【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼前────。
勇者ヒンメルとその仲間達は「非武装で勝負をしよう」と持ち掛けてきたマッチョなオッサンの魔族と彼の後ろでポージングを決めるマッスルな魔族に困惑しながら頷いた。
「俺様の拳は岩盤を砕く!」
「そうか。だが、俺の拳はダイヤを潰す」
アイゼンに向かって拳を振るった魔族のひとりは呆気なく殴り飛ばされ、ヒンメル達とマッスルな魔族達はニヤリと笑った。フリーレンは力が弱いせいか。マッスルな魔族達から狙われず、ボーーッとしながら彼らを暇そうに見ている。
アイゼンはマッスルな魔族と不可視の拳の応酬を繰り返し、ヒンメルは華麗なフットワークと的確な打撃を与え続け、ハイターだけマッスルな魔族の腕をひねり、そのまま押さえ込んでいる。
ひとりだけおかしくない?
「…そこにいるんでしょう。魔族」
「フン。よく分かったわね、魔法使い」
「どういうつもりなわけ?」
「そんなの決まってるでしょう」
そう言ってミーネはニヤリと笑いながら「この新しく手に入れたメレブの魔導書を試すためよ!」と自信満々に宣言し、その魔導書をフリーレンに差し出す。ふたりは同好の志というやつなのだ。
「『
「実を言うとその『スモー』が分からないのよ」
「確かにメレブの魔導書に記された魔法は独自の単語や文脈は多く存在するけど。この『スモー』っていうのは他の魔導書にもないね」
「おそらく精神に干渉する魔法の原型だと私は考えているわ。魔法使い……悔しいけど。貴女の意見と考えを聞かせてもらえるかしら?」
フリーレンは「そういうことなら」と頷き、未だに殴り合っている。いや、ほとんど一方的にヒンメル達がマッスルな魔族をぼっこぼこしているだけのむさ苦しい光景を止めるようにミーネは言う。
「僕達なんで殴り合ってたんだ?」
「さあ、なぜでしょうか」
「む。肩凝りが治っている?」
ぞろぞろと泥だらけで近づいてきたヒンメル達とマッスルな魔族達に向かって「水を作る魔法」と「身体の汚れを落とす魔法」を使い、フリーレンとミーネは彼らを徹底的に洗った。
「というわけで。勇者、これ借りるわね」
「そういうわけだから行ってくるね」
そう言ってふたりは六人の男達を残し、木陰に座ってメレブの魔導書を解読し始める。その様子をずぶ濡れのヒンメル達は「えぇ。どういうことなの?」と呟き、お互いに顔を見合わせている。
わりと仲良しなのかもしれない。
「えっ。あの魔法使えるの?」
「いや。貴女の魔法もあれだから」
そんな話し合いが聴こえてくる。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。この魔法は「スモー」という行為で勝負するように精神に干渉する魔法である。そうフリーレンとミーネは仮定し、メレブの魔法について話し合った。