【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夕暮れ────。
勇者ヒンメルとその仲間達(ハイター)がいつものごとく二日酔いで移動することも出来なくなっていたその時だった。なにやら自信ありげなフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。
「まさか解毒の魔法を…!」
「『
ヒンメルの期待を裏切るようにフリーレンは二日酔いで完全に潰れているハイターに魔法を掛けた。すると端正なハイターの顔、とくに眉毛が極太いものに変化し、ヒンメルとアイゼンは「似合わないけど。わりと男らしい」と言う。
「『
「こ、これは……」
「まさにオークだな」
「『
メレブの魔法の合技。
イケメンに対する嫌がらせの三連発を受けてしまったハイターは見るも無惨な顔になる。顎はしゃくれ、豚鼻に変えられ、眉毛は太い。もはや原型を留めてすらいない顔つきだ。
「いくら魔導書の購入を怒られたからって、こんな。こん、こんなッ、んふっ。いや、ぶふぅっ!ちが、くふっ」
「すごい笑ってるけど、ヒンメル」
「哀れな男だ」
ぐったりと変顔で横たわっているハイターを見ながら「アハハハハッ!!むりっ、やっぱりむりだ!!その顔は絶対に笑っちゃうよ!」と言ってヒンメルは盛大に笑っている。
「うっ、うぅ…」
「…さながら
「あーっ。あれは強かったね」
「俺の斧と互角に渡り合えた
そうアイゼンは切なそうに呟いた。
フリーレンとしては魔法の杖を二本同時に扱えるようになるのは難しいし。なにより魔法の杖は一つあれば大抵の事は出来る。そもそも彼女には男の浪漫というものは分からないのだ。
「フリーレン、他にもハイターの顔をもっと変える魔法ってあるのかな?」
「まだ分からないよ」
「じゃあ有ったらその時にもう一度だ!」
「まあ、別にいいけど」
ヒンメルは楽しそうに話しているが。
ハイターは二日酔いながらも意識はあるので明日になったらフリーレンと一緒にお説教を受けるのは確定してしまっている。
その事実に気付いているためアイゼンはとくに笑ったりすることなくハイターの看病を真面目にやっているのだ。というよりもフリーレンの魔法を使えば二日酔いなど直ぐに治るのだ。
「ハイター。もう私の買い物にお説教しない?」
「うぷっ、いいえ゛。じまず」
フリーレンは薬だけ彼の近くに置き、そそくさと自分の泊まっている部屋に逃げ帰ったその直後、フリーレンは勇者ヒンメルの情けない悲鳴を聞きながら布団に潜り込んだ。
「にんげんこわい」
翌朝、そうフリーレンはぽつりと呟いた。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。眉毛を太くする魔法であり、汗が目に入るのを防ぐ効果もあるけれど。基本的に役立つことはない。ちなみに「他人の鼻を豚鼻に変える魔法」と「顎がしゃくれる魔法」と合わせればお手軽な変装もできる。