【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夕暮れ───。
勇者ヒンメルとその仲間達(ハイターとアイゼン)はいつものように野営の準備をしているとフリーレンが消えていることに気付いた。
「ただいま」
「フリーレン。どこに行ってたんだい?」
「えっち」
「な、なんで!?」
彼女の帰宅に安堵しながら何処に行っていたのかをヒンメルが問い掛けると蔑まれた。その様子になんとなく状況を理解した出来る男のハイターは仕方無くヒンメルに答えを教えた。
「ごめんよぉ…」
ヒンメル、赤面である。
いくら勇者とはいえ乙女のお暇を詮索するのはいけないことだ。フリーレンのいないところで彼はハイターとアイゼンに「彼女が好きなのは分かるけど。あまり追いかけ回すのは良くないこと」だと怒られ、ヒンメルはしょぼくれる。
「そういえば新しい魔法を覚えたよ」
「ほう。どんな魔法ですか?」
「これは『トイレに転移する魔法』だよ」
「それはすごいな」
みんなも感心したように頷いた。魔王を倒すために冒険しているとはいえ野宿するのは仕方ないけれど。魔物に襲われる心配もなく安全にトイレに行けるのは素晴らしいことだ。
しかし、フリーレンはメレブの魔導書を貰ったその日にこの魔法を覚えた事はヒンメル達にも内緒にしていた。長寿のエルフとはいえ彼女も乙女である。そういう話題を振るのは苦手なのだ。
「では、私に使って頂けますか?」
「『
フリーレンはハイターに『トイレに転移する魔法』を使った。ちなみに戻ってくるためにはトイレを終えて、しっかりと手洗いをしなくてはいけない。
「しばらく待っていようか」
「そうだな」
「ところで。アイゼン」
「なんだ」
「ヒンメルはどうして気絶してるの?」
そう言ってフリーレンは自分の罪に堪えきれず、自ら意識を断ち切ったヒンメルを指差す。どこか満足げな表情を浮かべている彼に困惑しながらアイゼンの「あれはお前への謝罪だ」と言われる。
まあ、そういうことなら受け取ろう。
フリーレンはそれぐらいの気持ちで気絶しているヒンメルに近付き、そっと毛布を掛けてあげる。夜風に当たり続けるのは良くないし。なによりうつ伏せで倒れているのは可哀想だ。
「あ、帰ってこれた」
「おかえり」
「次は俺だな」
「『
アイゼンはトイレに転移した。
「ヒンメル、どうしたんです?」
「よく分からないかな」
「まあ、ヒンメルもお年頃ですからね」
ハイターはそう言うと気絶しているヒンメルの近くに荷物を寄せて、焚き火を設置する場所も少しだけ彼の近くにした。
「優しいね、ハイター」
フリーレンは流石は女神に仕える僧侶だと思った。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。どこにいようとトイレに転移する事の出来る魔法であり。野営や緊急時にはとても重要になる。