後、地の果てまで追って根絶やしにしかねない奴等が居るってのは確かだ」

 

 

 いつの間にか水を全て飲み干して、取り出した煙草に火をつけて紫煙を燻らせた。

 

 

「敵対しちゃならない相手には共通点ってのがある、結果が割に合わないのさ。逆に自分らが痛い目を見続ける羽目になってしまうから、矛を向ける事は無い。互いにな」

 

 

 煙草が4分の1ほどまで灰になり、灰皿へと落とす。

 

 

「ルミナス部隊以外に敵対しちゃならんのは、ただ1つ。ウカノグループだ」

 

 

 ウカノグループ。確か、第一次産業のシェアリングエコノミーで急速に名を挙げた、あのウカノグループ?

 

 

「そう。あの、ウカノだ。このレムナント全土の食料を支配してると言っても過言では無い相手には、絶対に手を出しちゃならんのが暗黙の了解になってる。ウカノに手を出す奴が居るのなら、そいつはモグリか命知らずかのどっちかだ」

 

 

 1つ聞いても? 何故SDCではなく、ウカノグループなのですか? 確かにウカノグループは急速な成長を遂げ、レムナントを台頭する企業にまで上り詰めていますが。

 

 

「言いたい事は分かる。確かにSDCはレムナントのダスト産業や他産業を担っていて、まさしくレムナントの支配者。そんな場所を狙えば間違いなく報復されるだろうな、さっき言ったルミナス部隊もある。だがウカノと違いSDCは、近年その勢力が弱まりつつあるんだよ」

 

 

 ……ホワイト・ファングですか。

 

 

「そう。ホワイト・ファングが積極的にSDCを狙ってる事もあって、ウカノは着々と勢力を増やしている。加えてウカノはSDCみたく、低賃金・劣悪環境・人権無視の方針とは真逆を進んでいる。風の噂によれば、ウカノは元ホワイト・ファングの構成員までも適切な労働条件を出して仕事させてるみたいだ」

 

 

 そう聞くと、凄い人望の厚さがありそうですね。

 

 

「実際、人望はあるだろうよ。人間とファウナスの差別をせず、労働従事者として平等に接する。人道とやらに則った社風だからこそ、ウカノは発展した。中にはウカノこそが至高だと宣う奴も居る、そんな奴等が大量に居るウカノに喧嘩を売ったとなれば、問答無用で消されかねない」

 

 

 だから、ウカノには手を出さない。

 

 

「出しちまえば最後、禄な終わり方にはさせちゃくれないだろうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わってミストラルの高地にある小さな木造の小屋。小屋の前には小さな畑があり、右隣には別の木造小屋が建てられている。小屋の左側には天然の湧水源があり、いつでも水が引けるように水路が作られていた。

 

 引き戸になっている扉を開けて、紫色の髪を古墳島田と呼ばれる結い方で纏めている少女が現れる。小学校低学年に見られる位の身長でありながら、農業に用いられる服装を着て別の小屋に向かって行った。

 

 小屋の中では育苗棚にて育てられている米の苗があり、彼女は現在の状態を見る。

 

 

「……ふむ、良い良い。そのまま何事もなく育っていっておくれよ」

 

 

 確認したあとは、今いる小屋から鍬を持って外へと出ていき、固くなっている畑へと足を踏み入れ、掛け声と共に土を耕し始める。

 

 

「ぃよッ!」

 

 

 畑の広さはそこまで大きい訳ではなく、1人手作業でやっても問題ない。現在は機械にとって置き換えられているが、今この場ではそれについて言及していない。何の疑問も抱くことなく、少女は鍬を慣れた手付きで振るう。

 

 途中ある石などは取り除きながら、速いペースで進めていき、いつの間にか時刻は昼頃。朝食は軽く済ませているため、腹の虫が鳴ったのを気に休憩を始めた。

 

 ちょうど良いタイミングで、人の足音が近付いてきた。少女が小屋の縁側で待っていると、現れたのは大柄なゴリラのファウナスで、その手には風呂敷に包まれた物品を持っている。そのゴリラのファウナスは少女のもとまで歩み寄ると、しゃがんで視線を合わせて持ってきていた物を渡した。

 

 

「お嬢、本日の昼食に御座います」

 

「おー、ちょうど腹ペコじゃったんじゃ。うむ、褒めてつかわそう」

 

 

 ゴリラのファウナスから風呂敷を受け取り中身を確認する。入っていたのは笹の葉で包まれた物と、保温機能のある水筒、そして弁当箱が1つ。笹の葉の包みを開ければ三角握りのおにぎりが3つ、弁当箱を開ければ肉と山菜と卵焼き、水筒の蓋を器にして中身を注げば出汁の効いた味噌汁が現れた。

