【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
なんか、ごめんね
とある日の夕暮れ────。
勇者ヒンメルとその仲間達はギャグを言わないと通ることの出来ないという謎のギミックを備え付けたダンジョンの大扉をどうやって攻略しようかと話し合っているその時だった。
パタンとメレブの魔導書を閉じながらフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟き、ゆっくりと魔法の杖をヒンメルに向かって構える。やっぱりヒンメルは狙いやすいようだ。
「『
「今から一発芸やります!」
そう言うとヒンメルは衣服を脱ぎ捨て、ステテコパンツだけになりながら力瘤を作ったかと思えば「ヤァーーッ!!」と叫び、さっきまで持っていたダンジョンの地図を力任せに破った。
ガコンッ、ゴゴゴッ……。
「ぼくは、なにを?」
「なんだったんでしょうか、あれは」
「俺の筋肉の方がすごいんだが?」
「さっさと行くよ」
なぜかステテコパンツだけになっている自分に困惑するヒンメル。そんな彼を心配し、遠い目をするハイター。そして筋肉量で張り合おうとするアイゼン。フリーレンはそんな三人を無視して、扉の奥にひとりで進んでいく。
「ところで。さっきの魔法はなんだ」
「イマサーラ。なんかギャグを唐突に言い出す魔法なんだけど。これ使うとヒンメルみたいに意識が飛ぶんだよ」
「えっ」
「ヒンメル。そこまで酷いものじゃなかったですよ。むしろ肉体美を見せつけていましたし、わりと良かったと思います」
ハイターはフリーレンとアイゼンの後ろでショックを受けているヒンメルを必死にフォローしているが。ちょっとずつ口角が上がり、失笑しそうになっているのは仕方ないだろう。
「アイゼン。これ任せた」
「僕が代わるよ。フリーレン」
「そう?ありがとう」
フリーレンの拾った魔導書や貴金属を受け取るとヒンメルは魔法の雑嚢に荷物を仕舞う。神話の時代のアイテムの原理を考えるだけ無駄なので、とくにヒンメルは気にしないけれど。
いつか解いてやろうとフリーレンは考えながらあからさまに罠ですと言わんばかりに飛び出たヒモを掴もうか悩んでいる。
「えいっ」
ガコンッ、ズモモモ……。
とりあえず、引っ張ってみようの精神でフリーレンはヒモを引っ張ると明らかに設計ミスな巨大すぎるゴーレムが地面を組み換えて現れた。
「みんな、逃げるぞおぉぉぉ!!」
「はあぁぁぁい!!」
「うわっ」
「またこれか」
いくら勇者PTとはいえ流石に一列にしかなれない狭いところで戦えるわけもなく。ヒンメルの掛け声と共にハイターはアイゼンを背負って走り出し、フリーレンはヒンメルに抱き締められている。
「……ヒンメル。心臓の音もすごいね」
「ありがとう!?」
今日も勇者PTはてんやわんやしてる。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。相手の精神を支配し、唐突に一発芸やギャグを強制する魔法である。だが、この魔法を戦闘中に利用すれば確実に隙を作れるだろう。