【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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VIP対応になる魔法

とある日の夕暮れ───。

 

勇者ヒンメルとその仲間達は北側諸国の古都にやって来ていた。いつものごとくフリーレンは魔導書を買い漁り、ハイターは酒場で騒ぎ、アイゼンは武器屋に向かい、ヒンメルは贈り物を選んでいる。

 

「そろそろご飯を食べに行こうか」

 

「えぇ。地酒以外も楽しまないとです」

 

「まだ飲むつもりなの?」

 

「諦めろ。そいつは死ぬまで飲むぞ」

 

「あはは、違います。私はお酒を『死ぬまで』ではなくお酒は『死んでも』飲みます。それこそ天国でお酒を浴びるように飲みます」

 

ハイターはそう言ってウエイトレスの運んできた特大ジョッキを掴み、ゴクゴクと喉を鳴らしながら一気にお酒を飲み干した。

 

そんな彼を見ながら三人は「こいつ、本当に僧侶としてやっていけるのか?」なんて不安を感じ、ふと近くの席で騒ぐ村人の「特別な武器を使わないと死なない魔物」の噂に耳を傾ける。

 

「ヒンメル。不死身の魔物だそうだ」

 

「斬り甲斐があるな。アイゼン」

 

「ああ、全くだ」

 

「そうなるとまた私は戦力外だね」

 

ヒンメルとアイゼンの楽しげな話にしょんぼりとしながらフリーレンは呟いた。するとヒンメルは「フリーレン。君はあの応援する魔法を使ってくれるだけで良いんだ」と真剣に言った。

 

「最近のヒンメルは欲望に忠実ですね」

 

「魔王城もあと少しだからな」

 

未だしょんぼりとするフリーレンに『誰かを応援する魔法』を使ってもらおうと必死に説得しているヒンメルにふたりは呆れ、お酒を飲む。

 

こういうときは下手に関わらず、面白おかしく傍観すればいい。そうふたりは理解し、ヒンメルの恋路を密かに応援している。

 

フリーレン、お前は早く理解しろ。そう言った類いの視線を送りつつ、アイゼンとハイターは七つ目のジョッキを掴んだ。

 

「ところで。ヒンメル」

 

「なんだい、ハイター」

 

「お会計どうします?」

 

「どうしようかあ…」

 

「それなら任せてよ」

 

そう言うとフリーレンは席を立ち上がり、ゆっくりとお会計を受け持つ男性に何かを差し出すとめっっちゃくちゃ低姿勢になった。

 

「じゃあ、帰ろうか」

 

「フリーレン。さっきのは…」

 

「『VIP対応になる魔法(   カオパス   )』」

 

フリーレンの言葉に三人は首を傾げる。

 

「私の持ってる聖杖の証があれば、この地方だと大体のお店は無料になるんだよ」

 

「それは無敵だな」

 

「いや、アイゼン。それ無敵じゃないです」

 

「それがあれば最強だよ!」

 

「いや、ですからね?」

 

ヒンメルとアイゼンに褒められてフンスと胸を張って威張るフリーレン。それを見ながらハイターは「本当に無敵じゃないからね?」と教える。

 

 

 

 




〈VIP対応になる魔法〉

くだらない魔法

自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。聖杖の証と併用しなければ全く役に立たない魔法だが。その地方でならば大体のものは無料になる。ただし偽物もあるので警戒はされる。


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