【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼過ぎ────。
勇者ヒンメルとその仲間達は魔族の脅威に晒されていた村を救ったお礼に勇者の持っていたというヘンテコな見た目の壺を見ている。そもそも勇者が壺を持っているというのも不思議である。
「どうするのさ。ヒンメル」
「下手に壊すのもあれだぞ」
「ウ~ン。どうしようか」
フリーレン達は壺について騒いでいる真横で二日酔いのハイターは死にかけている。いくらフリーレンが『とても健康になる魔法』を使ったところでハイターの飲酒は止まらず、むしろ魔法の有無も関係しているのか以前より飲む量が増していたりする。
もっともソレに気が付いたのはアイゼンなのだが。彼も同じくお酒の量を増やし、ハイターと仲良くお酒を飲む行為だけで、膨大な魔力を持つフリーレンが魔力切れを起こすほど追い詰められた。
「フリーレン。壺を壊さず開ける魔法はあるか?できれば中身を確かめたいんだけど」
「そういう魔法はあるよ。けど、ヒンメル達には絶対に使うつもりはないよ」
「……なぜだ?」
「その魔法は蓋を開けると死ぬんだ」
「えっ。なにそれ、こわっ」
「そうなると迂闊に頼めんぞ」
そう言ってアイゼンは腕を組む。
ヒンメルも顎に手を添えて、かっこいいポーズを取りながら悩んでいる。フリーレンは二日酔いで今にも死にそうなハイターに優しくローヤルゼリーと飲み薬を与えつつ、回復を促している。
「あっ、そうだ」
なにかを思い付いたフリーレンは「ぽん」と手のひらを叩き、魔法の杖を構えると数日前に貰った「石のゴーレムを生み出す魔法」を使い、そのゴーレムに壺を手渡す。
「『
フリーレンはゴーレムに魔法を使った。
するとさっきまでビクともしなかった壺の蓋はあっさりと開き、ゴーレムは壺を地面に置くと同時に走り出し、高々と跳躍するとド派手に爆発した。
「フリーレン?フリーレン!?なに、なにさっきの!?爆発したよね?ものすごい勢いでゴーレムが爆発したんだけどぉ!?」
「さっきのはメレブ最大の魔法だよ」
そう言ってフリーレンは壺の中を見る。
もはや枯れ葉を通り越して砂みたいになっている薬草っぽい何かが壺の中にギッチリと詰まっているだけで、とくに宝の地図やダンジョンの詳細なんてものは入っていなかった。
「……あったぞ。ヒンメル」
「フタメガンテ。この魔法は対象の命と引き換えにどうしても開けたい蓋を開ける代わりに死亡する。……いつものメレブの魔法じゃない!」
「だから禁書なんだよ」
フリーレンは粉末状の薬草をハイターの口の中に流し込みながらヒンメルの言葉に応える。
そもそもメレブは汎用性の強い高度な魔法をいくつも編み出しており、この『命と引き換えに蓋を開ける魔法』もやり方次第で脅威に成り得るのだ。
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くだらない魔法・禁書
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。どうしても開けたい蓋を命と引き換えに開ける魔法であり、かつてメレブはこの魔法を使って数多の魔族や悪の魔法使いを倒していた逸話が残っている。