【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼前────。
勇者ヒンメルは悩んでいた。北側諸国では非常に珍しい猛暑の続く海沿いの街で一時的に休息を取ろうという話になったとき、領主に海底遺跡の調査を頼まれてしまったのだが。
それだけなら別に問題ないし。ダンジョンや遺跡の調査なんて頼まれずともやるほど大好きだ。しかし、その件の遺跡は海底に沈んでいる。つまり海に潜らなくてはいけない。
そうフリーレンの水着姿を見ることになる。
すでにハイターとアイゼン、ヒンメルは領主の用意してくれたステテコパンツ(水着バージョン)を身につけて砂浜に並んで座っている。ハイターに関しては、もはや完全にバカンスを楽しんでいる始末だ。
「おまたせ」
フリーレンの透き通る声を聞き、すぐに振り返ろうとするもヒンメルは踏み止まった。もしもここで振り返ってしまえば確実に鼻血を出す。
「意外と大胆ですね。フリーレン」
「メイドに選んでもらったんだよ」
むっふー。と、いつもの自信満々な彼女の声色に振り向きたいという欲望を募らせ、潔く散ろうと後ろに振り返ったヒンメルは天使を見た。
彼の目の前には淡い桃色の羽衣を身に付け、青と白のビキニタイプの水着を装着した絶世の美女フリーレンが魔法の杖を持って佇んでいる。
「かっ、はっあ、うぁ…」
勇者ヒンメルはあまりの美しさに絶句する。
「ヒンメル、どう?」
「あっ」
タラァーッ。
ヒンメルは鼻血を垂らし、パタリと倒れた。
どうやら彼にとってフリーレンの水着は天使もしくは天女を容易く上回ってしまうほど可憐すぎたようだ。その哀れな最後に「し、死んでる?ヒンメルうううっ」とハイターは泣いた。
「アイゼン、私って変なところある?」
「アイツの持病だ。気にするな」
「ヒンメル。病気なんだ」
「ああ、そうだな」
ふいっと視線を逸らすアイゼン。フリーレンはなんの疑問もなく彼の言葉を受け入れ、未だに昏倒しているヒンメルの側に近寄り「あっちに運ぼう」と木陰を指差しながらハイターに提案する。
「フリーレン。ぜひ膝枕をしてあげてください」
「……まあ、それくらいなら」
「俺は飲み物でも買ってくる」
「私も行きましょう。ああ、酒が飲みたいッッ」
「お前はいつもそれだな」
そう言って溜め息をこぼすアイゼンに同調し、少しはお酒の量を減らせとフリーレンもハイターに言う。彼女は「そろそろ『とても健康になる魔法』を使うより覚えさせるほうを優先するべきだろうか」とかなり真剣に悩んでいる。
「ヒンメルは黙ってるとあれだね」
ものすごい違和感を感じる。そう言おうとしたところでフリーレンは言葉を飲み込み。ゆっくりと彼の青い髪を優しく撫でる。
〈魔法のビキニ〉
伝説のアイテム
北側諸国の猛暑の街でフリーレンが貰った水着。青と白の鮮やかな色合いのビキニであり。勇者ヒンメルを一撃で倒す破壊力を秘めているが、その効果はフリーレン着用時のみである。