【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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大魔法使いメレブと無名の大魔族 PART 6

とある日の真夜中───。

 

大魔法使いメレブと清楚なお嬢様のソリテールは勇者ヨシヒコ達と一緒に悪霊に悩まされるトロダーンの村の住人を救うため数日ほど滞在することを約束し、ヨシヒコ達は夜な夜な見回りをしている。

 

「でも悪霊だなんているのかしら?」

 

「フン、馬鹿馬鹿しい。悪霊などいるか」

 

「うん、だけどね。ゾンビや亡者、スケルトンなど死霊系の魔物は多く存在する。つまり霊魂に関連する現象は総じて魔物の仕業だと私は思うわけよ」

 

「お前、たまに賢いのなんなの?」

 

「幽霊なんているわけないじゃないですか。ムラサキもメレブさんも怖がりすぎですよ。それに幽霊だろうと私達は六人もいるんです。たかがひとりに負けるわけがありません」

 

ヨシヒコがそう言うとメレブは違和感に気付いた。この見回り活動を始めて、数日ほど経過しているが五人でしか活動していない。むしろ村の住人は怖がって昼間も引きこもっているものがいる。

 

ゆっくりとヨシヒコを見れば死装束を身につけた老婆に抱きつかれ、今にも泣き出しそうな顔で……いや、ほとんど泣いている顔でみんなと一緒に歩いているのだ。なんとなく察したメレブは魔法の杖をわざと転がし、ソリテールと立ち止まる。

 

「うおっとっと」

 

「なにやっ……」

 

「おい。気をつ…け…」

 

「あら?」

 

ようやくソリテール達も気づいた。

 

「な、なんです。なんですか、その顔は…!」

 

「後ろ向いてみ、ヨシヒコ」

 

「……ハッ,ァ……」

 

ムラサキの言葉にヨシヒコは恐る恐る老婆の顔とは真逆の方から振り返る。そこまでして幽霊の存在を否定したいのだろうかとムラサキは呆れながら「ね。いるでしょ?」と言う。

 

「いいえ」

 

「いや、震えてんじゃん。しかも泣き声だし」

 

「ヨシヒコ。落ち着け、まずは落ち着くんだ」

 

「すごいわ。幽霊って視認できるのね」

 

メレブの飛ばすヤジとダンジョーの心配する言葉に挟まれ、みっともなくプルプルと震えながらヨシヒコは身体を動かし、みんなのところに一歩踏み出す。するとメレブ達は一歩後ろに下がる。

 

しかし、ソリテールは平常運転だ。

 

「う、うぅ、うおおあはあぁぁぁぁっ!!」

 

「いやあぁぁぁっ!!こっち来るなばかぁーっ!」

 

「悪霊退散!」

 

「『ちょっとだけ素早さが上がる魔法(     チョイピオリム     )』」

 

「あっ、ずるいぞキノコっ!!」

 

「ふふふっ。すごく面白いわね、冒険って!」

 

メレブは自分だけに素早さを向上させる魔法を掛け、ローブの裾を掴んで全力疾走している。そんな彼の背中に乗り、麦わら帽子を押さえて楽しそうにソリテールは笑っている。

 

だが、勇者ヨシヒコは号泣している。

 

 

 




〈ソリテール〉

清楚なお嬢様系魔族

大魔法使いのメレブ、勇者ヨシヒコ一行と悪霊に悩まされるトロダーンの村にて霊魂の実在を知り、お友だちとの冒険の楽しさを知った。

ちょっとだけ素早さが上がる魔法(     チョイピオリム      )

くだらない魔法

大魔法使いのメレブの作った魔法。チョイキルトと同様に1.2倍ほど素早さを引き上げるのだが、スタミナ消費は激しいうえに脚力も必要なため使いどころはほとんど存在しない。

この魔法はオリジナルだよ!


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