【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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おまけ
大魔法使いメレブと無名の大魔族


とある日の朝────。

 

自称・大魔法使いのメレブは困惑した。ちゃんと宿屋で眠っていたはずなのに気がつけば見知らぬどころか現在地も不明な場所にいるのだ。

 

「おはよう。メレブさん」

 

「あ、どうも。おはようございます」

 

如何なる時も挨拶は大事である。

 

だが、メレブの目の前に佇んでいるのは小さな角の生えた儚げで今にも壊れてしまいそうなほど可愛い魔族だった。

 

「私はソリテール、魔族だよ」

 

「うん。ちょっと急展開すぎるね…」

 

メレブの言葉に可愛らしく首を傾げるソリテールに「これが人食らいの魔族って人類バカすぎない?」と考えながら姿勢を正して座り直す。

 

その理由は命乞いするときは土下座するのが一番だからだ。ちなみにメレブは寝巻きなので魔法の杖はないうえに目の前には最強に可愛い魔族がいる。

 

実に愛らしい顔だ。

 

「ふう……して。この大魔法使いメレブを拐った理由を聴かせてもらおうか」

 

「私、貴方の魔法を覚えたいの」

 

「ふむ。良かろう」

 

メレブにとってはただの時間稼ぎだが。

 

ソリテールにとっては人間の魔法を知るために必要な事であり、勇者PTの魔法使いともなれば「感情を知る」手助けになると彼女は考えている。

 

そうとは知らないメレブは彼女の差し出してきた鉄製の魔法の杖を構えると素早く『他人の鼻を豚鼻に変える魔法』をソリテールに使った。

 

「つっ!?」

 

「ふふっ。一見、この魔法は他人の鼻を豚のごとく情けないモノに変えるだけの魔法に思われがちだが。ソリテールよ。お前のように咄嗟に鼻を隠す(・・・・・・・)という行為は必ず反射的に行うのだ」

 

「……それは、どうして?」

 

「その豚鼻見られるの、恥ずかしいでしょ?」

 

そう言ってニヤリと笑うメレブにソリテールは頷いて、ようやく自分が「恥ずかしい」という感情を抱いていることに気がついた。

 

「如何なる戦士や魔法使い、お前のように魔族だろうと私の『他人の鼻を豚鼻に変える魔法(      ハナブー     )』を受けてしまえば無力…」

 

そんなことを得意気に語るメレブの目の前でソリテールは「私の考えを読み取った?魔法を使われたわけじゃないし、いったいどうなって…」と困惑し、じっくりとメレブを観察している。

 

「もっと魔法を教えて。メレブさん」

 

ソリテールは期待を抱く。もしかしたら魔族の常識(いきかた)を変える魔法を作り出すことが出来るかもしれない。彼女は人を知るために人を殺し、人を知るために人を欺いてきた。

 

しかし、その繰り返しをメレブは止めた。

 

もっとも彼自身にそんなつもりはないうえにヨシヒコ達の救出を待つためにソリテールの興味を惹こうとしているだけだったりする。

 

 

 




〈ソリテール〉

無名の大魔族

勇者一行の魔法使いメレブを誘拐し、彼の作り出す陳腐で悪ふざけにしか思えない魔法に興味を持ったところ「恥ずかしい」という感情を知った。


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