【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の午後────。
勇者ヒンメルとその仲間達は酒場で日頃の疲れを癒そうとしていたときの事だった。たまたまお酒の趣味が合わないことで口論していた山賊っぽい格好の魔法使いがハイターに向かって魔法を放った。
「ディオニソス様のご命令の通りに」
「はっはっは―があっ!」
「それはだめだろ」
どうやら精神を操る類いの魔法のようだが。ディオニソスと呼ばれた魔法使いはヒンメルの振るった鞘の一撃で気絶してしまった。
フリーレンは気絶した魔法使いの近くに落ちていた魔導書を拾う。またしてもメレブの魔導書だった。こいつの魔法は変なものばかりだと彼女は考えながら魔法使いの手に銅貨を置いて魔導書を抱える。
しっかりと等価交換である。
「盗んだのか?」
「ちゃんとお金は支払ったよ」
そう言ってフリーレンは魔導書を開いた。
やっぱり小汚なくて誤字まみれの魔導書だ。この自称・大魔法使いのメレブの魔法を自分以外にも使っている人がいるのも驚いたけれど。
この魔導書を持っていた魔法使いはほんの少しだけ使い方を間違えてしまったようだ。そんなことを思いながらフリーレンは未だに正気に戻らないハイターに近付き、すっと杖を構える。
「『
「……うっ、私はいったい?」
「ハイター、正気に戻ったんだね!」
「強かな魔法だ」
ヒンメルとアイゼンは元に戻ったハイターを囲んで騒ぎながら「ハイターの復活を祝って!」とまたお酒を飲み始める。もしかして、彼らはお酒を飲めれば何でも良いのだろうかとフリーレンは考えて。
また、すぐに魔導書を読む。
「…………やっぱり私も飲む」
そう言ってフリーレンはバカみたいに騒いでいるヒンメル達のところに向かって歩く。メレブの魔導書を手に入れてから、ちょっとだけフリーレンも変わってきたのかもしれない。
「ところで。フリーレン」
「なに?ヒンメル」
「その魔法って魔物に使えるのかな?」
「………………」
「物凄い考えるな」
ヒンメルの口にした質問に対してフリーレンは「空を飛ぶ魔物に使えば楽に移動できるのでは?」と考えながらジョッキに注がれたお酒を飲み、ちらりとばか騒ぎしているハイターとアイゼンを見る。
彼らに相談するのはいい。
しかし、魔物を仲間に引き入れるというのは些か難しいことだ。とくにメレブの魔法なんかで引き入れることが出来るのかさえ物凄く怪しい。
「ヒンメル。明日、試そう」
「…ああ、そうだね」
ヒンメルはフリーレンの言葉に微笑み、ゆっくりと頷いて彼女の考えを肯定する。もしものときは一緒に悩んであげればいいのだ。
〈
くだらない魔法
自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。どんなに悪いヤツも仲間に引き入れることができるという意外と平和的な魔法だけれど。使い方次第ではとても危険な魔法と言えるだろう。