【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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一口サイズの氷を作る魔法

とある日のお昼過ぎ────。

 

勇者ヒンメルとその仲間達は夏場に匹敵するほど暑苦しいダンジョンの中をうろうろと徘徊していたその時だった。今回も自信満々にフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。

 

「『一口サイズの氷を作る魔法(     ヒャダコリ     )』」

 

フリーレンが魔法を放つ。

 

するとヒンメル達の口の中に各々に適した一口サイズの氷が出現し、少しずつ体温を下げていく。しかし、アイゼンはフリーレンの作った氷を噛み砕き、フリーレンを見上げる。

 

「『一口サイズの氷を作る魔法(     ヒャダコリ     )』」

 

「助かる」

 

「別に良いよ。これくらい」

 

「生き返りますね、これは」

 

「流石だよ、フリーレン」

 

みんなに褒められて気分の良くなったフリーレンは『一口サイズの氷を作る魔法』を連発する。……ヒンメルとハイターの口がこんもりと膨らみ、ほんの少しだけ辛そうだ。

 

そして、アイゼンは普通に氷を噛み砕いた。

 

く、苦しいよ。フリーレン(ふ、ふるふぃうふぉ。ふふぃぃふぇん)

 

冷たいので何とかして下さい(ふふぇいふぇふぁんふぉかふぃくらふぁい)

 

「二人は何を言っているの?」

 

「噛み砕けば良いだろ」

 

フリーレンは首を傾げ、アイゼンは呆れる。そもそも鋼鉄並みに硬いドラゴンの鱗を噛み砕けるアイゼンと違うのだ。

 

ハイターとヒンメルは普通の人間なのだ。こんな大量の氷を噛み砕ける訳もないし、ずっと口をモゴモゴとさせることしか出来ない。

 

「……ふう。なんとかなった」

 

数分後。そう言ってヒンメルは冷えきった身体を擦り、未だに氷を噛み砕けずにモゴモゴとしているハイターを見ながら静かに「いや、それは詰め込みすぎだろ」と呆れたように呟いた。

 

「フリーレン。流石に可哀想だよ」

 

「はい。これに出して」

 

「……あっ、そうか」

 

ずいっとフリーレンの差し出してきたハイター愛用のバカみたいに大きいジョッキを受け取ったヒンメルはすぐにハイターのところに向かった。

 

しかし、すでにハイターはスッキリとしていた。どうやらフリーレンの作ってくれた氷を吐き出し、ひとつひとつ噛み砕いているようだ。

 

「ヒンメル。すみませんね」

 

「いや、僕もごめんよ」

 

「少しは顎を鍛えろ」

 

「アイゼンじゃないんだから無理だよ」

 

ヒンメル達は「顎を鍛えるとは?」と困惑するもフリーレンの呟きに納得する。そう、そうなのだ。アイゼンのようなフィジカルマックスな戦士の真似事など人間には不可能である。

 

「フリーレン。貴女は後でお説教です」

 

「えっ」

 

ハイターの無慈悲すぎる言葉に彼女は驚愕し、なにが悪かったのかを考える。……しかし、とくに悪いところは思い浮かばなかった。

 

 

 




一口サイズの氷を作る魔法(     ヒャダコリ     )

くだらない魔法

自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。水分補給の出来ない空間転移のトラップや水分を確保できない場所には必須の魔法である。だが、あまり連発するのはオススメできない。


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