【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の午前中───。
大魔法使いのメレブとやっぱり女神様かもしれないソリテールは勇者ヨシヒコ一行と一緒に全てを黄金に変えるという魔族のもとに向かっていた。なぜかムラサキは張り切っている。
「イケメンだ」
「イケメンですね」
「やだ、すごいイケメンだわ」
「うわっ。すげームカつく」
「あら?久しぶりね、マハト」
「勇者と、なぜソリテールが?」
ヨシヒコ達はイケメンすぎる魔族の男にムカつきつつ、ムラサキは予想外のイケメンに興奮している。ソリテールはどうやら友人、もしくは顔見知りと会ったように挨拶をする。
「彼は黄金郷のマハトという魔族で。少しの間、彼と一緒に過ごしていたこともあるわ」
「まさかエッむぐぅ!?」
「ほんとやめとけ?」
ヨシヒコはダンジョーに口許を覆われ、無理やり言葉を遮られる。そういう紳士的なところもあるおかげでダンジョーはモテるのだ。
ちなみにメレブは『誰もが笑い泣きする魔法』と『眉毛が太くなる魔法』、さらに『他人の鼻を豚鼻に変える魔法』や『顎がしゃくれる魔法』をマハトにかけ、ソリテールが手鏡を差し出す。
「これが俺?クッ…ハハハハハ!なるほど、なるほど!これが笑顔か!これが面白いという感情か!愉快だ。ああ、本当に愉快だ……」
そう言ってマハトは先程の無表情が嘘だったかのように高らかに笑い声を上げ、ソリテールの手鏡に映っている自分の間抜けな顔に爆笑し、とても楽しそうに、嬉しそうに自分の顔を触る。
「思ってた反応と違うけど。まあ、いっか」
「ふふふっ。良かったわね。マハト」
メレブは顔芸三連発を爆笑するだけで、とくに怒ったりしないマハトになんとも言えない表情を浮かべて、ソリテールは自分と同じように「喜びの感情」を得たマハトを素直に祝福する。
この間、ずっと顔面変形したままである。
「ところで。討伐の依頼どうすんの?」
「そういえばそうですよ!?」
「友好的と教えるのもなあ」
「うむ。やはり、そこが難しかろう」
「まあ、どうしましょう」
「ああ、どうしようか?」
そう言うと六人は考え込む。
しかし、とくに妙案は浮かばず。どうしたものかと考えているとササッとヨシヒコの後ろに動くものを見つけたソリテールとマハトが挟み撃ちにして、その生き物、女の子を捕まえる。
「うぅ、捕まってしまいました」
「ヒサ、なぜここに!?」
勇者ヨシヒコの妹ヒサである。
「……よし。こうしよう。マハトよ、お前はヨシヒコの妹であるヒサを護衛し、無事に村まで送り届ける。そのついでに人助けをし、名誉挽回もしなさい」
「なるほど。護衛と人助けか」
「いやです!私は兄様を見守っ……こほん、兄様と一緒に冒険したいんです!」
「いや、だめだ!ヒサを危険な目に遇わせるわけにはいかん!」
「ならば俺が守ろう。そうすれば問題ない」
ヨシヒコとマハトは冒険の道連れにするかを討論し始める。さっきまで感情がなかったとは思えないほど白熱する言葉のやり取りにメレブは感心し、ムラサキとダンジョーは困っている。
ソリテールはヒサにケーキを手渡し、一緒に仲良くケーキを食べている。なんだか蚊帳の外っぽいけれど、ふたりはとくに気にしていない。
〈ソリテール〉
私の女神様かもしれない魔族
旧友のマハトに「喜びの感情」が芽生えたことを喜び、新しくできたお友だちのヒサも一緒に冒険したら楽しいのにとヨシヒコ達の説得に参戦し、無事に勝利を勝ち取った。
〈マハト〉
黄金の変顔
大魔法使いのメレブによって「喜びの感情」を知り、今までの悪行を償うために勇者ヨシヒコの妹ヒサを護衛する役目を担う。ただしヒサとともに勇者ヨシヒコ一行の後ろにいる。
〈ヒサ〉
勇者ヨシヒコの妹
ひょっこり蘇っていたうえに今日も楽しくヨシヒコのストーキングを続けている。黄金郷のマハトという最強の護衛を手に入れたので、もはや堂々と勇者ヨシヒコの後ろにいる。