【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼過ぎ────。
勇者ヒンメルとその仲間達は順風満帆な冒険を続けていると見るからに山賊風な格好をしているわりとイケオジな山賊に「ちょっと待ちな!」と行く手を阻まれてしまった。
「此処を通りたきゃあ金目のものを出しな!」
「どうするのヒンメル?」
「どうしようか?」
「さっさと殴れば良いだろう」
「えぇ、野蛮すぎ……」
そんなことをフリーレン達は話し合っていると山賊の様子に違和感を感じたアイゼンが彼を観察する。…かっこいい台詞を言いながら現れたのに、山賊はアレのポジショニングを確かめているのだ。
「フリーレンは見ちゃダメですよ」
「えっ」
いきなりハイターの手で目隠しをされたフリーレンは困惑しながら静かになる。ミミックほどではないけれど。やっぱり暗いところは怖いようだ。
ヒンメルとアイゼンは武器を構えようとするが「少し待て!ちょうどベストなところにおさまりそうで……よぉうし、ベスポジだ!」と言って山賊も湾曲した独特な剣を構える。
「来るぞ、アイゼン!」
「少し待て、俺もだ」
アイゼンもポジショニングを気にし始める。
「アイゼン?アイゼン!?」
「ふっ、良いだろう。待ってやる」
「ええぇ……」
謎の真摯さを露にした山賊は正々堂々の決闘を申し込んだ剣士のように姿勢を正す。その様子にハイターはドン引きし、ヒンメルは「やめるんだアイゼン!フリーレンがいるんだぞ!」と騒ぐ。
しかし、当のフリーレンは「ハイターの手ってお酒臭いなあ…」なんて考えているし。まったく彼らの珍妙なやり取りに興味を示してすらいない。
「すまん。待たせた」
「おう。良いってことよ!」
そう言って山賊は湾曲した剣を担ぐように構えて、アイゼンもまた脇に添えるように戦斧を構える。お互いの一刀一足の間合いに踏み込み、山賊は高速の連撃を放ち、アイゼンは戦斧を巧みに操り防ぐ。
「俺の剣速を見切るとは…」
「中々に鋭い剣だが俺には届かんぞ!」
ふたりはお互いを称賛し、武器を構え直す。
「くっ。なんて激しい攻防なんだ!」
「ハイター。もういい?」
「まだだ、だめです」
そろそろ終わったかと思ったフリーレンは自分の顔の半分以上を覆い隠しているハイターの手を退けようとするもビクともせず、すぐに諦めた。
「くるるうおおおあああぁっ!!!」
「ぬううりえぇやあぁぁぁっ!!!」
とんでもない雄叫びを上げ、アイゼンと山賊は武器をぶつけ合う。そして、五十を越える鍔迫り合いを制し、アイゼンは山賊を薙ぎ払った。
「ぐふぅ…みごと、だ……」
「お前もまた強かった」
戦士アイゼンは謎の友情を育んだ。
〈アレのポジショニングを気にする山賊〉
藪道で出会った山賊
素早い剣技を得意とする剣士くずれの山賊。どうしても戦闘中にアレのポジショニングを気になり、定期的に戦いを中断することがある。