【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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洞窟に行く魔法

とある日の夜────。

 

勇者ヒンメルとその仲間達は未踏破のダンジョンの探索に励んでいた。元々は皇帝酒を探す事に人生を費やすファスに共感して「私も共に探しましょう!」と言い出した。

 

すべてハイターのせいである。そして、こんな時でもマイペースなフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。

 

「どんな魔法ですかフリーレン!」

 

「ちょ、ちかっ」

 

いきなり鼻息を荒く詰め寄ってきたハイターに驚きつつ、彼女はヒンメルの後ろに隠れる。ここ最近のハイターは疲れているようで、どこか危うげな雰囲気を纏っている。

 

「……ふう、失礼しました。フリーレン、それでその魔法はどのような効果があるんです」

 

「『洞窟に行く魔法(    マタカヨ    )』」

 

彼女は勇者PT全体に魔法を使う。すると彼らはさっきとは全く違う洞窟にいた。ファスの作っていた坑道にも似ているけれど。

 

どこか違う坑道だ。

 

「これは転移の魔法…!?」

 

「また神話級の魔法だな」

 

「フリーレンはどんどん変わった魔法を覚えてしまうね。まあ、そういうところさえもとっても素敵なんだけどさ」

 

「よく分からないけど。ありがとう」

 

いつものごとくフリーレンを褒めるヒンメルにハイター達は呆れながら移動してしまった坑道を散策していると魔法で施錠された石扉を見つけ、彼らは「思わぬ掘り出し物だね」と言う。

 

だが、フリーレンは首を傾げる。その石扉に刻まれた紋章を、彼女はかつて見たことがあるのだ。ゆっくりと紋章を擦り、彼女は考える。

 

「もしかして、これ?」

 

彼女はお守りを石扉に差し出した瞬間、がこんっ!と音を立てて扉は左右に開いていく。その様子を見ていたヒンメル達は驚き、彼女の持っているお守りをジーーーッと見つめる。

 

「フリーレン。それは?」

 

「エルフのお守り。ずっと昔に貰ったヤツだけど。まさかこんなところで役立つなんてビックリし……ハイター、なにしてるの?」

 

「お酒の、お酒の香りがします!!」

 

すんすんと鼻を鳴らすハイターにフリーレンは問いかけると興奮したように叫び、そのまま部屋の中に入ってしまった。

 

ヒンメル達はまさかと思って部屋の中を見る。そこにはズラリと多種多様な酒瓶が並び……いや、数えるのも億劫になるほど並んでいる。

 

「それじゃあ、いただきます!!」

 

「早いぞ。ハイター」

 

「生臭坊主め」

 

「俺も飲むか」

 

またしても酒盛りを始めたハイター達に呆れつつ、彼女も酒瓶のひとつを掴んで飲んだ。だが、すぐに飲みかけのお酒をヒンメルに手渡し、さらに部屋の奥に進んでいき、溜め息を吐いた。

 

「全部、エルフの飲み薬だ…」

 

おそらく長期間の保存によって熟成し、お酒に変わってしまったのだろうとフリーレンは思いながら幼少期に飲まされた苦々しい薬を思い出して、なんだか懐かしくてクスリと笑った。

 

 

 




洞窟に行く魔法(    マタカヨ    )

くだらない魔法

自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。洞窟から洞窟に行く魔法。もしもの緊急用に使えるかもしれないけれど。とくに使い道はないうえに帰るのが徒歩になるため傍迷惑な魔法である。



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