【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
ありがとう!
とある日のお昼過ぎ────。
勇者ヒンメルとその仲間達は旅の資金を稼ぐためにギャンブルの盛んな都市にやって来ていた。とくに危険なギャンブルというわけでもなく。普通に銀貨数枚を増やす程度にしていたのだが……。
「お金全部無くなっちゃった」
「フリーレン!?ど、どうしたんだ」
そう言って下着同然の薄着で座り込んでいるフリーレンにヒンメルはマントを被せながら問うと「あれなら大金を稼げると思ったんだ」と言いつつ、大魔法使いメレブの考案したとされるスロットマシンを彼女は指差す。
「……ハイター。フリーレンを頼む」
「えっ。これを見たのに行くんですか?」
「僕が必ずフリーレンを買い戻す!」
「私は売られてないよお……」
「お前はいつもあれだな」
しょんぼりとしながらヒンメルのマントにくるまっているフリーレンを守るようにアイゼンとハイターは地面に座り、スロットマシンに向かって歩き出したヒンメルを三人は見つめる。
「……だめだった、ごめんね」
あっさりとヒンメルはスロットマシンにステテコパンツにされてしまった。そもそもヒンメルとフリーレンの挑んだスロットマシンは他のギャンブルと違い、あの大魔法使いのメレブの作ったものだ。
「俺が行こう」
「やめるんだ。アイゼン、僕達じゃスロットマシンには敵わないんだ」
「ヒンメル。まあ任せておけ」
にやりとアイゼンは笑いながらゆっくりとスロットマシンの投入口に銀貨を入れ、レバーを倒した。スライム。スライム。スライム。ちょうど三つ絵柄が揃って銀貨は100枚に増える。
「ど、どうして?」
「よく考えて下さい。あのスロットマシンというギャンブルは他のものと違って機械仕掛け、つまりイカサマは不可能なんです」
「そういうことか…」
「ねえ。どういうこと?」
「フリーレン。アイゼンのやつはスロットマシン相手に目だけで戦ってるんだ」
しかし、そう言われてもいまいち分かっていないフリーレンは首を傾げてしまう。それもそのはずだ。ヒンメルとハイターの行き着いた答えは単純にアイゼンの目の良さを利用したごり押しのイカサマだ。
どれだけ素早く回転しようとアイゼンの視力をもってすれば容易く絵柄を合わせることはできる。なによりスロットマシンは他のギャンブルと違ってイカサマの心配をしなくていいのだ。
「……なるほど…」
「ところで。ヒンメル」
「なんだい。ハイター」
「埋もれてますよ、アイゼン」
ドワーフの戦士アイゼンは簡単に当たるスロットマシンに延々とタイミングを合わせてしまい、レバーを止める瞬間を逃してしまったようだ。
〈スロットマシン〉
ドラクエのあれ
自称・大魔法使いのメレブの作った無限に銀貨を吐き出し続ける機械仕掛けのアイテムである。どれだけ研究しようと原理は未だ解明されておらず、かつての魔王が統治していた大海の先の国にはスロットマシンと酷似したものがあったという…。