【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼過ぎ────。
かつて大魔法使いのメレブと一緒に〈人間の感情を知る旅〉をしていた大魔族のソリテールはメレブの使っていた魔法の杖を携えて、のんびりと東西南北に加えて中央諸国を巡っていた。
その道中で彼女は旅仲間のマハトが要塞都市ヴァイゼの領主に仕えることを見届け、また旅を再開し、メレブに憧れる魔族の女の子…ミーネに手解きしたり、お友だちのゼーリエと一緒にメレブの魔導書を書き写し、世界各地に広めながら生活をしていた。
「ようやく見つけた」
「お久し振りです。ソリテールさま!」
そう言って現れたのは勇者ヒンメルたちと共に魔王を倒し、再び世界を平和にした銀色の長髪を二つに纏めたエルフの魔法使い───フリーレンだ。
彼女の傍らには手解きしてあげたミーネに、紫色の長髪を風に揺らす人間の女の子と戦斧を背負った赤い髪の男の子、そして水色と銀色の混ざりあった短髪の小さなエルフの子供がいる。
「こんなに大勢のお客さんははじめてだわ」
ソリテールはウキウキとしながら目の前に現れた五人に微笑みを浮かべる。どこか懐かしく思える五人組に彼女は歩み寄り、右手を差し出す。
「私はソリテールっていうの」
「ああ、知っているよ。私はフリーレンだ。お前はこの魔族の師匠で、かつて大魔法使いのメレブと一緒に旅をした『もっとも人間らしい魔族』のソリテールでしょう」
「まあ、まあまあ!今の人も私を知っているのね。もうとっくに忘れられてしまったかと思っていたわ。ふふっ。なんだか嬉しい」
そう呟いて淑やかに笑う彼女の仕草のひとつひとつが完璧に洗練され、まるで本物のお姫様やお嬢様のようだった。
その振る舞いは遥か昔の人と魔の大戦を生きた魔族とは思えない美しさにフリーレン達は息を飲む。
「『
ソリテールは魔法の杖を掲げ、メレブにもらった大切な魔法を使った。ズシーンッ…!と音を立ててフリーレン達の目の前に大きなお菓子の家が現れる。
「まずはお茶にしましょう」
そう言うと彼女はクッキーでできたドアを開け、フリーレンの近くにいた人間の女の子とエルフの子供は「シュタルク様、ぜひ教えてもらいましょう!」と言いながらお菓子の家を見上げる男の子、シュタルクを揺さぶっている。
「フフ、どうかしら!これがソリテール様の最も得意とする魔法よ!いくら魔王を倒した魔法使いだからって、これは不可能でしょう!!」
「は?普通に使えるんだが?」
「ふ、ふーん。私もまあ使えるしぃ?」
もはや子供のケンカである。
「フェルン。あれは…」
「今は放っておきましょう。あとグリーゼル様はお家に入るためにケーキの壁を食べるのはやめてください。ひとりだけずるいです」
フリーレンとミーネが言い争っている間にぞろぞろと人間の女の子フェルンとエルフの子供グリーゼルはお菓子を食べながら家に入っていき、シュタルクは「いや。ちゃんとドアから入ろうよ」と呟いた。
〈ソリテール〉
もっとも人間らしい魔族
大魔法使いのメレブのお友だちで彼の使っていた魔法の杖を大切にしている。魔法の手解きをしたミーネが沢山の人間とお友だちになって連れてきてくれたのは、めっちゃくちゃに嬉しかった。
〈フリーレン〉
エルフの大魔法使い
勇者ヒンメルのお嫁さんで現在は魂の眠る地を目指して旅をしながらメレブの魔導書を集めている。ちなみに子持ちの未亡人だ。
〈フェルン〉
お菓子好きの魔法使い
勇者PT一行の僧侶ハイターの養子であり、フリーレンの弟子をしながら彼女の子育てを一緒に手伝っている。シュタルクが好き?
〈シュタルク〉
ばけ、人間?の戦士
勇者PT一行の戦士アイゼンの弟子。おそらくアイゼンほど人間はやめていないはずだが。たぶん、この世で一番強い戦士になるのは彼だ。
〈グリーゼル〉
フリーレンとヒンメルの子供
両親に甘やかされて健やかに成長し、現在は魔法剣士になるために修行している。顔面偏差値100点の美少女だが父親譲りにナルシストだよ。