 

 それら全てを用意して、少女は両手を合わせる。

 

 

「いただきます」

 

 

 笹の葉に包まれていたおにぎりに手を伸ばしかけ、少女は待機しているゴリラのファウナスに視線を向け声をかけた。

 

 

「そういやバルバロ、おぬし昼は摂ったのか?」

 

「いえ、お嬢の食事が済みしだい本家に戻り、ホルホッサ様にお渡しした後に」

 

「バルバロ」

 

 

 少女は声のトーンを落とし、溜め息を1つこぼす。おにぎりに伸ばしかけていた手の動きを再開し、1つを手に取った。

 

 

「ほれ、手を出せ」

 

「はっ」

 

 

 少女はバルバロと呼ばれたゴリラのファウナスが差し伸べた手のひらに、自分が食べる分であるはずのおにぎりを置く。

 

 

「あの、お嬢?」

 

「その大きさでは腹の足しにもならんじゃろうが、儂1人では少々食いきれん。手伝え」

 

「しかし」

 

「くどい。手伝えと言うておろう」

 

「……御意のままに」

 

 

 少女は縁側に座るよう誘導し、バルバロは優しげな顔になって縁側に座った。それを見て少女は残りのおにぎりを取る。

 

 

「では、いただくとするかの」

 

「ご相伴に与ります」

 

 

 バルバロはおにぎりを1口で、少女は海苔に届かない辺りの所まで食べ、よく咀嚼した。それからは特に会話は無く、しかし鳥のさえずりや風の吹く音などが静寂を呼び寄せない。

 

 そうしてふと、少女は思い出した。

 

 

(あれ、儂なんで当たり前のように労働しとるんじゃ?)

 

 

 そこからであった。思い出される日々の内容は、アカデミーに通いながら農業の苦労とはどういったものかを、この身をもって学ばされた事。農業狂いである自分の母の言いつけを、当初は面倒くさがっていたのにも関わらず、何だかんだビーコン・アカデミー入学前まで続けていることを改めて思い出した。

 

 

(儂、そもそも肉体労働も頭脳労働もクソだと思っておらんかったか? なんで律儀に米作りを手作業で、いやその前に農薬ではなく堆肥で土地を育てる時点で正気かと疑いはしたが……ちょっと待て、儂元肥済ませておったっけ?)

 

 

 食べている途中であったが、少女はおにぎりを食べながら堆肥を入れている桶のところに向かい、中身が入っていることを確認した。

 

 

「しもうたな」

 

「お嬢?」

 

 

 バルバロは少女の様子が気になって声をかけた。少女もバルバロの方を見て、食いかけのおにぎりを食べる。

 

 

「バルバロ、来てなんだが堆肥を撒いてくれんか。元肥をまだ済ませておらなんだ」

 

「よろしいのですか? 食事中にそのような」

 

「もう慣れたわい。今更腐ったものを嗅ぎながら飯食う事なんぞに抵抗もクソも無いわ」

 

「まぁ、それでも構わないのでしたら、やらせていただきますが」

 

「文句は言わん、遠慮なくやれ」

 

「では」

 

 

 そうしてバルバロが畑に堆肥を撒き始める中、特別臭いに気にせず飯を食べる少女。その作業を見ながら、色々なことを考え始めた。

 

 

(そういえば、そろそろビーコンへの入学時期か。入学準備は済ませておるが、この畑の管理を誰に任せるのか決まって無かったの。バルバロはいかん、果樹園を任せておるしな。あと他には──)

 

「お嬢、堆肥撒き終わりました」

 

「うむご苦労」

 

 

 考えていた彼女ではあったが、ひとまずやる事をやってから自分の執事にでも相談すれば良いかと思い、昼食を食べ終えて片付けを済ませる。風呂敷に包まれた洗い物などを持って、バルバロは少女の居る小屋を離れて行った。

 

 食事は摂ったが、元肥を撒いた以上少し早めに休憩を切り上げて土を掘り返していく。その間も、誰にこの畑を任せようかと考えて暫く経ち、田起こしも終えて後は苗が育つのを待つのみ。

 

 あとは特に何もすることも無いので、このまま少女は下へと降りていく。多少整備された道を歩くこと30分、少女の目に入ってきた景色は壮大なものであった。

 

 農場、農場、農場。どこもかしこも何かの野菜を育てており、時折蜜蜂達が花の蜜を集めに飛んだりしている。通り道を少女が歩けば、彼女を見た農家たちは挨拶をし、少女も挨拶を返していく。

 

