【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の朝────。
勇者ヒンメルとその仲間達(ハイターとアイゼン)はかつての勇者の使ったという数々の必殺技を体得しようと頑張っているその時だった。今日も変わらずメレブの魔導書を閉じながらフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。
「どんな魔法だ?」
「雷を作り出す魔法だよ」
「ライデインストラッシュができるな!」
「貴女も浪漫が分かってきましたね」
そう言ってヒンメル達はフリーレンを褒め称える。彼女も褒められるのは満更でもないらしく、ほんのちょっとだけ照れたように笑った。
「ところで。フリーレン」
「なに?ヒンメル」
「僕の剣に雷って落とせる?」
「えっ」
フリーレンはヒンメルの言葉に困惑する。それもそのはずだ。彼女からすれば「僕は雷を撃ち込まれたいんだ」と言っているようなものだ。
まごうことなき変態である。
その事実に気が付いていないヒンメルはどこか期待に溢れた眼差しを彼女に向け、フリーレンは「どうしよう、これ?」と物凄く困っている。
「『
フリーレンは勇者の剣に魔法を使った。
「……なるほど。こうか!」
ほんのちょっぴりビリビリする程度の静電気を即座に理解し、ヒンメルは勇者の剣を頭上で数回ほど回転させ、刀身に目映い電撃を纏わせる。
その光景を見たフリーレンは「えっ、なにそれ知らない」と呟き、そそくさとハイターとアイゼンの後ろに隠れてしまった。
「ライデインストラッシュっ!!」
「いや、チョイデインストラッシュです」
そうハイターは突っ込みつつ、ヒンメルの電撃を纏ったアバンストラッシュに興奮している。アイゼンも自分の斧とヒンメルを見比べて、最後にフリーレンを見て「次は俺の番だな」と言った。
「さあ来い。フリーレン」
「『微弱な電気を発生する魔法』」
「ギガブレイクッ!!」
「「あっ」」
アイゼンの馬鹿力によって盛大な爆発音を上げながら大地は砕け、ほとんど渓谷のように亀裂の出来てしまった山肌にフリーレン達は「アイゼンのばかあぁぁぁぁっ!!」と叫びながら落ちないように走り出した。
「すまんな」
「ほんとだよ。アイゼン」
「死ぬ死ぬ死ぬ!!今回は本当に死にます!」
「フリーレン飛べない!?」
「それは、まだ無理だよー」
ヒンメルとハイターに背負われた二人は改善点を話し合っているけれど。未だに砕けた山は土砂崩れのごとく続いている。
「はあ、はあ、アイゼン、ほんっとにもう…!」
「助かったぞ。ハイター」
「フリーレンは大丈夫かい?」
「私は平気だよヒンメル」
ただのお遊びで命懸けである。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。肩凝りや腰痛に効くため殆んどの老人は会得している。ヒンメルは剣を振ることで静電気を増幅させ、ライデインに強化した。アイゼンは力任せに振って山の一部を砕いてしまった。