【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夕暮れ────。
勇者ヒンメルとその仲間達は数ヶ月前に打ち倒したはずの大魔族である失墜のミーネと北側諸国の温泉町にて遭遇してしまった。しかし、彼女がいるのは女湯なのでフリーレンしか入ることは出来ない。
「良い湯加減ですねえ~っ」
そう言ってミーネは雪景色の見える露天風呂でフリーレンと肩を並べている。この温泉宿の店主は魔族も関係無く、ただのお客さんとして扱っているため温泉宿の中で倒すのはご法度だそうだ。
なんとも言えない状況である。
「なんで生きてるわけ?」
「私も『トイレに転移する魔法』を使えるんだよ。まあ、場所や時間はめちゃくちゃだし。下手したら肥溜めに転移するけど」
そうフリーレンに語った彼女の横顔は感情の欠落した魔族とは思えないほど哀愁を漂わせて、なんだかとっても可哀想に思えるけれど。フリーレンは「ちゃんと座標は固定しろよ」と言った。
フリーレンとミーネがお互いを警戒しているというのにヒンメル達はギャーギャーと楽しそうに騒ぎ、ほんの少しだけ彼女は呆れ、ずるずると温泉に沈んでいってしまった。
「そういえば。この温泉宿でメレブの魔導書を見つけたわよ」
「へえ。どんな魔法だったの」
「私と貴女は関わってはいけない魔法よ」
その言葉にムッとしたフリーレンは「ミントの波動を放つ魔法」を使った。まだまだ改良する余地の多すぎる魔法だが嫌がらせにはうってつけだ。
「クサッッッ!!?」
「クヴァールの『人を殺す魔法』とメレブの『爽やかな吐息の魔法』を組み合わせた対嗅覚破壊魔法。私はこの魔法を『
「貴女、さては趣味が悪いわね!?」
「その魔法の恐ろしさは最低5ヵ月間はミントの香りが鼻に充満し、ありとあらゆる食事がミントの香りになるという…」
そう言ってフリーレンはドヤ顔を見せつける。なんともにくったらしい顔だが、彼女はエルフの美女なのでそんな顔も物凄く可憐である。
もしもヒンメルが見たら失神確定だ。
ミーネは「ひーん」と嘘っぽい涙を流しながら鼻を擦りつつ、なんとかフリーレンに仕返しする方法を考えるけれど。彼女は五百年近く『絶望を与える魔法』しか学んでこなかったため、とくに仕返しに使える魔法は持っていなかった。
「…ところで。魔法使い」
「なんだよ。間抜けな魔族」
「その指輪、前に会ったときにしてなかった」
「これはヒンメルにもらったんだよ」
フリーレンはそう言うと指輪を彼女に見せつけ、フンスと胸を張っている。魔族のミーネも知識として指輪を贈る意味を知っているが実物を間近で見るのは初めてだったりする。
「貴女、勇者と結婚するの?」
「えっ」
そう疑問に思ったことをミーネは呟き、フリーレンは困惑する。突如、彼女達の会話をどうにか盗み聞きしようとしていたヒンメルに魔族の少女の無垢な一撃が突き刺さった。
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くだらない魔法
勇者一行の魔法使いのフリーレンの作った魔法。クヴァールの「人を殺す魔法」とメレブの「爽やかな吐息の魔法」を程よく組み合わせて、相手の口と鼻に絶大なダメージを与える対嗅覚破壊魔法である。