【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の夜────。
勇者ヒンメルとその仲間達は名酒を取り揃えていることで有名な酒場で日頃の疲れとみんなの労いを兼ねて酒盛りを始めているその時だった。小さなコップを持っていたフリーレンがまたしても「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。
「どんな魔法なんだい?」
「サバを読む魔法だよ」
「さば?」
「サバってなんだ?」
「それは私も知らない」
フリーレン達は「サバってなんだろう」と考えながら危険な魔法なのかを話し合う。そもそもメレブの魔導書の謎の単語を理解したものはごく僅かであり、そのほとんどがエルフや魔族である。
とくにメレブの魔導書を複写し、世界各地に広めているという人物も魔族であるとフリーレンは聞いているため、ミーネのように魔法を語り合える魔族が増えるのは素直に嬉しい。
しかし、殲滅派の魔族は嫌いだ。
「フリーレン。僕に使ってくれないか」
「『
「躊躇しませんでしたね」
「フリーレンはそういうやつだ」
アイゼンとハイターは『なにかを誤魔化す魔法』を戸惑うことなくヒンメルに使ったフリーレンに呆れつつ、自分の身体を確認し、とくに変なところはないと首を傾げる彼に近付く。
「どう。ヒンメル」
「とくになにもないけど。好きだよ、フリーレン」
「えっ」
「む?」
「ほほう?」
フリーレンは突然の告白に驚く。
ヒンメルも自分の言葉に驚き、自分の口を押さえている。どうやら『なにかを誤魔化す魔法』は隠し事を言ってしまう魔法のようだ。しかし、本来の『なにかを誤魔化す魔法』とは年齢を誤魔化す程度の効果なのだが。
なぜか今回はこうなった。
「好きだ。愛してる。僕と結婚してくれ」
「ちょ、やめっ」
いつになくグイグイと攻めるヒンメルを見ながらハイターとアイゼンは「おっ。ついに恋心が成就するのか?」と期待の視線を向け、本当に珍しく顔を真っ赤に染めているフリーレンにほほ笑んだ。
「分かった!分かったから…いいよ」
とうとう壁際まで追い詰められたフリーレンは僅かに潤んだ瞳でヒンメルを見上げ、彼のプロポーズ?を受け入れると同時にヒンメルは鼻血を噴き、そのまま安らかに気絶した。
「……最後の最後でヒンメルらしかったな」
「そうですね。けれど、成果はありました」
「ああ、そうだな」
ついに唐変木で恋愛偏差値0かつ天才魔法使い美女のフリーレンを落とした偉大なる勇者ヒンメルを称えるために、ふたりは酒盛りを再開する。
「はああぁ……びっくりした」
フリーレンはドキドキと脈打つ自分の心臓を押さえつつ、めっっちゃくちゃ幸せそうに気絶しているヒンメルを見つめる。
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くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。年齢や体重を誤魔化す程度の効果なのだが、どういう訳なのかヒンメルだけ隠し事を話してしまう。