【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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魔王の名を冠する魔法

とある日の午前中────。

 

勇者ヒンメルとその仲間達はメレブの魔導書に記された伝説の魔法剣「いざないの剣」を探して北側諸国の山岳地帯をさ迷っていたその時だった。ヒンメルの背中で何重にも厚手の毛布に包まれたフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。

 

「今回はどんな魔法を覚えたんだい?」

 

「『魔王の名を冠する魔法(     メラゾーマ     )』」

 

フリーレンは右手の人差し指を突き出した瞬間、ヒンメル達の前方を覆っていた猛吹雪は呆気なく灼熱の業火によって消し飛んだ。

 

よく主婦や使用人など家事に携わる者の多くが使っている「メラ」の魔法を遥かに上回る最強の一撃を眠たげなままフリーレンは放ってしまった。

 

「うぅ、さむいぃ…」

 

「……さて。どうします?ヒンメル」

 

「メラゾーマ。うん、すごい魔法だ」

 

「こいつ、本当に滅茶苦茶だな」

 

またモゾモゾと毛布の中に潜り込んでしまったフリーレンの魔法の傷跡にヒンメル達は驚きつつ。これもメレブの魔法の一つだろうと考える。

 

しかし、ハイターだけは「フリーレンの魔法」と「メレブの魔法」を違うものに感じている。実際にメレブの魔法に関しては謎が多く未だに解明されていない魔法も多数存在している。

 

「んんっ。あったかぁ…」

 

「あっつ…つぁ…」

 

「ハイター、回復を頼んだ」

 

「嫌です」

 

「……では、どうするつもりだ」

 

そう問い掛けるアイゼン。

 

彼の眼差しは面倒臭いものには関わりたくないという気持ちでいっぱいになっているが。ハイターとしては親友の恋路を少しでも応援してあげたいのだ。それがどんな結果になろうともだ。

 

「ところで。アイゼン」

 

「なんだ」

 

「もう、いっそのことヒンメルもろともフリーレンを投げてしまえば良いのでは?」

 

「やめてよぉ…」

 

ヒンメルの背中でしくしくと泣くフリーレンを無視してアイゼンとハイターは二人を持ち上げる。もっとも『魔王の名を冠する魔法』によって足元を埋め尽くしていた雪もないので歩くのはとても楽だ。 

 

「浮遊や飛行は出来ないのか」

 

「それは、まだ無理だよ」

 

むくりと顔を出し、その問いを否定する。

 

如何にフリーレンが天才美女エルフ魔法使いだからといって魔族の使用する未知の魔法を容易く覚えるというのは困難である。

 

「はっ、ぼくは、いったいなにを?」

 

「おや。ヒンメルが起きましたよ」

 

「今回は意外と早かったな」

 

そう言ってアイゼンとハイターはヒンメルを地面に下ろし、自分の肩や腰を労うようにトントンと優しく叩いている。その仕草にヒンメルは首を傾げつつ、背中にいるフリーレンを労る。

 

 

 




魔王の名を冠する魔法(    メラゾーマ    )

実用性の高い魔法

自称・大魔法使いのメレブの従者ムラサキの魔法。かつての魔王の名を冠する偉大なる魔法であり。単純な火力勝負で、この魔法を打ち破った魔法は未だに存在していない。


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