【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夕暮れ───。
勇者ヒンメルとその仲間達は北側諸国のウォルロ地方に来ていた。ウォルロ地方には女神の伝承や伝説、逸話など彼女の存在を示唆するモノがも多数残っている。
そのため僧侶や神官といった女神に仕える人間は必ず一度は行きたい場所でもあり、その中でとりわけ有名なのは守護天使だろう。
「こんにちは、勇者ヒンメル」
「こんにちは、守護天使」
ふたりはぺこりと頭を下げ合う。
その様子をフリーレンはヒンメルの後ろで見ながら「あの翼って動くのかな?」なんて考えているが、ハイターに「また変なことを考えてますね」と感づかれてしまった。
「ああ、そちらの僧侶の方がタロットを受け取っているのですね。はじめまして、こんにちは、僕は守護天使だよ」
「は、はい!こんにちは、です!」
「アイゼン、見てよ。あの生臭坊主のハイターががっちがちに緊張してる」
「それほど強大な相手なんだろ」
とくに女神の使徒というわけではないフリーレンとアイゼン、ヒンメルはガチガチに緊張してアホになっているハイターを心配しつつ、どうやって弄ろうかと密かに考えている。
のんびりと守護天使の先導を受け、フリーレン達はウォルロ地方で最も古い神殿にやって来た。かつての勇者とその仲間達が使ったという聖なる武具を授かるためだと彼女は聞いている。
だが、女神を見たことがない。だからこそ、そんなものあるのかも曖昧なのだ。この守護天使だって、ただの翼の生えただけの種族かもしれないとフリーレンは思考し、すぐに止める。
「まずは僧侶の方の武具を」
そう言って守護天使は鮮やかな装飾の施された長方形の小箱を取り出し、ゆっくりとハイターに向かって跪きながら差し出す。その小箱を受け取ったハイターもハイターで目がグルグルだ。
「それって時の王錫だよ」
「流石はエルフの方、その通りです。それでは戦士の方、貴方の武具は重すぎるので持ち運ぶのにとっても苦労しました」
「こいつはでかいな」
「カイロスアックス……よく持てるね」
アイゼンは巨大な戦斧を片手で持ち上げる。
その真横で守護天使が「それを運ぶのに力自慢を十五人使ったんですが…」なんて言っている。やっぱりアイゼンは化け物かもしれない。
「さあ、魔法使いの方」
「私にはもう魔法の杖はあるよ」
「だからこそです」
フリーレンは守護天使の言葉に首を傾げつつ、彼女が女神の石像の掴んでいた杖を取り外した瞬間、ゾワゾワとする懐かしい感覚に襲われた。
「まさか、とこしえの杖…?」
「御慧眼恐れ入ります」
決して朽ちる事の無い特別な金属で製造された最強の魔法使いのみが所持する事を許された伝説の杖をフリーレンは受け取った。かつてゼーリエやフランメも所持していた、彼女にとっても特別な杖だ。
「最後に勇者ヒンメル」
「この剣を変えるつもりはないよ」
「はい。その事は僕も存じております」
ヒンメルの言葉に守護天使は頷き、彼の持つ勇者の剣を受けとると台座に差し込んだ。するとヒンメルの剣は形状を作り替える。
「これは言うなれば『
「ああ、任せてくれ」
そう言うとヒンメルは聖剣を握り締めた。
〈
ヒンメルの剣
かつて勇者の剣を模して作られたレプリカは勇者と旅をした。その戦歴は僅かな年月とはいえ本物の勇者の剣として華々しく輝き、ヒンメルの聖剣へと姿を変えて更なる力を得た。