【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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どんな攻撃も跳ね返す天女の羽衣

とある日の午前────。

 

勇者ヒンメルとその仲間達は石化の呪いを使う魔族を倒すために『どんな攻撃も跳ね返す天女の羽衣』という何代か前の勇者が女神様に賜ったアイテムを求めて天女の住まう清廉の湖へとやって来ていた。

 

「たぶん、あれだね」

 

そう言ってフリーレンは湖の真ん中にぽつんと浮かんだ小島でハープを奏でている美しい大人なエルフを指差している。

 

「しかし、どうやって向かいます?私達は船や橋を作ったりする知識はないですし。ましてや湖を泳ぐわけにもいきません」

 

「…ならばヒンメルを投げるか?」

 

「えっ」

 

ぐっと力こぶを作るアイゼンに身構えながらヒンメルはフリーレンの後ろに避難する。最近のヒンメルはよくメレブの魔法の被害にあったり、アイゼンの唐突な思い付きで酷い目にあっているので仕方ないと言えば仕方ない。

 

そんなことをヒンメル達が話している間にフリーレンは湖の水面を少しだけ凍らせ、すぅーーっと氷の上を滑るように歩き、小島でハープを奏でるエルフのところに向かう。

 

「こんにちは」

 

「こんにちは」

 

ふたりは挨拶を交わす。

 

しかし、フリーレンはどうやって彼女の身に付けている羽衣を譲ってもらう方法を考えておらず、ハープの奏でるエルフとお互いに黙ったまま見つめ合うという困った状況になっていた。

 

「どういうご用件かしら?」

 

「貴女の羽衣を譲って欲しい」

 

「……これを?」

 

そっと羽衣に触れる彼女にフリーレンは頷き、静かに彼女を見上げている。なんとも言えない空気を破るようにヒンメル達が遅れてやって来たかと思えばアイゼンが「それを脱げ」と開口一番に言った。

 

どうやらドワーフの戦士はまどろっこしいことは好きではないらしい。だが、まさか出会ってすぐのエルフに脱げと言うのは予想外の出来事だったようでハイターもヒンメルもフリーレン……いや、彼女はよく分かっていないみたいだ。

 

「随分と積極的なドワ「早く脱げ」…帰れ」

 

ハープのエルフを怒らせてしまった。

 

「アイゼン、ズボンが膨らんでるけど」

 

「ただの懐刀だ」

 

「懐じゃないよ、そこ?」

 

「男はみんな、ここに懐刀を隠す」

 

アイゼンのあまりにも無茶苦茶な言葉にフリーレンは困惑しながらヒンメルとハイターを見るが、ふいっと気まずそうに顔を逸らされて、まともに確かめることができない。

 

「エルフ「もうお前に渡すわ」」

 

「えっ」

 

突然の申し出にフリーレンは「さっきまで嫌がっていたのに?」と驚きつつ、彼女の後ろについていき、岩影で彼女の身に付けていた『どんな攻撃も跳ね返す天女の羽衣』を無事に受け取った。

 

そのときにハープのエルフはフリーレンに向かって「できればお前が着てくれ」と悲しげに言うので彼女も静かに頷いた。

 

 




〈どんな攻撃も跳ね返す天女の羽衣〉

勇者のアイテム

何代か前の勇者が女神様に賜ったという有り難い羽衣。この羽衣を持っていたハープを奏でるエルフはフリーレンのみが着用すること願う。しかし、魔王と戦うときはヒンメルが身につける。


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