【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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絶望を与える魔法

とある日の夕暮れ───。

 

勇者ヒンメルとその仲間達は大魔族を自称するアホそうな銀髪の魔族に絡まれていた。その銀髪の魔族はどこか以前に遭遇した金髪の魔族に近しい何かをフリーレンは感じている。

 

「初めまして、私は失墜のミーネ。貴方達をブチ殺しに来た魔族です」

 

そう言って銀髪の魔族は微笑んだ。

 

だが、千年以上もの時間を生きるフリーレンですら彼女の名前を知らないけれど。無名の魔族にしては死臭の濃さはクヴァールに匹敵するほど。その死臭の濃さはこあまりにも醜悪すぎ、えげつない。

 

「『絶望を与える魔法(     トラウム     )』」

 

「みんな離れて!!」

 

フリーレンの叫び声にヒンメル達は真後ろに飛び退く。すると先程まで彼らの立っていたところは地面さえ朽ち果て、草花も塵に変わっている。

 

「フリーレン。あれは老化の魔法ですか」

 

「ううん。あれもメレブの魔法だけど。私の持ってる魔導書に書いてある効果とは別物だ。……いや、メレブの魔法を改良してるんだ」

 

「流石は勇者一行の魔法使い、その通りです」

 

にこやかに笑いながらパチパチと拍手をするミーネに対してヒンメル達は嫌悪感を剥き出しにする。それもそのはずだ。彼女の目は獲物をじっくりと品定めするケダモノの眼差しだ。

 

「『絶望を与える魔法(     トラウム     )』」

 

ミーネは『絶望を与える魔法』を放つ。

 

少しでも当たれば致命傷になるという規格外の魔法は幾度となく目撃し、何度も仲間達と攻略してきた。しかし、今回の魔法に関しては無茶苦茶すぎる。草花は枯れ落ち、大地すら朽ち果る。

 

生命の風化なぞ神話級の魔法である。

 

「アイゼン!」

 

「ああ、任せろ!」

 

ヒンメルの呼び掛けにアイゼンは応じ、彼らは剣と斧を地面に突き立てるとお互いの武器を力任せに振り上げることで土石流を作り出した。視界の遮断と遠隔攻撃を兼ねた合わせ技だ。

 

「うわっ、わっ、と…!」

 

彼女は慌てたように土石流を回避する。

 

「二人とも此方にっ!!」

 

その姿にハイターは違和感を感じつつ「女神の三槍」を放つ。フリーレンはヒンメル達の攻撃をやたらと大袈裟に避けるミーネの後ろに回り込む。

 

ゆっくりと意識を魔法の杖に集中しながらフリーレンは「氷の矢を放つ魔法(   ネフティーア   )」と「一口サイズの氷を作る魔法」を組み合わせた即興の魔法を放った。

 

「くぴゅっ!?」

 

突如、ミーネの体内を突き破るように無数の氷の矢は飛び出し、先程までヒンメル達にも優勢だった彼女を塵にしてしまった。

 

「ありがとう、フリーレン」

 

「あまり見たくはない光景だったがな」

 

「……ごめん」

 

確かに体内を突き破るのは見たくはない。そう思ったフリーレンは静かにヒンメル達に謝り、真後ろに出来た枝分かれのある氷柱を見上げる。

 

 

 




絶望を与える魔法(     トラウム     )

くだらない魔法

自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。本来の用途は他者のトラウマを呼び覚まし、恐怖を与える程度の効果しかなかった精神系統の魔法である。しかし、失墜のミーネにより「トラウマその物を体外に放出する」というものに改良を施された。


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