【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼前───。
勇者ヒンメルとその仲間達は宿屋の店主に作って貰った特製お弁当の入った大きな箱を敷物代わりのマントの上に置き、さあ食べようとしたその時だ。またしてもフリーレンは唐突に「新しい魔法を覚えたよ」と呟く。
「一応、確認しておきたいんだけど。フリーレン、その新しく覚えた魔法をかけたお弁当は安全に食べられるものなのかな?」
「おそらく今後も役立つ魔法だね」
「で、どんな魔法なんだ?」
「お手軽に『お弁当を温める魔法』だよ」
フリーレンの言葉にヒンメル達は静かに「まともだ。いや、それが普通なのか」と呟き、なんとも言えない微妙な効果に唸っている。しかし、冬場や寒い地方では大いに助かる魔法ではある。
尤もその魔法を作ったのがメレブでなければだ。
……とは言え。そんなことを言っている暇も無くはないけれど。折角のお弁当が冷たいままというのもあれなのでヒンメルは「じゃあ、頼める?」と不安げにフリーレンに伝える。
「『
淡い光がお弁当箱を包む。
ヒンメルはアイゼンとハイターに視線を移し、ゆっくりとお弁当箱に触った。さっきまで冷えていたお弁当が、ほんのりとした温かさのあるお弁当になっている。どうやら、この魔法は当たりらしい。
「いただきます」
そう言ってフリーレンは正方形のサンドイッチを掴み、パクッと噛みついた。小さな口で大きなサンドイッチを食べるフリーレンの尊すぎる姿にヒンメルは天を仰ぎ見る。
どうしよう、僕の好きな人が可愛すぎるっ!!
「ハイター。ヒンメルがまた壊れたよ」
「いつものことです」
「このタレ美味いな」
そんな他愛もない会話を挟みつつ、四人は温かいお弁当を楽しみ、魔王討伐のために向かっている道中だというのに。のんびりと食事のできる平和なお昼休みを堪能している。
「フリーレン、その本はなんだ」
「ああ、これもメレブの魔導書だよ」
「まだあるのか」
「うん、結構あるね」
アイゼンはフリーレンの膝の上に置かれた魔導書を見ながら問う。すると彼女は当たり前のようにメレブの魔導書だと答える。
どうやらメレブの魔法はまだあるらしい。
嬉しいような。傍迷惑なような。なんとも言えない気持ちになりながらフリーレン達はお弁当を美味しく食べられたことに満足し、みんなでひとつの木陰に集まって一休みする。
「ハイター、これはなにかな?」
「これは、なんでしょうね」
「どうした」
「これなんだけど。アイゼンは知ってる?」
そうワイワイと騒ぐヒンメル達の近くでフリーレンはメレブの魔導書を読んでいる。もっともまだまだ初級編の魔法を覚えている程度で、彼女がメレブの作った上級魔法を使えるようになるのは先の話だ。
「…………私にも見せて」
そう言ってフリーレンは後ろに振り返る。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。どうしても温かいお弁当を食べたい人向きの魔法で、100連発ぐらい魔法を使えば大きな火の玉になるそうだが、真偽は不明である。