【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夕暮れ────。
勇者ヒンメルとその仲間達は吹雪の吹き荒れるデッケ地方の寂れた山小屋の中で一塊に集まって温もりを保っているその時だった。プルプルと震えながらフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。
「ど、どんな魔法なんだいっ?でっ、できれば今すぐ温まることが出来る魔法がいいんだけど。まっまま、薪は湿ってるし」
「『
フリーレンが魔法を使うと湿気て使い物にならなかった薪に火が点る。どうやら今回の魔法は比較的にまともな攻撃魔法だったらしく、こうやって薪を燃やすことが出来たようだ。
勇者ヒンメルとその仲間達はモゾモゾと寒さに耐えながらみんなで暖炉に集まり。九死に一生を得たと言わんばかりに安堵の溜め息を吐く。そして、ちゃっかりフリーレンを一番暖まりやすい真ん中に寄せているのはヒンメルである。
「一時はどうなるかと思いましたが。フリーレンのおかげでなんとかなりましたね。偉いですよ、飴ちゃんをあげましょう」
「食べさせてぇ…」
「ハイター、僕が代わるよ!」
「強かな男だ」
わちゃわちゃと暖炉の前で騒ぐヒンメル達に挟まれながらフリーレンはカランコロンとヒンメルに食べさせてもらった飴玉を口の中で転がす。
やはり甘いものは偉大である。
そうフリーレンは思う。
そして、彼女はハイターの「暖まるためにお酒を飲みましょう!」という突然すぎる提案に困惑しながら「こういうときはお酒を飲むことも危ないんじゃないだろうか?」と考える。
「フリーレン、なにか暖まるものはあるか」
「スクワットしてなよ、アイゼンは」
「それもそうだな」
「えっ」
ハイターは勝手に酒盛りを始めて、アイゼンは身体を暖めるためにスクワットを始める。その光景に呆然とするフリーレンの隣で無表情に徹しているヒンメルは「フリーレンと同じ毛布に入っている!」と内心でめちゃくちゃ歓喜していた。
「ヒンメル、どうしようか」
「どうしようか。これ」
もうヒンメルとフリーレンは考えることも面倒になっている。そうなるのも仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないけれど。酒盛り、筋トレ、どっちも避難小屋ですることじゃない。
「……飴いる?」
「あ、うん」
フリーレンに差し出された飴玉をぱくっとヒンメルは口に含んだ。ぼんやりとしながらひとりで酔っ払っているハイターと汗だくになってきたアイゼンを静かに見つめていたが。
いきなりヒンメルはパタリと倒れた。
「ヒンメル、寝るなら寄ってよ」
フリーレンはそう言ってヒンメルを抱き寄せる。
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くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。どこかのかまどに火を点す魔法だが、避難小屋の近くに町も村もないため暖炉に火を点すことができた。ちなみに美味しくお米を炊ける。