【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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模倣する魔法

とある日の夕暮れ────。

 

生まれたばかりでまだまだちっちゃい魔族の女の子のリーニエは人間を観察し、人間達の……とくに戦士や剣士、騎士の動きを真似ることが好きで、いつもこっそりと彼ら彼女らを見ている。

 

やがてその行動は模倣する魔法(  エアファーゼン  )へと昇華されていき、彼女は一度でも見た戦士の動きを完璧に再現することができるようになったその時期だった。

 

彼女はとある村でメレブの禁書に記された「かつての大魔王の使った必殺の構え」を知った。いや、知ってしまったのだ。

 

「こう?いや、こうかな?」

 

リーニエは左手を【天】に掲げ、右手を【地】に添えて、ちょうど肩幅程度に足を開いて構える。まだ人間を食べたことがないうえに純粋無垢な彼女はひたすら「大魔王の構え」を練習している。

 

「あとはメラゾーマ…?」

 

そんなことを呟きながらリーニエは魔法を放つ。しかし、彼女は魔族にしては魔法を使うのが下手だったらしく、ぎりぎりメラを出せる程度だった。

 

「……もっと強く」

 

リーニエの研鑽はこうして始まった。

 

大魔王のような最高硬度の肉体を得るために彼女は常にと言っていいほど身体を鋼鉄に変える魔法(     アストロン     )を使い続け、ちっちゃい身体の硬度を引き上げる。

 

全てを切り裂く手刀を体得するためにリーニエは流浪の旅を続けエルフの武芸者もしくは僧侶っぽい男に話し掛ける。

 

「どうすれば手刀は強くなる?」

 

「……どういうことだ」

 

「この奥義を使えるようになりたい」

 

そう言うとリーニエは「大魔王の構え」をした次の瞬間、エルフの武芸者に殴られ……いや、彼の拳はリーニエを貫くことはなかった。

 

「やはり俺の拳()見えているな」

 

「うん。私は目が良いんだよ」

 

「これも女神様の試練か……。よし、良いだろう。お前の望む最強の手刀を体得するまで、この僧侶クラフトがお前の師となろう!」

 

「ほんと?ありがとう」

 

リーニエはぺこりと頭を下げる。強くなるために誰かを師事するのは人間を観察して学んだことであり、この礼儀を尽くす行動も見て学んだおかげで、こうしてエルフの師を得ることが出来た。

 

とても良いことだ。

 

「防御も攻撃も甘いぞリーニエ!もっと重心と相手の攻撃を見極める事に集中しろ。お前は目に頼りすぎている!」

 

そう言ってエルフの僧侶クラフトはリーニエを投げ飛ばし、あるいは吹っ飛ばしながら彼女のクセについて話す。

 

「如何なる状況をも想定した大魔王は攻守一体の構えに魔法を取り込むことで完全無欠の構えとしたようだが。お前の攻撃と防御、そして魔法は戦士の見習いと魔法使いの見習い程度だ」

 

「それは知ってる。何度もししょーに言われた」

 

「ならば、どうする」

 

「もっと鍛練する」

 

その解答にクラフトはうなずき、リーニエと並んで基礎の站椿功をひたすら続ける。最初の頃は「めんどう」とか「いや」とか言っていたリーニエも文句を言わず、自然体に近い状態を維持している。

 

 

 




模倣する魔法(  エアファーゼン  )

リーニエの魔法

完璧に戦士の動きを模倣し再現する事が出来る。しかし、今の彼女は模倣するのではなく自分を鍛え上げ、その領域へ己の研鑽のみで登り始めた。

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