【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夕暮れ────。
勇者ヒンメルとその仲間達は北側諸国の大都市を治める領主に「かつての魔王の作った古代兵器を回収してほしい」という依頼を受け、ヒンメル達は魔王の兵器に興味を持ち、フリーレンは新しいメレブの魔導書をもらえることに興奮していた。
現在の魔王と違って勇者の童話に登場する魔王ハドラーは天才的な頭脳と高度な技術を有し、今の技術では再現不可能な兵器を数多く生み出し、世界征服を企んでいたのは子供でも知っている話だ。
ガガガッ、ピキュイーン!
「ハイター、すごいぞ!」
「えぇ。まさに勇者の童話に登場していた魔王軍の秘密兵器、あの
「ちゃんと見てるよ」
「でかいな」
ヒンメルとハイターは子供のようにはしゃぎ、フリーレンとアイゼンは淡々と殺戮する機巧兵士を見つめる。いや、よく見ればアイゼンもめちゃくちゃにワクワクしているあたり。
やっぱり彼も男の子である。
「フリーレンは見ててくれ!」
「……まあ、いいけど」
「いくぞ、二人ともぉーっ!!」
「「うおおおおぉぉぉっ!!」」
本当に子供のようにワーッと殺戮する機巧兵士に突撃していく三人にフリーレンは溜め息を吐きながら「そんなの魔法で倒せばすぐに終わるのに」と彼女はひとりで考える。
「ハイター、ボウガンを!」
「任せて下さい!」
「僕が剣を止める!」
「トドメは俺か」
そう言うとアイゼンは戦斧を担ぎ上げ、大地を力強く踏み締める。一撃必殺の大技を放つつもりなんだろうとフリーレンは思いつつ、わりと前衛並みに動けるハイターにドン引きしていた。
「閃天撃…!」
アイゼンは飛び上がり、戦斧を振り下ろす。
全体重を乗せた力任せな一撃は殺戮する機巧兵士の身体を真っ二つに切り裂き、頭部のみをひしゃげさせ、完全に機能を停止させる。
「終わったぞ」
「アイゼン。僕達は回収に来てたんだよ?」
「……そういえばそうだったな」
「ああ、私の殺戮する機巧兵士が…」
「いや、ハイターのじゃないでしょ」
フリーレンは壊れた殺戮する機巧兵士の目の前で号泣するハイターに呆れながら、この殺戮する機巧兵士の壊れた経緯を話そうかと悩む。
下手に言い訳をすれば面倒になるし。素直に教えても面倒になるし。これは詰みなのではないだろうかとフリーレンは静かに考える。
「とりあえず。みんなで運ぼうか」
「そう、そうですね。そうしましょう」
「えぇ、重たいよそれ?」
「お前の分は俺が負担してやる」
そう言ってアイゼンは殺戮する機巧兵士をひとりで持ち上げた。もうアイゼンだけでいいんじゃないだろうかとヒンメル達は考えつつ、彼と一緒に殺戮する機巧兵士を支える。
〈
かつての魔王軍の兵器
勇者の童話に登場する機巧の兵士。人間を滅ぼすために生み出され、心をもたず大気中の魔力を魔力炉に取り込むことで半永久的に稼働する。だが、雨や海など水辺の近くにはいけない。