【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夜────。
勇者ヒンメルとその仲間達は魔族討伐を祝うパーティーに呼ばれていた。もっともフリーレンとアイゼンは華やかできらびやかな舞踏会に混ざるつもりはなく、黙々と料理を食べている。
「フリーレン、これも美味いぞ」
「んっ。……ほんとだ」
アイゼンの差し出すお皿に乗った魚の切り身を炙った料理をフォークで刺し、ぱくっと食べたフリーレンも同意するように美味しいと答える。
その様子を貴族の女の子に囲まれていたヒンメルは「僕もフリーレンに料理をお裾分けしたい!!」と切望する。その隣でハイターは酒豪自慢の貴族達と飲み比べ勝負をしている。
「フリーレン殿、貴女の魔法を見せて頂くことはできませんか?」
そう言って唐突にやって来たのは魔族の支配に抗っていたこの地の領主だ。フリーレンは近くにいるアイゼンに視線を送ると「まともな魔法を使え」と言わんばかりに睨まれた。
「『
フリーレンから都市を覆うほど膨大な魔力が放出し、ゆっくりとまた元に戻った。しかし、とくに変わった様子も彼女を見ていた人々は首を傾げ、どうしたのかと聞こうとした瞬間、静かに、ゆっくりと、笑い声が広まっていく。
「今のは誰もが笑顔になる魔法だよ。もう心配したり悲しんだりするのはおしまい。今日から笑顔でがんばりたまえ」
にこりと彼女は笑った。
その笑顔を皮切りに都市にいた全ての人々がさっきよりも更に大きな声で笑い始める。その中にはヒンメルやハイター、アイゼンも混じっているけれど。彼女は気にすることなく料理に舌鼓を打つ。
「……やっぱり美味しい」
どうやって作っているのだろうと思い、こっそりと彼女は厨房へと向かった。そのついでにお酒を飲み過ぎているハイターに『とても健康になる魔法』を重ね掛けする。
小まめに掛けてあげれば彼も少しは長生きできるし。たくさんお酒を飲むことができるのでお互いにとっては、とても良い関係だ。
「なるほど。ハーブを練り混ぜてるのか」
「えぇ。そうなのです。お肉を柔らかくする場合、こうやってハーブや特別に調合した調味料など様々なものを合わせることで、より味わいに深みを増すことができるのです」
「んっ。これも美味しいね」
「……ところで。魔法使い様」
「なにかな?」
「何故、みんな過呼吸になっているのです?」
そう言われてようやくフリーレンは魔法を解除していないことを思い出した。が、すでに過半数の人間が笑いすぎて気絶していた。
「恐るべき笑いの力…!」
フリーレンはそう言いながらお肉を食べる。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。誰もが笑顔になるという素晴らしい魔法だけれど。ちょっとしたことで笑い続けるため、しっかりと魔法を解除しないと過呼吸で失神する。