 そうした帰路を通り、少女は家屋の並ぶ住所地帯の中でも一際大きな平屋敷に到着した。門を潜り踏み石が並ぶ道を通り、引き戸を開けた。

 

 

「爺ー、帰ったぞー」

 

 

 声が屋敷の中を素通りしていく。思えば、いつもならば帰りに合わせて玄関で待っている筈の本人が居ないと気付くやいなや、少女は腰に付けた棍棒を手に取り警戒心を持って家の中に入っていく。

 

 やけに静かな部屋をゆっくりと歩き、少しばかり億劫になるほどの広さのある自分の家で警戒しなければならないストレスを何故自分が体感しなければならないのか腹が立って、無気力気味に敵を探し始めた。

 

 そうして台所にまで到着すると、外から物音が耳に入る。何の警戒心もなく足音を立てながら、裏口のドアに手をかけて開ける。しかし外を見ても誰も居らず、何処から音が出ているのか周りを見れば蔵の扉が少し開いている。

 

 蔵を荒らしに来た阿呆を対処していたのだろうとアタリを付け、どんな輩が来たのか見てみようと思い立ち、少女は蔵の扉を開けて中を覗いた。

 

 

「おや、お嬢様。お帰りなさいませ」

 

 

 そこに居たのは、歳を召した老齢の男。しかしただの人間では無く、この男はミミズクのファウナスである。丁寧な所作で少女に一礼した彼を一瞥して、特に問題は無い事を悟った。

 

 

「うむ、帰った。じゃがあまり手間をかけさせるな、面倒事は嫌いなんじゃ」

 

「大変申し訳ございません。ネズミが入り込んだので対処に」

 

「よい、此度の事は責める程でも無い。後のことは任せたぞ、儂は疲れておるでな」

 

「かしこまりました」

 

 

 少女は裏口から室内へと戻っていき、執事は扉が閉められたのを確認したところで、蔵の中に居る()()()へ視線を向ける。

 

 

「さて、お嬢様もお戻りになられた事ですので──すぐに終わらせるとしようか」

 

 

 右手を顔の辺りまで挙げて、左手で右手首を掴みながら右手の指を鳴らす。彼の視線の先には1人の男のファウナス(同類)が居り、傍らにはグリムに似た仮面が転がっていた。

 

 

「ッ……! ぐッ……!」

 

「あまり動くな、傷が増えるぞ」

 

 

 執事はファウナスの胸ぐらを掴み、少女と接していた時とは想像できない程の冷たい視線を向ける。満身創痍のファウナスであったが、その視線を向けられた途端に意識の全てが執事に注目してしまった。

 

 

「1つ聞こう、ここに住まう御方が誰か分かった上で襲撃したのか?」

 

「なん、で……俺は、ホワイト・ファングの、幹部だぞ……!? こんな、事が」

 

 

 男が言い終える間も無く、執事の拳が鳩尾目掛けて放たれる。まるで極太の槍にでも貫かれたかのような衝撃をくらって意識が一瞬で飛んだが、()()()()()()()()()()()()()

 

 

「質問に答えろ。2度も手間を掛けさせるな」

 

「し、知っていた! ウカノへの威力偵察という命令で、あわよくばウカノの勢力を削げとの命令で!」

 

「誰に?」

 

「う、上からの命令としか知らない! 本当だ!」

 

 

 執事が少しばかり考える素振りをして男から手を離すと、執事は自身の内ポケットから大金と呼ぶべきリエンを取り出し男へ投げ捨てた。

 

 

「此度はこれで不問にしてやる。さっさと失せて、ヴァキュオにでも向かえ」

 

 

 男は訳が分からないといった様子で執事を見上げる。その理由を執事は丁寧に教えた。

 

 

「無論、それは口止め料だ。私の言いたい事は分かるだろう? 今回は無かったことにしてやると言っているんだ、相応の価値を払わねば示しがつかないのでな」

 

「で、でもアンタこれ」

 

「敵味方なぞ関係ない。何かを頼むのであれば、相応の価値を相手に支払う、それが取引というものだ。だが努努忘れるな、またウカノグループに牙を向けるような事があれば──」

 

 

 “気付かぬうちに骸に成り果てるぞ”。最後の一言を聞いたファウナスは蔵から慌てて逃げ出し、2度と近付かないことを誓った。




今回でプロローグは終了。
次からは本編軸と絡んでいきます。

RWBYOC:その2
『サクラ・ウカノ』Age17
身長143cm 体重42kg
のじゃロリ 髪色:紫 目:黒 髪型:古墳島田
服装:動きやすい農民スタイル
第一次産業で成功したウカノグループの御令嬢
センブランス:現在非公開
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