【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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大魔法使いメレブと無名の大魔族 PART 2

とある日のお昼過ぎ────。

 

大魔法使いのメレブと無名の大魔族のソリテールは優雅なティータイムを楽しんでいるその時だった。ふと天啓を受けたかのごとく新しい魔法を閃いたメレブは不敵な笑みを浮かべる。

 

「こんな紅茶を楽しんでいる最中にも私はまた新しい魔法を覚えたよ」

 

「今度はどんな魔法なの。メレブさん」

 

そう言ってソリテールは期待を膨らませて、今か今かとメレブの魔法を楽しげに待っている。そんな彼女の愛らしい動きにぐらつきながらもメレブは魔法の杖をソリテールに向け、すっと杖を振るう。

 

「ソリテール。今何か思ったろ」

 

「え、えぇ。なんだか甘いものがほしいわ。……けど、私は魔族だから甘いものなんて欲しがらないし。ねえ、どうしてなの?」

 

「ふふっ。この魔法に掛かった者はどうしようもなく甘いものを食べたくなる。ソリテールや他の魔族が人間を食べる寸前に掛けてしまえば、すぐに甘いものを求めてさ迷う」

 

「す、すごいわ!」

 

ソリテールはキラキラと目を輝かせて、メレブの魔法の効果を素直に称賛する。

 

それもそのはずだ。

 

ほとんどの魔族は空腹を感じれば人間を捕食するだけだが。この魔法を使えば人間ではなく甘いものを食べることで空腹を満たせる。

 

「うむ、この魔法を使えばソリテールはこれから人間を絶対に食べなくて良くなる。私はこの魔法を『猛烈に甘いものが食べたくなる魔法(スイーツ)』と……そう名付けたよ」

 

「それさえあれば最強だわ!もっとその魔法を私に掛けて甘いものが…いっぱい食べたくなるようにして、メレブさん!」

 

「うむ、良かろう。スイーツ!」

 

「あうぅ、甘いものが食べたいわ」

 

キュウゥ~ッ……。

 

なんとも可愛い音を立てるお腹を押さえるソリテールにメレブはデザートとして買っていたケーキを彼女に差し出す。するとソリテールはフォークを受け取るなり、ちっちゃい口を広げ、一番クリームの乗った部位を切り分けて頬張った。

 

「すごいわ。甘くて美味しい…!」

 

本当に甘いものが大好きな女の子のようになってしまったソリテールを見て。メレブはとても満足げに頷きつつ、ゆっくりとティーカップに紅茶を注ぎ、彼女の目の前にカップを移す。

 

「これは無敵だわ。メレブさん」

 

「いや、うん。まあ、無敵ではない」

 

メレブはごくりと生唾を飲んで恐れ戦くソリテールの言葉を否定し、彼女の口許にくっついているクリームをハンカチで拭き取っている。

 

ふとそのやり取りをしていたメレブの脳裏に「あっ。こいつヨシヒコとおんなじだ」と理解し、ソリテールのために「もっとスイーツの魔法を掛けてやろう」と優しげな眼差しを彼女に向ける。

 

 

 




〈ソリテール〉

無名の大魔族

大魔法使いのメレブと共同生活を始めて早くも「甘いもの」に対する食欲を知り、甘いものが好きになってしまった。そのため人間を食べることが激減し、スイーツ大好き魔族に進化した。

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